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渋野、古江は「Qシリーズ」から。ほかにはどんなルートがある? 米女子ツアー参戦への道をおさらい

現在、畑岡奈紗や笹生優花らが参戦し、活躍を続ける米女子(LPGA)ツアー。今年は渋野日向子と古江彩佳が来季の出場権獲得を目指し最終予選会に挑戦するが、そもそも米女子ツアーに参戦するにはどのような資格が必要なのか。予選会を突破する以外にも道はあるのか。日本選手が米女子ツアーに参戦するためのルートをまとめてみた。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa

【米女子ツアーメンバーへの道1】
「Qシリーズ」を通過する

米LPGAツアーに出場するには、予選会である「Qスクール」を勝ち上がり、最終予選会「Qシリーズ」で上位に入るというルートが定石。Qシリーズでは、総額15万ドルの賞金も支給される。

2019年は、河本結(後列右から2番目)と山口すずか(後列右から3番目)がそれぞれ9位、16位の成績でQシリーズを突破した(Photo by Matt Sullivan/Getty Images)

2週間で8ラウンドの過酷な戦い

来季の米LPGAツアー出場権をかけた最終予選会「Qシリーズ」が12月2日に開幕する。米女子ツアーの予選会は1965年から行われ、岡本綾子も81年に出場して出場権を勝ち取っている。この予選会を突破することが、米女子ツアーに参戦する“王道ルート”と言えるだろう。

「Qスクール」と呼ばれる米女子ツアーの予選会のシステムは3年前に変更され、「ステージ1」「ステージ2」、そして最終予選会「Qシリーズ」の3段階になっている。日本からは多くの女子プロが世界ランク(ロレックスランキング)400位以内の資格で「ステージ2」から出ることができ、今年も2名の日本人が参加した。

12月2日に開幕する最終予選会「Qシリーズ」の出場資格は世界ランク75位以内。日本人では例年10人前後が該当し、渋野日向子と古江彩佳はこの資格でQシリーズに挑戦する。45位以内に入れば、晴れて米女子ツアーのメンバーとなる。

渋野は最近の試合で結果を残すなど、復調の兆しを見せ、古江は賞金女王争いに加わるなど好調をキープ。ふたりとも順当にいけば45位以内に食い込めるだろうが、2週間で8ラウンドの長丁場。実力もさることながら、体力と集中力も要求される過酷な戦いになるだろう。

ステージ1は広く門戸が開かれているが、そこから最終予選会に勝ち上がるには実力だけでなく時間と費用もかかり、現実的にはかなり厳しく狭き門。万が一、勝ち上がれたとしても、最終予選会には実力のある世界ランク上位の選手が参戦するため、多くの選手は翌年の下部ツアー「シメトラツアー」出場権どまりとなる


2021 LPGA「Qシリーズ」

ザ・ロバート・トレント・ジョーンズ・ゴルフトレイル(アラバマ州)

Week 1(12月2日~5日) マグノリア・グローブ
Week 2(12月9日~12日)ハイランド・オークス

最終予選会「Qシリーズ」は、432ホールを有するアラバマ州のモンスターコース「ザ・ロバート・トレント・ジョーンズ・ゴルフトレイル」で開催。第1週と第2週で使用するコースが変わる。計8ラウンド144ホールのストロークプレーで45位タイ以内に入ればツアーメンバーに。また45位以内に入れなくても、第2週の予選を通過した選手全員にシメトラツアーの上位出場資格が与えられる


【米女子ツアーメンバーへの道2】
「ノンメンバー40」の資格で出場

最終予選会「Qシリーズ」で45位以内に入れば、文句なしで来年のLPGAツアー出場権が手に入るが、もし突破できなかったとしても、1年後の最終予選会を待たずに2023年の出場権を手に入れられる方法がある。そのひとつが「ノンメンバー40」というシステムだ。

米女子ツアーのノンメンバーとして19年全英女子オープンで優勝した渋野日向子。20年シーズンを迎える前にメンバー登録をすればLPGA会員として20年の試合に出場することができたが、当時は「英語も話せないし……海外への意欲はあまりあるわけではない」と登録を見送った。そのため昨年から今年にかけてはメジャー勝者の資格と推薦によるスポット参戦で米ツアーに挑戦し、今回の最終予選受験に至っている。

しかし、メジャー優勝による出場資格がある大会は来年もあり、彼女の知名度や人気から推薦も多く得られるだろう。さらに世界ランク上位をキープできれば出場可能な試合は増え、そこで勝てば、そのままLPGA会員になることもできる。もし優勝できなくとも出場できる試合で上位を続け、獲得ポイントを積み上げていけば、「ノンメンバー40」の資格で23年の出場権が見えてくる。

「ノンメンバー40」とは
その年に出場した試合で獲得した「CMEポイント」の合計がポイントランク40位以内に相当すれば、翌年の出場権が付与される制度。昨シーズンまでは賞金ランクだったが、今年からポイントランクに変更された。16年には韓国のパク・ソンヒョンが推薦などで7試合に出場し、すべて予選通過、トップ10入り4度と活躍。賞金ランク17位相当で、翌年の出場権を獲得。そしてフル参戦初年度の17年に全米女子オープンを制すなど2勝して賞金女王に輝いた

【米女子ツアーメンバーへの道3】
スポット参戦の試合で優勝する

米女子のツアーメンバーになるもう1つの道が、米ツアーの試合で優勝すること。なかでも最も可能性が高いのが、日本で開催される日米共催競技で優勝することだ。

上田桃子は07年のミズノクラシックを制し、米ツアーへの挑戦権を手にした

新型コロナウイルスの影響により、昨年に続き日本単独での開催となった「TOTOジャパンクラシック」だが、一昨年までは「日米共催競技」という位置づけで、米女子ツアー公式戦として開催されていた。1999年から2014年までは「ミズノクラシック」という名称で開催され、上田桃子が07年大会で優勝。翌年から米女子ツアーに挑戦すると、11年も同大会を制し13年までアメリカを主戦場に戦った。

「オープン競技」で優勝する

畑岡奈紗とのプレーオフを制し、今年の全米女子オープンで優勝した笹生優花。笹生は世界ランク75位以内の資格で出場したが、オープン競技なので、プロ・アマ関係なく予選会を通過すれば出場可能。2014年からは米国以外でも予選会が開催されるようになり、日本地区最終予選が36ホールのストロークプレーで行われている。新型コロナの影響で昨年の予選会は中止となったが、今年はプロ63名、アマ45名の計108名で争われ、勝みなみやアマチュアの小暮千広さんなど5人が全米女子オープンの出場権を手にした。

昨年まではメジャーで優勝するとメンバーは5年のシード権が与えられていたのに対し、ノンメンバーには2年のシード権だった。これが不公平だという意見が多く、今年からメンバー同様、5年シードが与えられるようになり、優勝した大会のポイントも加算されることに。もちろん笹生優花にも適用されている。

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より

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  • 最終戦「リコーカップ」に出場できる選手は限られているため、シード当落線上の選手にとっては先週の「エリエールレディス」が事実上の今季最終戦となった。果たしてシード権争いのゆくえは? PHOTO/Hiroyuki Okazawa この試合までシード圏外だった柏原明日架が大逆転で滑り込み。そのほかにも、プラチナ世代の面々がシードを獲得する一方で、黄金世代や優勝経験のある実力者が続々シードを失った。女子ツアーは、ますます世代交代が進む形になった。 柏原明日架(賞金ランク46位)「とりあえず、ひと安心です」 「シードを取れたことはひと安心ですが、一年間結果に結びつかなかったので、この結果をしっかり受け止めてオフに取り組みたい。苦しい一年間を無駄にしないようにしたいです」 ルーキーイヤーに初シード獲得 賞金ランク4位西郷真央賞金ランク5位西村優菜賞金ランク12位山下美夢有賞金ランク21位吉田優利「この人初シード?」と思うかもしれないが、初勝利を挙げた西村優菜、吉田優利、山下美夢有、常に上位で戦っていた西郷真央もルーキーイヤーながら賞金ランク上位で初シードを決めた 念願の初シード! 賞金ランク25位金澤志奈 「賞金シードはひとつの目標にしていたので素直にうれしいです」 賞金ランク42位田辺ひかり賞金ランク47位菅沼奈々ほかにも田辺ひかりや菅沼奈々ら13人が初シードを獲得。黄金世代では、臼井麗香と植竹希望が新たにシード選手に。山路晶は賞金シードは逃したがメルセデス·ランキング47位で初シードを獲得した メルセデス·ランキング50位以内にもシード権今シーズンは賞金ランキングとは別に、各試合のポイントを合計した「メルセデス・ランキング」50位以内の選手にもシード権が与えられるようになった。両ランク51位~55位の選手には22年前半戦の出場権が与えられる 黄金世代はまさかのシード落ち続出 賞金ランク61位河本結 アメリカツアーに参戦していたため、出場試合数も少なかった河本。「昨年と今年は本当に辛かった。年をとったとき、『あのときの苦しみがあったから今がある』と言えるようにこれから頑張っていきたい」 賞金ランク52位淺井咲希 「今年一年はずっと調子がよくなくて……スコアを出すというよりは、ゴルフにならなかったので、試合をしているという感覚がなかったです。ただ、精一杯やったので悔いはないです」 賞金ランク64位新垣比菜 「昨年あまりうまくいかなくて、今年頑張ろうと思ったのですが……難しかったですね。QTは前向きに頑張りたい。日替わりのところがあるので、そこを修正したいですね」 賞金ランク62位吉本ひかる シーズンの最高順位が6位タイ、東海クラシックから7戦連続で予選落ちを喫するなどシーズンを通して調子が上がらなかった吉本。来年の巻き返しに期待したい 実力者も涙成田美寿々は9年守ったシードを失う 賞金ランク102位成田美寿々 「腰痛が思うようによくならなくて、練習もあまりできなかったのが痛かった。今はQTに向けてしっかり練習できています」 賞金ランク67位葭葉ルミ 「自分が怠けていたということは感じていないです。レベルアップしていたと思うんですが、周りの選手がそれ以上にうまかったです」 賞金ランク57位福田真未 「最後のボギーが痛かったですね。今年は調子が上がらず苦しかった。QTに向けて調子を整えて頑張っていきたいです」 賞金ランク70位永井花奈 「シーズンを通して調子が上がらなかった。QTで成績が出せるかと言うと、そこまでの自信はないけど、強い気持ちで頑張りたい」 初シードは13人2022年シード選手一覧 賞金ランキング、メルセデス・ランキングともに51~55位には22年前半戦出場権が与えられるが、賞金ランキング54位の宮里美香、55位の山路晶はメルセデス・ランキング50位以内(宮里美香50位、山路晶47位)でシード権を獲得。賞金ランキング52位の淺井咲希、メルセデス・ランキング53位の河本結はシード権を喪失したが、前半戦の出場権は確保。またシードに届かなかった賞金ランキング51位ささきしょうこ、メルセデスランキング52位林菜乃子、同55位の鶴岡果恋も前半戦出場を決めた 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より こちらもチェック!
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  • 女子ツアーを盛り上げる黄金世代やプラチナ世代。彼女たちの共通点は「緊張しない」と口にできる強いメンタルだ。専門家に話を聞くと、どうやら時代背景が大きく影響しているという。 若手女子プロは緊張しない世代!? 東京五輪で、ゴルフ競技として日本人初の銀メダルを獲得した稲見萌寧。2日目にスコアを6つ伸ばし、3日目にも3つ伸ばし、順位は金メダルを狙える3位タイまで上がった。日本開催でファンのみならず全国民の期待が高まり、相当なプレッシャーのかかる場面。当然、記者たちの質問は優勝争いの行方やメダル獲得に集中する。「最終日に向けて緊張はありますか?」という質問に対し、稲見はこんなふうに答えている。「あまり優勝争いをしているという感覚がありません。そもそも私、緊張しないんです。見ているみなさんが一番楽しめるのって、スコアが伸びて順位がどんどん上がっていくことだと思うんです。そのほうがプレーしている自分も楽しいですし、上手くスコアを伸ばしていきたいです」その言葉通り、緊張を感じさせないまま、銀メダルを獲得した。 稲見萌寧「ワタシ緊張しないんです」 今季ツアー8勝、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧は「まったく緊張しない」タイプ。東京五輪コーチの服部道子は「マイペースでプレーできますので安心して見ていられました」と語っている さて、昨今の女子ゴルフ界をリードするのは、黄金世代(98年生まれ)、プラチナ世代(00年生まれ)、そしてその間に位置する狭間世代(99年生まれ)といった20代前半の若手プロたちだ。そして狭間世代の稲見に限らず、彼女たちに共通するのが、緊張やプレッシャーとは無縁に見えるメンタルの強さだろう。たとえば賞金ランキングで稲見を追う、黄金世代の小祝さくら。今年の開幕戦、ダイキンオーキッドでの優勝コメントは「今日が最終日だと思っていなかった」と不思議すぎる発言。オフの早い時期から「賞金女王を目指す」と公言してきたが、一方で「目標であって達成できなくても死ぬわけではないですし」とプレッシャーとは無縁のキャラを見せている。同じ黄金世代の勝みなみも「楽しんでゴルフしよう」と、念願のメジャー、日本女子オープンを制覇した。賞金のかかった大舞台でも“楽しみたい”というコメントを発せられるのは、若手女子プロの大きな特徴だろう。またコメントを注意深く聞いていると、黄金世代の渋野日向子やプラチナ世代の西村優菜などは、「ギアを入れる」という言葉をよく使っている。これもメンタルコントロールのひとつの方法なのかもしれない。 小祝さくら「最終日と思ってなかった」 緊張やプレッシャーとは無縁の天然ぶりは女子ツアーでも有名だ。優勝争いをしている最終日でも「最終日とは思っていなかった」というメンタルの強さ。これは天然なのか!? 勝みなみ「楽しんでゴルフしたい」 日本ジュニア、日本女子アマ、日本女子オープンローアマ、そして日本女子オープンと日本タイトル4冠に輝いた勝みなみ。メジャー大会でも「楽しんでプレーしたい」という強いメンタルを見せた 渋野日向子「いけると思いギアを入れた」西村優菜「スコアを見てギアを上げた」 試合展開によって「ギアを入れる」ことができるのも若手女子プロたちの共通点。ボールやスウィングだけでなく、メンタルをもコントールできる技術があるのだ。ここぞという場面でスーパーショットが打てるのも強いメンタルがあってこそだ もっともプレッシャーを感じない、緊張しない、などということが本当にあるのだろうか? あるのだとして、そのようなメンタルの強さは、どのような理由で生まれ、そしてどのように育まれてきたのだろうか。それを解明するヒントとなるキーワードが「Z世代」だ。聞き慣れない言葉だが、専門家の話に耳を傾けてみよう。 25歳以下の「Z世代」は驚くほどマイペース 解説/原田曜平氏 1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーに。退社後、マーケティングアナリストとして活動。若者とメディアをテーマに次世代に関わる様々な研究を実施。「さとり世代」の名付け親でもある。著書「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」(光文社新書) 続きを読む 「女子ゴルフ界の中心を担う黄金~プラチナ世代はZ世代、アメリカでは『ジェネレーションZ』と呼ばれる世代です」と語るのは、若者文化に詳しい原田曜平氏だ。20代後半から30代半ばを「さとり世代」と命名した人物でもある。Z世代はその下であり、年齢的には25歳以下の若者を指す。原田さんによれば、これまで国ごとに世代論が語られてきたが、インターネットの発達により、インスタグラム、ティックトック、フェイスブック、ツイッターなど世界中で使うものが同じになった。そのためアメリカの世代論が日本でも使われるようになったのだという。「Z世代は日本でいえばアベノミクスの好景気のなかで育った世代です。超少子化で人手不足、さらにスマホ第一世代という時代背景が大きく影響しています。少子化ですから高校や大学は入学しやすいですし、人手不足だからバイトや就職も苦労知らず。つまり好きなことをやっていても何とかなる、という感覚があるんです。それが特徴のひとつであるマイペースにつながっています。周囲に流されることがないのでプレッシャーとも無縁。またアスリートは若いほうが有利といえますが、少子化で子供の数は減っているのに東京五輪でのメダルの数は増えています。これもZ世代の強さを示しています」Z世代のもうひとつの特徴が自分本位。原田氏によると自分本位とは“自己承認欲求”だという。「スマホ第一世代の彼女たちは、自分が発信すれば“いいね”がもらえてフォロワー数が伸びるわけです。そうしたSNSが当たり前の世代でもあります。だから“欲”はあるんです。一方で親のため、社会のためといった意識は希薄で自分が良ければいい、別に失敗しても死ぬわけじゃない、そういう自分本位でマイペースなところが強さの秘密ではないか」と原田氏は分析する。賞金女王を目指す小祝さくらの「達成できなくても死ぬわけじゃない」というコメントと見事に重なる。 日本の世代分布 1947-1951年生まれ団塊世代1966-1970年生まれバブル世代1971-1974年生まれ団塊ジュニア世代1983-1995年生まれさとり世代(ゆとり世代)1995-2010年生まれZ世代団塊からさとり世代は日本独自の世代論。だが、インターネットの発達やSNSの普及により、世界で使うものが統一され、世代論も同じに。「さとりとZの間であるメジャーリーガー大谷翔平は、Z世代に近いです」(原田氏) さとり世代(26~38歳)の特徴「安定志向」「欲がない」 リーマンショックなど不景気のなかで育った世代。消費欲がなく、超安定志向な傾向が強い。ガラケー世代でSNSも未発達なため、知り合いのみの内向きなタイプが多い。原田氏はその特徴を消費離れや行動範囲の狭さから「スモールライフ」と表現する。 Z世代(11~25歳)の特徴「マイペース」「自己承認欲求」 好景気・少子化で高校&大学入学、就職など、いい社会状況で育ったのがZ世代。その特徴であるマイペース、自分本位はスポーツとの相性もいい。「比較的裕福な人たちが子供を産む時代ですから経済的な余裕もあり、子供にかけられるお金も増えています。ですのでアスリートを育てる環境もいいんです」(原田氏) 週刊ゴルフダイジェスト2021年11月2日号より
  • ウッド類1万2000本、アイアン1000セット以上という膨大な在庫を誇るレンタルクラブサービス「クラブステーション」。果たしてどんなシステムなのか。「試打クラブ」と「ラウンドセット」の2種類あるレンタルサービスのうち、「試打クラブ」を体験レポート! クラブは高い買い物。買って後悔はしたくない。ショップや練習場で試打をして購入を決める人も多いと思うが、インドアでの計測や練習場での数球の試打だけでは分からないことも多い。練習場でじっくり打って、さらにコースでどんな球が出るか。そこまで確かめたうえでクラブを決めたいところ。そんな道具にこだわるゴルファーにピッタリなのが「クラブステーション」。あらゆるメーカーのクラブを揃える日本最大のレンタルクラブサービスだ。存在は知っていたものの、利用したことがなかったので、どんなサービスなのか、使ってみた。 クラブが多すぎて目移り!王道モデルをチョイス 今回利用したのは、「試打レンタル」。文字通り、クラブを借りて、期間内は自由に試打できるサービスだ。一度に借りられるクラブは3本までで、1本だと4180円、2本で4840円、3本借りると5500円(往復送料込み)。アイアンセットの場合は1セット5500円。通常は3泊4日だが、Myゴルフダイジェスト有料会員は7泊8日まで借りられる。練習場とコースでじっくり試せそうだ。クラブだけでなく、シャフト単体でも借りられるようなので、今回はドライバー1本とシャフト2本を借りることに。 主要メーカーはほぼすべてラインナップされている クラブステーションHPの「試打クラブ」ボタンから、「試打クラブを探す」へ進んでいくと、クラブの検索画面が現れる。試打クラブの検索は会員登録していなくても利用できるので、どんなクラブが借りられるのか一度覗いてみるといいだろう。 こちらが検索画面。クラブの種類、メーカー、ブランドの順で選び、さらに硬さやロフトなどの詳細条件を選んで検索できる 今回は、まだ打ったことがなかったテーラーメイドの「SIM2 MAX」を試してみることに。ちなみに最新モデルは発売日前から借りられるものが多い。 同じ「SIM2 MAX」でも、ロフトやシャフトの種類によって細かく取り揃えている。背景がグレーのクラブは、すでに借りられていることを示している ラウンド予定に合わせて期間を設定し、検索すると、運よく希望のスペックが空いていた。「スピーダーエボリューション7 661」が付いたクラブを選択し、別で「ツアーAD HD-6」と「ディアマナTB60」のシャフトも借りることに。スリーブも、もちろんヘッドに合わせて選択できる。 シャフトのランナップもかなり充実している 届いたクラブは、専用の青いケースに梱包されていた。中には1本のドライバーと2本のスリーブ付きシャフト、それにトルクレンチが入っている。返却するときはどうすれば? と思ったら、中に返送用の宅急便伝票も同梱されていた。これを貼り付けて返送するだけなのでカンタンだ(郵送料金もレンタル料に含まれているので払う必要はない)。 届いたクラブはこんな感じ。シャフト交換用のトルクレンチも同梱されている 練習場ではツアーADしかしコースでは……? さっそく練習場で試打。人気のモデルだけあって、ヘッド性能は申し分ない。現在使用しているヘッドよりも、スピン量が少なく、いつもなら吹き上がって弱いスライスになりそうな当たりのときでも、比較的強いフェードで飛んでいく。続いてシャフトを付け替えてみる。普段じっくり打ち比べたことがなかったが、こうして同じ条件で比較しながら打ってみると、性格の違いがよく分かる。スピーダーはやはりつかまりがよく、出球から左になることも。一方ディアマナは球がつかまりきらず、右にすっぽ抜けることも。ツアーAD HDが最もタイミングが合いやすく、方向性が安定していた。 練習場でカチャカチャしながら打ち比べるのも楽しい そして満を持してコースへ。スタート前の練習場でも、やはりツアーADが一番いい球が出たので、意気揚々とスタートティーへ。最初の数ホールは、フェアウェイをとらえいい感じ。風に負けない強い球で、距離もいつもより出ている。ところが後半に入ると、右に押し出すことが多くなってきた。そこでスピーダーに差し替えると、つかまったいいドローが出た。打ち出しも高く、いわゆる高弾道・低スピンの飛ぶ球筋に。コースでは練習場よりも振ってしまうぶん、中~手元調子のシャフトだと振り遅れ気味になるのだろうか。先調子系のほうがしっかりとヘッドが戻ってくれてタイミングが合いやすかった。 「黄金スペック」探しの旅はつづく… 結果、「SIM2 MAX」のヘッドに「スピーダー」のシャフトが自分にはピッタリ合いそうな気がしたが、ちょっと後半、振りが重く感じたのが気になるところ。せっかくなら、今度はちょっと軽いシャフトでも試してみたい。50g台のSとXを借りてみようか。いや、その前に通常の「SIM2」、いや、キャロウェイの「EPIC MAX LS」ヘッドも試さなくては……。というわけで、悩みがいっそう深まった気もするが、練習場とコースでシャフトを打ち比べられたのは、まるでプロにでもなった気分で、なかなか得がたい経験だった。自分に合った究極の1本を追求したい方は、ぜひ一度試してみてほしい。 「クラブステーション」を体験してみる Myゴルフダイジェスト有料会員は「クラブステーション」がお得に! MyGD会員限定のスペシャル特典をチェック
  • PHOTO/Yasuo Masuda、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara、KJR THANKS/北谷津ゴルフガーデン 今年前半だけで5勝を挙げ、東京五輪で銀メダルを獲得した稲見萌寧。6月に初優勝を果たすと次の試合でも優勝しブレイクした木下稜介。2人の急成長プロを指導するのが、プロコーチの奥嶋誠昭。稲見は2018年12月、木下は2019年11月から指導を受け始め、たちまち第一線で活躍するプレーヤーに成長した。果たして2人にどんな教えを施したのか。その一端を特別公開! 解説/奥嶋誠昭 おくしまともあき。1980年生まれ。神奈川県出身。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、木下稜介、イ・ボミ、高橋彩華を指導。横浜のノビテックゴルフスタジオで、GEARSを使ったアマチュアレッスンも行っている 長所を生かす3つの“しなくていいよ” GD 稲見プロの指導は、2018年の12月からですね。奥嶋 当時、稲見プロは、飛距離を伸ばすため、クラブをシャロー(鈍角)に下ろしてドローを打とうとしていました。でも、それが僕には無理しているように思えたんです。GD というと?奥嶋 稲見プロは、腕の使い方がバツグンにうまくて、本来はややスティープ(鋭角)に下ろすスウィングなんです。だから、ドローを打ちにいくと、どうしても引っかけや右プッシュが出やすい。GD なるほど。奥嶋 合わないものを無理に取り入れようとしないで、いま持っている財産を生かそうよ、と稲見プロに話しました。彼女はスティープにクラブを動かすセンスがバツグン。だったらそれを生かして、スティープな軌道に合うフェードでいこうよ、と。GD その判断で、稲見プロのショットメーカーの才能が一気に開花したわけですね。奥嶋 稲見プロに教えているのは、終始一貫、オンプレーン(アドレスで構えた位置にクラブを戻す軌道)に振ることだけです。バックスウィングで上げた軌道どおりに下ろしてくるイメージでいいよ、と言っています。 しなくていいよ1「シャローに振らなくていいよ」 「シャローに振ろうと苦労していた稲見プロに、スティープ(やや上からの軌道)でいいと教えました。スティープな軌道のほうが、バツグンにうまい手の動かし方を生かせると判断したからです」(奥嶋) しなくていいよ2「ドローを打たなくていいよ」 「ドローボールを打とうとしていた稲見プロに、カット軌道でフェードを打つようにすすめました。クラブをスティープに動かす稲見プロには、ドローよりもフェードのほうがイメージしやすいはずだからです」 しなくていいよ3「左に踏み込まなくていいよ」 「稲見プロは、腕や上半身をうまく使う反面、体重移動はやや苦手。切り返しから左に踏み込むとミート率が落ちるので、無理に踏み込まず、右サイドで振ればいいと教えました。これでショットが安定しました」 これぞショットメーカーの証どちらがダウンスウィングか分かりますか? 稲見のスウィングを見ると、バックスウィングとダウンスウィングの軌道がほとんど変わらない。これこそが、ショットメーカーの証拠だと奥嶋コーチは言う。「稲見プロには、とにかくオンプレーンに振ることだけを教えています。その結果、ショットの精度が格段にアップしました」 稲見萌音の1Wスウィング 左片手打ちでフェードを磨き抜いた GD 稲見プロは、どんな練習を積んで、ツアー屈指のフェードヒッターになったんでしょうか?奥嶋 稲見プロはオンプレーンに振ることを練習テーマにしています。そのためにやっているのは、8Iを左手1本で打つドリルですね。GD 左の片手打ちですか!奥嶋 そうです。稲見プロは、左腕の感覚で振ると出球が揃うタイプなんです。それと、精度の高いフェードには左のリードが絶対ですから、左手1本のドリルというわけです。GD 稲見プロはどのくらい打つんでしょうか?奥嶋 このドリルは、オンプレーンスウィングの確認作業で、インパクトゾーンを真っすぐ動かすための練習です。彼女は8Iを左手に持って、バックスウィングとダウンスウィングの軌道の確認作業を延々と続けていますよ。トップの位置を確認して、ゆっくりとインパクトまで下ろして、左手1本でボールを実際に打つ。稲見プロは何時間もその練習をやっていますが、アマチュアの方なら100球くらいから始めるといいですね。 Drill 1左手1本でボールを打つ 「フェードを打つには、左腕のスウィング弧が大切。そのため、稲見プロは左手1本でボールを打つドリルをやっています。クラブ軌道を確認しながら素振りして、その軌道をなぞるようにボールを打ちます。低く長いインパクトゾーンを覚える練習なので、フルスウィングする必要はありません」(奥嶋) Drill 2クラブ軌道を確認してから打つ 「トップからハーフウェイダウンまでの動きを2~3回繰り返して、ダウンスウィングの軌道を体に覚え込ませます。そのイメージが消えないうちにボールを打ちます」(奥嶋) パットの秘密は限りなく真っすぐに近いインtoイン GD 稲見プロは入れまくるパットも有名ですよね。奥嶋 彼女はインパクトゾーンのヘッドの動かし方をずっと磨いてきて、これはドライバーからパッティングまで共通しているんです。GD パッティングはまさにインパクトゾーンだけの動きですよね。奥嶋 稲見プロのパッティングは、ヘッドをスクエアに真っすぐ動かす技術に長けているんです。彼女が練習でいつも愛用しているシートがあるんですが、わずかにイン・トゥ・インに描かれている線の上をスクエアに動かす練習を繰り返しやっています。ボールを数多く打つことより、インパクトゾーンのヘッド軌道の精度を上げるほうが、狙った方向に正確に打ち出せることを知っているからですね。GD 稲見プロのバーディラッシュは、この練習のたまものなんですね。 インパクトゾーンの正しいヘッドの動きを染み込ませる 「このシートには、わずかなイン・トゥ・インのヘッド軌道とフェースの向きが描かれています。この線に沿ってヘッドを正確に動かせるかどうか、稲見プロはそれだけに集中して練習しています」(奥嶋) 稲見の極上パット2つのポイント 【Point 1】右ひじに余裕を持たせる 「稲見プロは、右ひじを体に付けてストロークするクセがあるので、右ひじを体から離したほうがスムーズにストロークできるよ、とアドバイスしています」 Point 2両ひじを水平に動かす 「稲見プロは、手首の角度を保って、腕で作る五角形を崩さずにストロークしています。そのためには、ひじを水平に動かすイメージを持つことです」 稲見萌寧のパッティングストローク 7勝のうち6勝はこのパター 「稲見プロの勝ち星は、このパター(テーラーメイド「トラスTB1」)のチカラも大きいと思います。方向が出しやすくて、インパクトのフェースのブレが小さい特性がピッタリだったようです」 https://my-golfdigest.jp/lesson/p36263/ 後編はこちら 週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より こちらもチェック! https://my-golfdigest.jp/tournament/p33481/ https://my-golfdigest.jp/tournament/p13355/ 稲見萌寧関連の記事が気になる方はこちら 稲見萌寧の記事をもっと読む