【ストロンググリップが合う人・合わない人】<前編>フックに握ったからといってスライスが防げるとは限らない
プロアマ問わず主流になりつつある「ストロンググリップ」。さまざまなメリットがあるからだが、実は「誰にでも合うグリップではない」と北野正之プロは言う。では、どんな人に合うのか。詳しく話を聞いてみた。
PHOTO/Yasuo Masuda、Blue Sky Photos THANKS/サザンヤードCC
解説/北野正之
女子プロやアマチュアの指導経験が豊富。伸び悩むゴルファーへ「気づき」の指導を得意とし、スウィング理論、メンタル、マネジメントに精通。茨城・サザンヤードCCでレッスンを行う
フェースの開閉がしにくい
大型ヘッドに合う
シャットフェース、シャローイング、地面反力など、最新スウィングのキーワードはいくつもあるが、「ストロンググリップ」も欠かせない要素のひとつだ。フックグリップと言われる「ストロンググリップ」は、なぜ増えたのか? アマチュアの指導に定評がある、北野正之プロに聞いてみた。
「いちばんの要因は、大型ヘッドに合う握り方だからです。重心距離が長い最新のドライバーヘッドは、一度フェースが開いてしまうと元に戻す(スクエアに戻す)のが難しくなります。だから、フェースの開きを抑えるグリップが必要になったのです。それがストロンググリップというわけです。ストロンググリップは、フェースをシャットにしやすく、最新スウィングとも相性がいいのです。
実際、米ツアーでは、ほとんどの選手がストロンググリップです。その代表が“超ストロング”に握るD・ジョンソン、B・ケプカ、R・マキロイです。ほかにもR・ファウラー、J・ローズなど、一流選手の多くがストロンググリップです。その流れがアマチュアにも浸透してきた、ということは言えるでしょう。ただ、マスターズを制した松山英樹選手はスクエアグリップですし、J・スピースは、ウィークに近いスクエアグリップです。プロがみんなストロンググリップではない、ということは知っておくべきでしょう」
大型ヘッドに合うのがストロンググリップというのであれば、プロに限らず、アマチュアにも最適なはずだが、実はそこに大きな誤解があると北野プロは指摘する。
「今のドライバーを使ううえでストロンググリップは有効な握り方ですが、万人に合うかというと、そうでもないのです。ストロンググリップにすると動きが窮屈、振りづらいと感じるアマチュアは少なくないはずです。ストロンググリップがつかまるグリップと思っているアマチュアも多いです。実際、レッスンの現場でもストロンググリップを勧める傾向はありますが、ストロンググリップにしたからといって、スライスがすべて防げるわけではありません。大切なのは自分の技術レベルやスウィングタイプに合った握り方かどうか、なのです」
「ストロンググリップ」のメリット
●フェースの開きを抑えられる
●ボールを強く叩ける
●大型ヘッドに合う
フェースの開きが抑えられることで、シャットな状態でクラブをコントロールできるのが最大のメリット。そのためインパクトが低く長くなり、ボールを強く押せる。これが叩けるグリップといわれるゆえんだ
米ツアーでは「ストロンググリップ」が主流
「ストロンググリップ」の代表:
ダスティン・ジョンソン
ブルックス・ケプカ
ローリー・マキロイ
左手をかぶせるように握るのがストロンググリップ。超ストロングになると正面から見て左手の甲が見える形に。シャットフェースとの相性がよく、ドロー(フック)が打ちやすいグリップだ
「スクエアグリップ」の代表:
松山英樹
ジョーダン・スピース
ジャスティン・トーマス
左手甲がターゲットに向くように握るのがスクエアグリップの基本。左手のひらが上に向くよう、少し開きぎみに握るとウィークグリップになる。グリップによってアドレスにも違いが表れる
ストロンググリップは今や主流と言える。だが、合わないゴルファーがいるのは間違いない、と北野プロは断言する。
「ジュニア時代からストロンググリップで始めたゴルファーは別ですが、アマチュアの多くはストロンググリップが合わない可能性が高いですね」
>>ではストロンググリップが合わないのは
どんなタイプ? 後編へつづく
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