Myゴルフダイジェスト

【わかったなんて言えません】Vol.50 今平周吾#2「飛距離も欲しいけど、感性は失いたくない」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。ゲストは前回に続き、2年連続賞金王の今平周吾。世界で戦っていく上で飛距離が大事というのは痛感している2人だが、それによって犠牲になるものもあるようで……。

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん

ご指名/今平周吾

埼玉生まれ。ツアー5勝。2年間の米国武者修行を経て2011年プロ入り。27歳67日での複数回賞金王はジャンボ尾崎を抜いて最年少記録

前回のお話はこちら

時松 今平プロの存在が強烈に印象づけられたのは、僕がプロ入りしてしばらくした2014年、チャレンジツアーで次々と勝ち始めて、強い選手だなって。

今平 ジュニアのとき、会ったことはなかったけど、僕は源ちゃんの名前を知ってたよ。珍しい名前だったというのもあるけど、ショットが曲がらない子がいるって噂になってて。

時松 おっ! 僕、ジュニアの頃は、稲森(佑貴)くんより「曲がらない男」だったんですかね(笑)。

今平 接点はあまりなかったから、仲良くなったのはレギュラーツアーの試合会場で頻繁に会うようになってからだね。

時松 だけど、ご飯、まだ一度も一緒に行ってもらってないですけど?(笑)。

今平 そういえば行ってないね(笑)。僕は、選手同士で食べるときもあるけど、誰と食べると決めているわけじゃないし、一人でも平気なタイプ。

時松 今平さん、血液型AB型でしょ? 僕もそうなんですけど、自分の世界があるんですよ、AB型は。人と合わせるのが好きじゃないというか。

今平 確かに、気を使うことが得意ではないかも。一人が気楽に感じることもある。先輩から食事にあまり誘われることもなくて、それは僕の性格をわかってもらっているのかもしれないです(笑)。

時松 でもそういう性格って、チームスポーツよりもゴルフ向きかも、ですよね。孤独な戦いに耐えられるという。

今平
 とはいえ、今度源ちゃんの地元の福岡ででもいいから、ご飯行こうね。透明なイカの刺身とか、サバとか、美味しいものを食べに。

時松 ぜひぜひ! そういえば4月に、久々に一緒にラウンドさせてもらったとき、珍しくドライバーが新しいなと気づきました。出球が高弾道で低スピン。けっこう飛んでいて驚きました。

今平 長年使ったドライバーをチェンジするのは、最初は勇気が必要だったけど、飛ぶから替えちゃおうと。だけど、また最近になって元のクラブに戻したんだ。

時松 2016年モデルに?


今平 そう。飛距離が伸びたのは魅力的なんだけど、意識的に曲げる球がうまく打てないなと。フェードをかけても左に行ったまま戻ってこない感じがして。

時松 最近のクラブは曲がらないように直進性が高く設計されていて性能がいいですからね。逆にコントロールは少ししにくくなる。シャフトは? 長尺とかも試したりするんですか。

今平 試してみた。だけど振り遅れちゃって。

時松 僕も同じっす。

今平 やっぱり僕は、的確に球を狙いどころに運びたいから、長尺は無理かなと。

時松 それも同じっす。とはいえ、飛距離も、ってなるんですよね。国内ツアーならこのままでも戦えるけど、海外を目指すなら、その葛藤は生じますよね。

今平 うん。だからドライバーや長尺を試すだけじゃなく、筋トレもけっこうしっかりやったんだ。そうしたらアイアンの飛距離まで伸びちゃって、ガッと力が入ると、10ヤードとかオーバーしちゃう。そうなると距離感がね。

時松 ドライバーだけ飛んでくれればいいのに(笑)。

今平 鈍感なタイプは筋トレで飛距離アップもいいかもしれないけど、感性で勝負しているようなタイプだと、あまりやりすぎても……。それに、僕はどうも関節が強くないらしく、ケガも怖くて。飛距離アップもいいんだけど、長くゴルフを続けるということも大切でしょ。

時松 そういえばショーン・ノリス、久々に会ったとき体がさらにデカくなっていて。フェード一辺倒で攻めるイメージなのに、ロングホールをハイドローで、余裕で2オンしていて。これ以上飛ばせるようになってどうするんって思いました(笑)。

今平 世界が飛距離アップの方向に流れているから。僕が思うのは、その流れを見てあきらめるんじゃなくて、それに乗っていかないといけないと。現状で満足していたら、いつかは世界に追いついていけなくなってしまう。小手先のゴルフじゃダメだよなって。

時松 はい。

今平 感性を失わずに筋トレを継続していくことを、うまく両立させられないかなと模索中。

時松 実際に海外の選手がすごいなと思うのは、飛距離も求めながら、感性も優れている選手、いっぱいいますもんね。

今平 そう! キャメロン・チャンプと回ったとき、彼は飛ばし屋として有名だけど、やっぱりアイアンも上手い。いま僕は筋トレをそれほどせずにいるから、週3日くらいやっていたときより2キロは体重が落ちた。でも、それでいいと思っているわけではないんだよね。

時松 こんなに強い今平さんでも向上心を忘れないって、刺激になります!
(つづく)

飛距離アップをあきらめない!

「世界が飛距離アップの方向に流れている。その流れを見てあきらめるんじゃなくて、それに乗っていかないといけない。だから、感性を磨くことと筋トレを両立する方法も模索したいですね」(今平)

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より