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【世界基準を追いかけろ!】Vol.61 オンラインでのコーチングには限界がある

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は前週に続きコロナ禍で活躍できる選手、活躍できない選手の差について考察した。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 目澤さんはコロナ禍でのコーチングの難しさについては、どう感じていますか。

目澤 コロナ禍でのコーチングの問題は、ツアー会場へのコーチの入場制限と関わってくると思いますね。アメリカのPGAツアーは基本的にコーチの入場制限がないので、実際にコロナの前後で状況はあまり変わりないわけです。でも日本の場合はコーチの入場が制限されるので、ツアーでのコーチングは限られてきます。そうなると、コーチと選手はビデオやオンラインでやり取りをすることになるわけじゃないですか。

GD 以前も話に出ましたけど、オンラインのやり取りは限界があるということでしたが。

目澤 オンラインはやっぱり難しいですね。

GD 感覚の部分が伝わらないからですか。


目澤 そうですね。2Dのビデオの場合、撮っている映像の大きさとか撮る角度によってシャフトの見え方が変わってくるので、細かな動きのレッスンになると難しくなります。ただそこは、コロナ禍の問題というよりは、そもそもオンラインのコーチングの難しさだと思いますけどね。

GD 医療の遠隔診療が抱える問題などと共通していそうですね。

目澤 そうですね。それで対面でのコーチングが必要ということになるんですが、日本の女子ツアーでは、コーチがキャディとして入場するといった策が取られているものの、これが果たしてどのような効果があるのかは不明です。

GD 黒宮さんは、今年のシーズン、女子ツアーで何回くらいキャディをやったんですか。

黒宮 昨年の10月から入れると10試合はやっていますね。

GD やってみて、どうでしょう。不都合なことなどありますか。

黒宮 試合中なので、僕らは選手が期待するようなコーチとしての働きや協力はなかなかできないですよね。専門外であってもキャディとしての仕事は基本的なことはやれますが、専門のコーチの仕事のほうは、選手が普段取り組んでいる課題の成果などを見て、応援をすることくらいしかできないのが現状です。

GD 課題の達成状況を見て、そこで指導をしたりスウィングの矯正をしたりはできないんですか。

黒宮 試合中に指導をしたからといって、すぐにその場でスウィングが良くなり、それが成績につながるということはまずないと思います。

GD ラグビーの試合でも、スタンドの上からヘッドコーチがインカムで指示を出すのは戦術的なポイントであって、試合中にスクラムの組み方を教えたりはしないですよね。

黒宮 もちろん戦術的なマネジメントは、先ほど言ったようにキャディの基本的な仕事としてというより、コーチとしてもアドバイスはできます。でもコーチとしての指導の場合は、試合が始まる前の月曜日とか火曜日に一日かけて、そこで対面でスウィングを見るということが一番有益な方法であると思います。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月9日号より