Myゴルフダイジェスト

【わかったなんて言えません】Vol.49 今平周吾#1「パリ五輪は出たい。でも一番は海外メジャー」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、2年連続賞金王の今平周吾。東京五輪代表の座を逃した今平だが、テレビで観戦しながらどんなことを思っていたのか……。

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん

ご指名/今平周吾

埼玉生まれ。ツアー5勝。2年間の米国武者修行を経て2011年プロ入り。27歳67日での複数回賞金王はジャンボ尾崎を抜いて最年少記録

時松 先日のフジサンケイクラシック、優勝おめでとうございます!

今平 3年連続賞金王を目指してやってきて、この優勝から乗っていければいいなと。今年の前半は自分なりにいろいろとやっても、なかなか結果が出なかったんだよね。調子が上がってきたところでの優勝だったから嬉しかったです。

時松 最終日の5番(パー4)、20ヤードのアプローチを60度でチップイン。さすがっす!

今平 ちょっと球が沈んでいて、浮いていれば上げて寄せられたんだけど、ワンクッションを選択したんだよね。打った瞬間はちょっと強いかなと思ったけど、カップに入ってくれてよかった。

時松 今年は前半、まだ結果が出なかったときに東京オリンピックがあって。もしコロナ禍で五輪が1年延びていなければ、今平さんが出てたでしょ。

今平 地元埼玉の霞ヶ関CCが会場だったし、出たいとは思っていた。でも僕は切り替えが早いほうだから、オリンピックに出られなかった悔しさはもうなくて、しょうがないよなと。それに、調子が上がってこなかった状態で僕が出ても、いい成績は出せなかったと思う。試合もなかったから、オリンピックはのんびりテレビで見てた(笑)。

時松 僕もオリンピックはゴルフに限らず見ていましたけど、いやぁ、僕は国を背負うまではしきらんです(笑)。柔道とか見ていても、日の丸をつけるって、重圧がハンパなさそうで……。

今平 通常のトーナメントとは違った雰囲気で、特別感があったよね。3年後のパリ大会には出たいと、あらためて思った。ただ、オリンピックもいいけど、やっぱり目指しているのは海外メジャーかな。メジャーは国を代表するというよりも、個人の戦いだよね。

時松 海外メジャー、出場されたどの大会が一番感激しました?

今平 やっぱり、マスターズ。他のメジャーはタフなセッティングと飛距離で圧倒されるけど、マスターズはラフがそんなに深いわけでもないし、距離が長いわけでもない。ただ全体の雰囲気とコースの美しさだけで、もう感動して。だって、初めて出場できたときの1番ティーで、手が震えたから。


時松 今平さんでも手が震えるなんてこと、あるんすね?

今平 ティーアップするとき、ボールを落としはしなかったけど、指先がブルブルしているのが自分でわかった。

時松
 今年は松山(英樹)さんの優勝で日本中が大騒ぎでしたけど、そもそもマスターズって、出られるだけでとんでもなくすごいということを、みなさんにもっとわかってほしい! 世界ランキング50位以内に入るってことが、どれだけ大変なことか。

今平 (笑)。確かに最初は出られただけでも嬉しかった。マスターズに出ることを目標に昔からゴルフをしてきたということもあったから。そのマスターズで日本人が勝てたということは刺激になりました。ただグリーンが難しすぎて勝てる気はしないけれど(笑)。

時松 今平さんといえば、僕は「究極のオールラウンダー」だと思っているんです。ショットは曲げない、アプローチはピンをデッドに攻めてくる、パターも上手。スキが見当たらない!

今平
 自分としては、全体的に平均点ぐらいかなと。大きな欠点はないかもしれないけど、「これで勝負している」という1つ飛び抜けているものがないというか……。

時松 そうかなぁ。フジサンケイもそうでしたけど、僕は今平さんのアプローチは、ホント真似できん上手さ。カップまで距離がない場面でも、フワッと上げて寄せる技術は圧巻っす。

今平 アプローチは、小さな頃から好きだった。

随所に光る今平の小技は練習のたまもの。「今でも落としどころが絞られている難しいグリーンは嫌いじゃないです」(今平)

時松  上げて寄せるのが上手だから、グリーンからこぼれることも恐れずにセカンドでピンをデッドに狙っていける。僕は転がすアプローチを基本に考えるからグリーンは外したくない。

今平 アプローチを磨けたのは、2年間海外留学していたことも多少はいい影響があると思う。向こうは日本みたいに手前から花道を転がしてなんとかなるというホールが少ない。池が多かったり、ラフがキツかったり。ピンも狙うし、こぼれることも多いから、アプローチも練習することになる。

時松 なるほど。

今平 それに向こうでよかったことは、とにかく練習がいっぱいできたこと。だって、ゴルフしかやることないんだから(笑)。しかもアメリカは、スループレーが基本。朝からスルーで1ラウンドして、午後からもう1ラウンド、なんてよくやってた。それもよかったのかな。

時松 海外留学の強みって、やっぱりあるんすね~。(つづく)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月28日号より