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【飛ばしたいなら“ゆっくり”振る】<後編>最大のポイントは「切り返し」をいかにゆっくりできるか

飛ばすためには、速く振るよりもむしろゆっくり振ったほうがいいと主張する横田英治プロ。では実際にゆっくり振るためにはどんなことを意識すればいいのか。さらに詳しく聞いてみた。

TEXT/Kenji Oba PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/クラブハウス

解説/横田英治

プロ、アマ問わず、わかりやすいレッスンが人気。ギアに詳しく試打企画でもおなじみ。女子プロの岸部桃子を指導中。自らが主宰するゴルファーが集まる総合ゴルフサロン「クラブハウス」が千葉県にオープン

>>“ゆっくり”振ったほうが飛ばせる理由とは?

“ゆっくり振る”のは切り返し

「ゆっくり振る」とは具体的にどうすればいいのか。横田英治プロによれば、テークバックに注意が必要だという。

「『もっとゆっくり振りましょう』とアドバイスされると、ほとんどのアマチュアは“ゆっくり”クラブを上げようとします。実はこれが大きな間違いです。スウィングの90%は切り返しで決まりますが、ゆっくり振るというのは、この切り返しをゆっくりさせることなんです。そのためには、テークバックは素早く上げたほうがいいんです」

横田プロによれば、力の出し方には強弱の波があるという。力が入れば力が抜け、力が抜ければ力が入る……という波だ。つまりテークバックをゆっくり行うと、次の切り返しで力んでしまうのだ。それを逆にするには、テークバックでクラブをスッと上げる。すると切り返しで力みが消え、ゆっくり振れる、というわけだ。

「切り返しは自分では見えない部分。ですからここをどうゆっくりできるかが重要です。そのポイントがテークバックにあるんです」

切り返しがゆっくりになると、ダウンスウィングでタメができ、クラブがインサイドに下りる。アウトサイドイン軌道はヘッドが直線的に動くが、インサイドアウト軌道は背中側から曲線を描くため、助走距離が長くなり、重力や遠心力の働きが大きくなる。その結果、ヘッドが加速するのだ。


「ゆっくり切り返せるとダウンスウィングからインパクトにかけ、右ひじが体の近くを通ります。インサイドアウト軌道&シャローな入射角ですから球のつかまりもよくなります。一方、切り返しを急ぐほどアーリーリリースになるため、右ひじが体から離れてしまい、カット軌道になるんです」

ちなみに力の波で考えると切り返しでゆっくり(弱く)できると、インパクトに向かって自然と速く(強く)なっていくのだ。

「最後にフォローはヘッドが加速するか、減速するかの違いです。ゆっくり振ろうとすれば、ヘッドは加速し、速く振ろうとするほど、減速するのです。フォローが大きく、フィニッシュの高いプロや上級者は、ゆっくり切り返す動きができているのです」

ゆっくり振る。その意識だけでいいことがテンコ盛りなのだ。

始動
ゆっくりするのは切り返し
テークバックは速くていい

テークバックはスッと素早くを意識しよう。ゆっくり振れというとテークバックをゆっくり、あるいは緩んで手上げになるアマチュアが多い。ここでエネルギーを使うことで、切り返しの力みが防げる

切り返し
ゆっくりを意識すればクラブはインに下りる

“ゆっくり”振るのはテークバックではなく切り返し。切り返しをゆっくりにすることで、クラブが自然とインから下りやすくなる

ダウンスウィング
クラブが曲線を描くと助走距離が長くなる

アウトサイドイン軌道では、ヘッドが直線的に下りてきて入射角が鋭角になりやすい。切り返しをゆっくりにしてインから下ろすことで、ヘッドの軌道が曲線を描き、助走距離が長くなってヘッドを加速させやすくなる

インパクト
右ひじが体の近くを通る

切り返しで脱力できると右ひじは体の近くを通る。ダウンスウィングのタメが生まれるほか、入射角がシャローになって、打ち出し角やスピン量なども適正になる

フォロー
ゆっくり振ればフォローも大きくなる

プロや上級者のフォローが大きく、フィニッシュが高いのはヘッドが加速している証しだ。一方アベレージゴルファーの多くが、フォローが小さく、フィニッシュも低いのはヘッドが減速しているから

「ゆっくり振る」を
身につける3つのドリル

ゆっくりの効果はわかったが、実際にゆっくり振るためには、どんな練習をするといいのか? 横田プロが一番にすすめるのが、砂や水の入ったペットボトルをヘッド後方に置き、それを真っすぐ押し退けてボールを打つドリルだ。

Drill 1
ペットボトルを真っすぐ押し退ける

「始動でエネルギーを使うとゆっくり切り返せる」
テークバックで水の入ったペットボトルを後方に押し退け、ボールを打つ。最初にエネルギーを使うと次の段階、つまり切り返しで力が抜け、ゆっくり振れるようになる

【メリット1】重さを感じて上げる>>素早いテークバック
ヘッド単体だと重さは感じづらいが、水の入ったペットボトルを押せば、誰でも重さを感じられる。重さを感じることで、理想的で素早いテークバックが身につく
【メリット2】アウトサイドに上がる>>インサイドに下ろしやすい

ペットボトルを真っすぐ押し退けると、クラブがややアウトサイドに上がっていく。その結果、切り返しでループし、インサイドに下ろしやすくなるのだ
【メリット3】体を使って上げる>>切り返しがゆっくりになる

水や砂の量にもよるが、ある程度の重さがあると手上げ防止になる。体を使ってクラブを上げる=エネルギーを使うことで、切り返しのゆっくりが生み出せる

Drill 2
極端に短く持って打つ

切り返しの力みが自然に抑えられる

可能な限り短くクラブを握り、ボールの上にヘッドをセット。普段のアドレス状態からボールを打ってみよう。速く振ろうと力むほど、ヘッドがボールに届かなくなる。切り返しの力みが自然にとれる

Drill 3
クラブ逆さ素振りから球打ち

クラブの重さを感じることでゆっくりがわかる
まずクラブのヘッド側を持ち、思い切り振る。そのあとすぐに通常の持ち方に切り替え、ボールを打つ。軽いモノから重いモノへと感覚を変化させることで、クラブの重さを実感できる。「速く振ろうとするのは、クラブの重さを見失うこと。クラブの重さを感じられると、ゆっくり振る感覚もつかみやすくなるんです」(横田)

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より