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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.53「かつての日本オープンは“渦巻きラフ”。グリーン周りでロストも」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

前回のお話はこちら

今年の日本オープンは、僕が1993年に優勝させてもろうた琵琶湖CCが開催コースになります。コースは同じやけど、改造でまったく別のゴルフ場のようになっております。

僕が勝ったときには、コースの全長は6879ヤードのパー71でした。今回は7317ヤードでパー70です。この数字を見ただけでも、まるで別のコースです。そのうえに、昔と今ではコースセッティングががらりと違うのです。

今はベントグリーンですけど、昔はパンパンに硬いコーライ芝で、キャリーで落とすと、乾いておって埃が出そうな雰囲気やったですね。


以前の日本オープンの定番セッティングといえば狭いフェアウェイと深いラフです。しかもラフは渦を巻くように芝をねじっておりました。フォアキャディの人が「ここです」と教えてくれはるんやけど、すぐ近くに行っても「ここって、どこですか?」というぐらいボールが見えへんのです。「この中です」と指さしてもろうて、「ああ、あるわ」となるんです。

せやけど、アドレスすると稲みたいな芝が覆いかぶさっておって、ボールが見えへんようになることもありました。「おそらく、この辺りやろうな」と思って打ったことが何回かありました。

グリーンまわりは、全米オープンなんかでよう見かける、ツルツルに刈り込んで、ボールが止まらんとか、ちょっとショートすると、どんどん転がり落ちるというセッティングが今は主流です。

僕らのときは、グリーンのカラーからすぐのところは、渦巻きラフですよ。5ヤードぐらいのアプローチでもだるま落としの空振りなんていうことも珍しくなかったです。

古賀GCのときですけど、ピーター・シニアがパー3で3~4ヤードグリーン左に外して、それがロストになったことがありました。一緒にまわっておった僕や、マーカーの人、最後はギャラリーの人にも参加してもらって、ボールを捜したんやけど、ついに見つからんかったのです。

今回、距離が440ヤード近く伸びて、パーは70と昔より1つ減るセッティングです。さて、優勝スコアはどれくらいになるのでしょうか。

1993年、ジャンボ尾崎に逆転勝ち

「今と違った意味で難しいセッティング。4日間が終わってアンダーパーは3アンダーの僕ひとりだけで、2位のジャンボさんが2オーバーでした」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月26日号より