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【バレルスウィング徹底解説】#2 「フェースを“戻そう”という意識はいりません」

腕をどう使い、どう前傾角度を保つのか?「実は、この理論めっちゃ気になっているんです!」と言う、ティーチングプロとして活動している遠藤璃乃。糸山氏に一日入門し“バレル”を体験した!

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara、Yasuo Masuda、yoshihiro Iwamoto、Takanori Miki、Getty Images THANKS/木更津GC

解説/遠藤璃乃

えんどう・りの。1994年生まれ。埼玉栄高ゴルフ部を経てアメリカへゴルフ留学。JLPGAティーチングプロA級ライセンス取得(インスタ

解説/糸山実

いとやま・みのる。野球のバレルスウィングをゴルフに取り入れ発信を行う。現在は臼井麗香を指導し復活に向けて奮闘中。YouTube「ミノルの気ままなゴルフ」も人気


左腕の正しいセットがバレルの最重要事項

野球の「バレルスウィング」はバットを寝かせる動きが特徴。ゴルフでこれをやると、左手の甲を地面に向けて上げる「シャット」の動きとは反対に、左手のひらを外側に向け、最終的には飛球線後方に向けるように左腕を「内旋」(肩から内側に回すこと)させて上げることになる。フェースはオープンになるが、それがバレルの基本。

「バレルでは、ダウンスウィングでフェースの向きを変えるような手の動きを使わないので、最初に正しく腕をセットすることが大事です」と、糸山氏。まずはこの形を覚えよう。

左肩をアゴの下に入れるように上げる

左肩を意識して上げると、手首だけで上げるのを防ぐことができ、なおかつ「腕を正しく上げる」ことにも意識を向けられる。「体を回そう」とすると、腕の意識が消えてしまう

アドレスから左人さし指を外しておく

左手の人さし指をギュッと握ることで、左腕はシャットに上がりやすくなる。人さし指を外す(力を抜く)と内旋させながら上げやすい


最初は左手1本の素振りで覚えよう

両手で握ると右手の感覚が邪魔して、左手のひらの向きを感じづらいので、最初は左手1本でクラブを振るのがいい。正しい腕の動きだけを意識して素振りを繰り返す


トップから腕を回さず手首もこねない

トップで左手のひらを後ろに向けた位置にセットできたら、ダウンスウィングはその腕の状態を一切変えずに下ろすのがバレルの肝。

「手を返したりしてフェース面を変えることは一切せずに、左手のひらを下(地面)に向けながら下ろすイメージで、ボールに対して真っすぐ力のベクトルを向けます。インパクトが点ではなくゾーンになって、ボールを強く押せます」(糸山氏)

腕を「横」に振ろうとすると体も流れやすくなるので、あくまでも下ろす方向は上から下。自分から見て、やや右斜め前に手を下ろす感覚があるといい。


ボールに向かって腕を下ろしていく

トップでは左手のひらが後ろ(飛球線)を向いた状態。この腕の状態をキープしたまま手を地面に向けて下向きに下ろす

ボールをゾーンでとらえられる

手を下ろす向きが真っすぐボール方向で、横の動きも伴わないので、力のロスを最小限にしてゾーンでインパクトできる

Point 1
右下方向に下ろしていく

上から下に下ろすといっても腕が肩からつながっている以上、トップから真下に手を下ろすことは不可能。イメージとして自分から見て右下方向に手を下ろしていく

Point 2
体の回転ではなく鎖骨の“入れ替え”

テークバックでは左の鎖骨を下げ、ダウンスウィングではその位置に右の鎖骨を入れ替えるようなイメージで体を回すと、軸ぶれせずに上体を縦に動かせる

グラスを逆手で持って水をこぼさないように運ぶ感覚
これで意識付け

グラスを逆手で持って水をこぼさないように運ぶ感覚
これで意識付け!


水の入ったグラスを左手で逆手に持ち、右(トップの位置)から左に移動させる。左手のひらの向きの意識付けになる


右から左に動く意識はダメ

左への体重移動、腕の左(横)方向への運動はバレルではNG。横方向の動きが入ると、手首をこねやすくなり、内旋した腕の形をキープするのが難しくなってしまう

フェースは手ではなく体全部でスクエアにする

ここで遠藤コーチの疑問。左腕内旋のトップはフェースオープンだから、「そのまま下ろしたらインパクトでもフェースが開くのでは?」

でもご安心を。ダウンスウィングで上体の「前傾」(=右側屈)を深くすれば、フェースをスクエアに戻してインパクトできる。ホアキン・ニーマンのインパクトで、そのメカニズムがよくわかる。

「深い前傾を保ったまま回転すると、その動きによってフェースはスクエアに戻ります。前傾が起きたり腰が浮くとフェースが開くので注意が必要です」(糸山氏)

ダウンスウィングで強烈に右わき腹を縮めて(側屈)、上体全部でボールに向かうようなニーマンのインパクト。左腕は内旋状態のままフェースが閉じているのがわかる

前傾するとフェース面の角度もついてくる


直立して胸の前でクラブを立て、体を右に回すとフェースは正面を向くが上体を前傾させるとフェースは地面方向を向く。つまり前傾を保ったまま振れば、フェースは開かない


前傾を深くするためには腰を安定させる!

腰が安定すると前傾が保ちやすい

アドレスでは、相撲の四股を踏む要領で両足を地面にドカッと下ろし、股関節を広げて構える。両股関節間が狭いと上体の回転につられて下半身も回ってしまいねじれが生じ前傾が起きる

広げておいた股関節を一気に縮めていく

遠藤コーチの疑問がもうひとつ。「深い前傾を保つコツは?」その答えは「右股関節」にあり。

「アドレスで広げておいた両股関節の間隔を狭めるようにして、とくに右股関節を左足方向に寄せながらダウンスウィングするのがポイント。インパクトまで前傾の角度を変えないためには、上体は単なる前傾ではなく強い右側屈をします。右わき腹を縮めながら上体を右に倒そうとすると、自然と右股関節を左足に寄せる感覚になるはずです」


ダウンスウィングで右股関節が伸びる(伸展する)と、その瞬間に上体が起き上がる。股関節を曲げた(屈曲した)まま、内側に寄せると上体を起き上がらせずに回転できる

小さな動きで鋭い速さを生む

股関節を内側に寄せることでズレがなくなりスピードを上げていける。ダウンスウィングで右の股関節を左足側に寄せていくことで胴体がブレず前傾姿勢が維持されていく

右股関節を寄せる①

右尻に力を入れて押していく

右の尻の大きな筋肉に力を入れて、右股関節を左足太ももに寄せていく。後ろから押すことで下方向にも力をかけやすく、腰が浮きにくい

右股関節を寄せる②

手元は左後ろに引っ張る

ダウンスウィング後半から、手元を左前ポケット方向に引っ張るようにして振る。左後ろに引くことで右の股関節を左足に寄せやすくなる

月刊ゴルフダイジェスト2026年6月号より