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【インタビュー】櫻井心那<後編>「全英女子オープンに出場してドライバーの課題が明確に」

ステップ・アップ・ツアーで5勝を挙げ、本格参戦したレギュラーツアーで4勝。あっという間に女子プロ界の主役候補に躍り出た櫻井心那にロングインタビュー。後編では、現在のスウィング面の課題や取り組んでいる練習などについて詳しく聞いてみた。

PHOTO/Osamu Hoshikawa、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Takanori Miki

櫻井心那 さくらいここな。2004年生まれ長崎県出身。7月資生堂レディスでツアー初優勝を果たすと勢いに乗り、シーズン4勝。10代でのツアー3勝は史上3人目の快挙

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  • ステップ・アップ・ツアー5勝という驚異的な成績を挙げ、満を持してフル参戦したレギュラーツアーで4勝。あっという間に女子プロ界の主役候補に躍り出た櫻井心那にじっくり話を聞いた。 PHOTO/Osamu Hoshikawa、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Takanori Miki 櫻井心那 さくらいここな。2004年生まれ長崎県出身。7月資生堂……

新たな課題が見つかった1年

――ドライバーが櫻井プロの強みだと思いますが、飛ばしへのこだわりを教えてください。

櫻井 飛距離はもちろん大事ですが、今は球の強さが欲しいです。最近はアゲンストでも吹き上がらない球が打てるようになってきましたが、まだ横からの風に弱い。全英女子オープンに出場して、ドライバーの課題が見えてきました。

――全英女子オープンで何を感じたのでしょうか?

櫻井 23年シーズンで、一番悔しかった試合が全英なんです。自分のゴルフが全然通用しなくて、悔しいというよりも悲しかったです。球筋もスウィングの再現性も……。とくに、全英は風が強かったというのもあって、球筋のコントロール(球の低さや強さ)とか。全英で一緒にラウンドした、イ・ジョンウン6がめちゃくちゃドライバーが上手で驚きました。すごく飛ぶというわけじゃないのですが、球がまったくブレずに本当に真っすぐしかいかない。風が吹いていても彼女には関係ないみたいでしたね。どうやって打ってるんだろう〜? って、思っていました。わたしは飛距離は出るけど、球の強さや安定感に欠けている。イ・ジョンウン6みたいな“ドライバーが上手い”選手に憧れますし、そこを目指しています。

――具体的には、どんな練習をしているんですか?

櫻井 後半戦や疲れが出てくると、スウィングの再現性が落ちてきちゃうので、体幹を鍛えて持久力をつけることに力を入れています。あとは、スウィングのタイミングとボールの当て方(入射)を意識して、球の強さを高める練習をしています。感覚の部分が大きいので、言葉では上手く説明できないんですけど、ティーの高さを変えたり、ティーは打たず球だけ打ってみたり、フォローの風が吹いていたら風にボールを乗せるイメージにしたり、いろんな練習をしています。でも、自分のフィーリングを大事にしています。

――昨年、櫻井プロを取材をしたとき、ドライバーは振り切ることを大事にしていると話していましたが、それは今も変わらないですか?

櫻井 そうですね、今も振れなくなる現象は起きるので、そこは変わらず意識しています。これも持久力不足なんですが、疲れてくると振れなくなってくるので、マン振りをする練習を今も変わらずにやっています。


自分が納得しないと前に進めない

――19歳とは思えないほど、自分をよくわかっている印象を受けますが、この性格は昔からですか?

櫻井 高校の時に九州の強化選手に選ばれて練習した経験が大きいかもしれません。そこでいろいろ教えてもらいました。練習の仕方や考え方もそこで教わって。やらなきゃいけないことを見つけて、チャレンジして、試合で試して失敗して……そのサイクルを繰り返し行うことがどれだけ大事かを学びました。

――練習日を見ているとかなり練習するほうだと思います。

櫻井 考えながら練習すると、自分がやるべきことがいっぱい見えてくるんです。やらないと不安になるし、よくしないと優勝できない。そう考え出したらキャディさんに止められるくらい練習しちゃうんですよね。納得しないと終われないタイプかな。

「やめろと言われるまで永遠に練習しています」

櫻井はツアーの中でも練習量が多い選手。「練習が好きというわけではないんですが……課題があるので、それを克服しようと思ったら自然と長くなる。集中すると誰かに言われるまで永遠にやっています(笑)」

――シーズン4勝にメルセデスランキングも5位とステップアップしましたが、海外挑戦への気持ちも大きくなりましたか?

櫻井 海外挑戦は昨年からイメージしてましたし、今年は良い順位で終われたのでさらに自信がつきました。あと、今年のアメリカのファイナルQTを見て、勇気をもらいました。一緒に戦っていた先輩方が活躍して(西郷真央2位T、吉田優利7位T)LPGAツアーの出場権を獲得したので、すごいなと思うと同時に自分も頑張ろうと思いました。

「海外挑戦の夢はより具体的になりました」

――やはり同世代の活躍や、ライバルは刺激になりますか?

櫻井 すごく刺激をもらっています。自分がさぼったらすぐ抜かされちゃうし、いつでも気を抜けない環境を作ってくれる存在ですね。今年はたまたま結果が出たけど、次はどうなるかわからない。でも、負けたくない気持ちがあるから頑張れます!

――ゴルフは職業ですが、楽しいですか?

櫻井 楽しいです! それに、練習の成果が出たらもっと楽しい。気持ちが落ちたりつらいときのほうが多いけど、練習は苦じゃないし自分で考えながらやれているからこそ楽しいです。

――最後に24年シーズンの目標を教えてください。

櫻井 目標は年間女王です!(即答) 優勝争いをしているときが好きで、崖っぷちの状況でその追い込まれている感覚にワクワクします。優勝できたら達成感も最高ですしね!

櫻井心那の1Wスウィング(正面)

櫻井心那の1Wスウィング(後方)

月刊ゴルフダイジェスト2024年2月号より