【目澤秀憲の目からウロコ】佐藤謙太郎編②コースの難易度を決める最大要素。風が「回る」のはなぜ?
目からウロコ
目澤秀憲コーチが、異業種からゴルフのヒントを得る連載「目澤秀憲の目からウロコ」。お相手は前回に続き、ゴルフコース設計家の佐藤謙太郎氏。風は「空中のハザード」と呼ばれるように、コースの難易度と深く関わっている。よく「風が回る」というが、それはどういう地形で、なぜ起こるのか。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara

目澤秀憲 ゴルフ界の最先端を知り尽くすコーチ。現在は河本力、金子駆大、永峰咲希、阿部未悠などを教える
>>前回のお話はこちら
- 目澤秀憲コーチが、異業種からゴルフのヒントを得る連載「目澤秀憲の目からウロコ」。日本では過去に数度「ゴルフブーム」が起こり、とくにバブル期にゴルフ場が「粗製乱造」された感は否めない。多くのコースが今、抱えている問題とは? TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Tadashi Anezaki 佐藤謙太郎 株式会社M&K代表取締役。日本ゴルフコース設計家協会理事長……
プロも惑わす
空中のハザード
――前回、ゴルフ場設計の基本的なルールについてお聞きしました。今回は、コースの「難易度」を決める要素について、伺いたいのですが。
佐藤 やっぱり、プレーヤーにとって一番厄介なのは「風」ということになるでしょうね。イギリスのリンクスコースだって、もし風が吹かなかったらそんなに難しくないでしょうから。
目澤 確かにそうですね。全英オープンを開催するコースは、今の基準だと全長距離が短いことが多いですし、風のせいでボールが動くから、グリーンはむしろ他のメジャーに比べて速くない。それでも風が吹いている限りは、とんでもないアンダーパーの優勝スコアにはならないですから。
佐藤 リンクスは地形が特殊ですから再現するのは難しいですが、日本も島国で風は吹きますから、空中のハザードとして、設計段階でも考慮します。
目澤 風は1方向から吹くだけじゃなくて、ホールによっては風が「回る」ということがありますよね? あれは、どういう要因で起きるのでしょうか。
佐藤 たとえば、北風が吹くコースで、南側に山とか小高い丘があるとすると、それにぶつかって風の方向が変わります。それで、ぶつかった風が向かう方向にさらに山があったりすると、またそれにぶつかって方向が変わるわけです。コース全体としては北風なのに、ホールによって南から風が吹くということが起こるんですね。
目澤 なるほど。それは、山のような大きなものではなく、単独の大きな木が1本あるといったことでも、起こる現象ですか?
佐藤 単独の樹木だと、風が回る原因にはなりにくいです。少なくとも30メートル以上の高さで、土地自体がこんもりしていないと。
目澤 土地の高低で言うと、低いところのほうが風が回るイメージがあるんですが……。
佐藤 そうですね。土地がくぼんで「鍋底」のようになっている地形だと、風がそこに集まって回りやすいです。オーガスタ(ナショナルGC)の12番(パー3)で、世界のトッププロがあれだけ番手を間違えるというのは、明らかに風が「回る」影響ですね。私自身も、ジャンボ(故・尾崎将司氏)がマスターズに出たときに、一緒に行って現地を見ましたが、12番の辺りが低くなっていて、鍋でいったらちょうど底の部分に当たるんですよね。
目澤 そうです、そうです。だからあのホールは風が回ることが多く、結果難しいんですね。

風は低くなっているところに集まる性質がある
イギリスのリンクスのように土地が平らで、周辺に風を遮るもの(山など)もない場合は、風向きはある程度一定になる。日本のコースのように周囲を山に囲まれ、アップダウンも多い場合は、風向きが一定にならず「回り」やすい
「コース全体の『等高図』も場合によっては必要ですね」
キャディやプレーヤーが持っている「ヤーデージブック」には、もちろん風向きも記入されていますが、個々のホールで実際に感じる風と微妙にずれていることもよくあります。それは、土地の高低だったり、周囲の山の配置だったりによるものだということを聞いて、すごく納得しました。たとえば、山岳部の人たちが使うような、土地全体の高低がわかる等高図があったら、もっと正確に風向きがつかめるのかもしれませんね。
月刊ゴルフダイジェスト2026年9月号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック





















