【インタビュー】権藤可恋<前編>「“新しいスウィング”が“自分のスウィング”になりました」

2024年ステップ・アップ・ツアー賞金女王となった権藤可恋。若い選手が台頭する日本のプロゴルフ界で、キラリと輝く“中堅選手”のストーリーを聞いた。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Yasunari Okuda、Shinji Osawa、Getty images THANKS/相模原GC

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- 2024年「ステップ・アップ・ツアー」賞金女王となった権藤可恋。引き続き、現状の課題やセルフケア、今季の目標などを聞いた。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Yasunari Okuda、Shinji Osawa、Getty images THANKS/相模原GC 権藤可恋 ごんどう・かれん。1995年10月11日生まれ。佐賀県出身……
スウィング改造が
実を結んだ
――ステップ・アップ・ツアーの賞金女王、おめでとうございました。年末年始も忙しかったでしょう?
権藤 はい。スポンサーさん回りや地元の九州でペアマッチのお仕事など意外なほど忙しかったです。
――12月17日はJLPGAのアワードにも参加されていました。ブルーのドレスがお似合いでした。
権藤 ありがとうございます。いつも洋服を買っているお店の方に「こういう式があって、去年の様子はこんな感じで」と説明したら5パターン提案してくださって。その中から選びました。身に着けるものって人に選んでもらうほうが良いことがけっこうありますね。プロのアドバイスは聞くものです(笑)。
――これからは仕事としてゴルフ場以外の場に出ることも増えますね?
権藤 そうなんです。去年の5月にツインフィールズレディースでプロ初優勝してからはプロアマや前夜祭に呼ばれることも多くなりました。華やかな場にきちんとした格好で臨んだり言葉遣いに気を配ったり、そういう経験も大切だなと思っています。楽しみながらやっています。
――初優勝が5月、2勝目は9月でした。
権藤 今のコーチ(高武大輔氏)について丸3年ぐらいですが、1年目はスウィング改造に取り組みました。それに慣れて、試合で使えるようになるまでは少し時間がかかりましたが、日に日に良くなっている実感はありました。最近では“新しいスウィング”という感じではなくなって、そこから試合の中で臨機応変に引き出しを開けるイメージになっています。
――スウィング改造とは具体的にどんな感じだったんですか?
権藤 コーチに習う前、グリーンを狙うショットがスランプ気味で、自分の力ではもうどうにもならないと思ったんです。手首を使いすぎて、ボールをうまくフェースに乗せ切れず、極端に言うとフェースがボールの下を抜けていくような感じでした。ティーショット、アプローチ、パッティングには不安がなかったので、コーチに「ここさえ直せたらまた頑張れると思うので、見てください」とお願いしたんです。それから、しっかりロフトを立てながら当てるイメージにシフトしながら、でもこれまでの自分の手の感覚も消さないようにしました。それが2024年シーズンでようやく噛み合ってきたと思います。
「ツアー撤退を考えたこともありました」
シード落ちした2019年。「ゴルフをやめようと思ったことはなかったのですが……」納得できないプレーが続いた

――ゴルフを始めた頃はお父さんに習っていたんですよね?
権藤 最近のゴルファーとしては遅い10歳ぐらいでのスタートです。昨年7月に亡くなった父が「娘たちが思春期であまり話をしなくなっても、共通の趣味があればコミュニケーションが取れる」と考えたようです。もくろみは成功でしたね。
――すぐにプロを目指そうと思ったんですか?
権藤 小6の頃に決心しました。中学は硬式テニス部で、部活を終えてから打ちっ放しに行く生活。体力はついたと思います(笑)。
――家族でラウンドしたことはありますか?
権藤 学生時代はよく回っていました。中学時代は土日は父とラウンドするのが恒例でしたし。
――当時のスコアはどんな感じでしたか?
権藤 高校の頃は私がいつも勝っていて、そのうち父が「今日のハンディは10な」と言い出したりして(笑)。
――楽しそうな競技生活ですね。
権藤 それが最初はつらかったんです。始めるのが遅かったこともあり、中学の頃は試合に出ても、他の選手たちの輪に入っていけなくて。みんな上手いので一緒に回っていて恥ずかしいやら申し訳ないやら。コースに向かう車の中で「行きたくない」と思うこともしょっちゅうでした。
――そんなジュニア時代があったんですか。
権藤 あれから15年ぐらいたちましたが、今のジュニアの選手たちは本当に上手い。私の中学時代とは段違いです。トレーニングで体もしっかりしていて、ほんと飛びますね。あとは解析技術の進歩で“目指す数字”がある。私たちの頃は、ゴルフは十人十色で正解はないよ……みたいな感じでしたけど、今は違います。でも、最終的にはどれだけ楽しんでプレーできるか、なのかなと思います。
「高校に入る前は大会が苦痛でした」
2013年にナショナルチーム候補選手となり、2014年の日本女子アマではベスト8。エリートゴルファーの経歴だが、中学までは「他の選手に申し訳ないと思うほど下手でした」

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週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号より