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【松山英樹アイアン研究】<前編>「聞いたことのない音」「強いけどやわらかい」プロ仲間の証言

インパクトの安定感、音、球の高さ、球質、どこを切り取っても一級品の松山英樹のアイアン技術は、どのようにして生まれ、磨き上げられてきたのか? まずはその凄さについて、プロ仲間に話を聞いた。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Takahiro Masuda

同業のプロゴルファーからも一目置かれる松山英樹のアイアンショット。日本屈指のアイアン巧者、宮里優作をして「アイアンのコンタクトが、毎回毎回、すごくいいところから入って、めちゃくちゃクリーンに当たるのがすごい。『カシュッ』という音でわかります」と言わしめるほど。

インパクト音については、宮里以外のプロの口からも、「すごい」という証言が得られた。大学の後輩、比嘉一貴にによると「VISA(16年VISA太平洋マスターズ)で優勝したときに一緒にラウンドさせてもらって、聞いたことのない音の『分厚さ』にびっくりしました。ZOZO(21年ZOZOチャンピオンシップ)の練習場で見たときもそれは変わってなくて、音を聞くだけでナイスショットだってわかる感じでしたね」。

単に強い衝突が起きた音ではなく、意思を持ってボールを操ろうとしている音。だからすごい。木下稜介は、「ショートアイアンは『ブワッ』じゃなく、『ふわーん』という感じで、真っすぐ、やわらかく飛ぶんです。入射角が絶妙で、スピン量が最適な証拠です」と言い、岩田寛は、「(松山が自身最高のスウィングをしていたと語る)13年のスウィングが好きで、スロー再生して何度も見ましたが、『腰から腰』がものすごく安定していましたね。あのスウィングなら、“一生”曲がらないです」と言う。

アイアンの機能を熟知し、狙ったところにボールを運ぶにはどう振ればいいか、突き詰めた結果が「音」に凝縮されているのだ。

プロ仲間の証言

「入射が安定しているから、手を離すような当たりでもピンハイまでいく」(宮里優作)

「腰を切りつつ、前傾角度をキープして打つので、入射角が一定。上体の強さとやわらかさがないとあの打ち方はできません」

「“一生真っすぐ行くじゃん”って思った」(岩田寛)

「一緒に回って、ミドルアイアンの音を1球聞いただけで、『はい、ピンそば』と確信するほど。それくらいヘッドの入りがいい」

「あの音は日本ツアーでは聞いたことがない」(比嘉一貴)

「どうすればあの音が出るのか、練習すれば到達できるのかと聞かれると不安になるほど、特別な『音』ですね」

「手で投げたように飛ぶ。あとからボールが出てくる感じ」(木下稜介)

手先で打っていないから、運んでいる感じが出る。ロングアイアンの球も強いけどやわらかい。だから止まるんです

>>驚異的な「音」と「再現性」はどうやって生まれる?
スウィングを詳細分析

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より

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