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「一切のゆるみがない」復活・ 渋野日向子の最新スウィングを塩谷育代が解説!

渋野日向子のゴルフが再び加速し始めた。スタンレーレディスで1年11カ月ぶりの優勝。翌週の富士通レディースは最終日が雨天中止になったものの1打差3位。シーズンオフから着手したコンパクトなトップのスウィングは、現在平均飛距離247ヤード、フェアウェイキープ率68.7%とスタッツも上昇中。ツアー中継の解説などで渋野を見てきた塩谷育代に新スウィングについて聞いた。

PHOTO/Shinji Osawa

コンパクトなトップが合うタイプ
そう感じていました

今年初戦のダイキン(オーキッドレディス)でスウィングを見た際、驚いたことを覚えています。でも、大袈裟にやらないと変えられないのがゴルフの常。強い信念を感じました。

私が変化を大きく感じたのは、アドレス。前傾が浅くなり、骨盤が地面と平行に近い角度で回るようになり、結果的にフラットな軌道に変わりました。骨盤を前傾させるより、自分自身の骨格にはこれが合うと考えたのでしょう。実際、軸の安定につながっています。


渋野日向子の1Wスウィング【正面】

トップがフラットでコンパクトな位置になりましたが、体勢にはゆるみやパワーロスの動きが一切ありません。個人的には以前から「渋野選手はトップが深くないほうが合うはず」と見ていたので、これは正解だと思います。春先は手でなぞるように見えましたが、今は骨盤や下半身のリードで動いています。加えて、筋力の強さを高め続けている成果で、ダウンスウィングでの上半身の開きが抑えられています。それらが飛距離と精度に表れていますね。

骨格や関節について、もう1点。私も渋野選手と同じ“さる腕”タイプなのでわかりますが、両わきを締めるようにひじ頭を下に向けると左右のひじが近づきます。このひじ位置のまま、前腕を回して左右の手を横からグリップ。ここから腕に頼らず上体を回せば、(前述のように)トップはコンパクトになるのが自然です。今の動きが熟成されれば飛距離もさらに伸びると思います。

体にゆるみがない

「骨盤が平らに回り、股関節が回転をしっかり受け止めています。力むわけでもなく、ゆるみもありません」

上体を開かず振る

「球が大きく曲がる人は渋野選手のようにトップをコンパクトにして体を開かず振る練習をしてみてください。自分に合ったトップの位置がつかめるはずです」

渋野日向子の1Wスウィング【後方】

解説/塩谷育代
1962年生まれ、愛知県出身。ツアー20勝、賞金女王に2度(1992年、1995年)輝く。現在はツアーのコースセッティングや中継解説で活躍中

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月9日号より

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