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【インタビュー】権藤可恋<後編>「日本女子プロで予選落ち。『ここからだ』と切り替えました」

2024年「ステップ・アップ・ツアー」賞金女王となった権藤可恋。引き続き、現状の課題やセルフケア、今季の目標などを聞いた。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Yasunari Okuda、Shinji Osawa、Getty images THANKS/相模原GC

権藤可恋 ごんどう・かれん。1995年10月11日生まれ。佐賀県出身。2024年はステップ・アップ・ツアーで初優勝を含む2勝を挙げ同ツアー賞金女王に

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2位でも出られるけど
やっぱり1位を目指そうと…

―― 2024年の話に戻りますが、何か課題は見つかりましたか?

権藤 1年間戦うなかで、調子の波がありました。悪い時はなんとかごまかしながらプレーができてはいたんですが、もっと毎試合の修正が必要になると思います。レギュラーツアーはスケジュールもハード。全試合、全ラウンド100%に持っていくのは無理ですが、何とか調子をキープしてピークを作りたいです。
 あと、この3年間はショットの練習に時間を費やしてきたので、今年はパットです。もちろん練習は積んでいましたが、もっと分析して修正できたら。去年の9月、ソニー日本女子プロゴルフ選手権に出て予選落ちしたんですが、コーチに来てもらっていたんです。そこでパットをしっかり見てもらいました。予選落ちした後もコースに残って練習し、助言を受けました。すると、その翌々週に中国新聞ちゅーピーレディースで2勝目。9月以降ステップの試合のスケジュールは詰まっていたし、女子プロ選手権で予選落ちしましたが「ここからだ」と思っていました。

日本女子プロ選手権で予選落ち。「ここからだ」と切り替えました

5月にステップで初優勝後、レギュラーツアーのソニー日本女子プロ選手権で予選落ち。コースに残って猛練習した。「飛行機は日曜でしたから(笑)」


―― 予選落ちからギアを上げたんですね。

権藤 ステップで年間2位でも翌季はレギュラーツアーに出られるんですが、やっぱり1位を目指そうと思ったんです。それが良かったかな。そして、結果が出たことで周囲が喜んでくれるのがうれしかったですね。家族はもちろん、地元の人やスポンサーの皆さん……。2019年にシード落ちしてから、時間がたってしまって。みんなの期待に応えられない自分が歯がゆかったんですが、何とかステップで結果を出せました。

―― 頑張る人にご褒美が来るんですね。

権藤 ステップの雰囲気やレベルの高さも自分のプラスになったかなと思います。選手の顔ぶれ、すごいですよ。例えば、去年はイ・チヒさんもいて、彼女のプレーを間近で見られる。若い選手はもちろん、私たちも本当に勉強になりました。

―― チヒ選手、どんなところがすごかったですか?

権藤 まず、上手いのは大前提で、あとはプレーのリズム、集中のしどころとか。時間をかけるべきところはかけて丁寧に、でも全体のテンポはよく、みたいな。メリハリというのかな。プロになりたての頃などは緊張が先に立ってプレーのペースが上がらないことがあります。私もルーキーのときは注意されたことがありますから。そんなときは、試合で調子のいい選手やイ・チヒさんのようなベテラン選手のプレーをよく見るといいと思います。

―― 権藤選手も若い選手の手本となる立場ですね。

権藤 いやー、若い選手はほんと上手いから。なれるかな(笑)。

―― 今年のレギュラーツアーはどうなるでしょうか。

権藤 去年、好成績を残した選手が軒並みアメリカに行くこともあり、毎試合、誰が勝つかわからない感じで面白いと思いますよ。もちろん私も頑張ります!

ゴルフでケガをしたことがない

―― 今、体の調子はどうですか? どこか痛いところなどありませんか?

権藤 あ、ケガはしたことがないんです。

―― ケガをしたことがない?

権藤 父と母から強い体をもらったというのはもちろんあると思うんですが……。これまでスウィングを強制的に直したり、無理な練習をしたりしたことがないんです。打っていて何か違和感を覚えたらすぐやめます。もしかしたら人生で打った球数が他の選手より少ないかも。
 ケアは地元に帰ったらトレーナーさんのところに行きますが、転戦先ではセルフケア。自分の体の状態は自分で把握するのが基本です。あとはここ2年ぐらいかな、食事は気を付けています。具体的には、小麦粉、白砂糖、添加物は極力避けています。

―― 白砂糖、おいしいですけど……。

権藤 ですよね(笑)。私も甘いものは大好き。だから、家にいるときは自分で作っちゃう。マフィンとかパウンドケーキとか。自分で作ると、小麦粉じゃなくて米粉にするとか、甘味は白砂糖じゃなくてハチミツでつけるとか工夫できるんです。あとは主食は米にする、揚げ物は続けないとか。ストレスにならないよう、できる範囲でゆるくやっています。

―― やはり白砂糖は避けたほうがいいんでしょうか。

権藤 私の場合は、白砂糖や小麦粉などを避けたほうが集中しやすいような気がします。神経が研ぎ澄まされるというか……。

―― 体の声を聞いている?

権藤 そうかもしれませんね。

―― では最後に今季の目標をお願いします。

権藤 最低でもシード権を取ること。あとは出たことのないリコーカップに出場したい。そして……レギュラーツアー初勝利ももちろん目指します。去年ステップで勝って、これほどみんなが喜んでくれるのかと驚きました。レギュラーでもと思いますね。人が喜んでくれるのってうれしいです。

―― 2025年、権藤プロのどこに注目しましょうか?

権藤 うーん、難しいけど……リズムかな。あとは、力感とか。

―― アマチュアゴルファーが身につけたくてたまらないもの。

権藤 はい、権藤可恋の脱力感にご注目ください!

週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号より