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【動画あり】ミスの原因は打ち込みすぎ? アイアンは“ゆるやか軌道”が大正解<前編>

アイアンというと「上から打ち込むものと思われがちだが、松山英樹をはじめ、アイアン巧者のスウィングを見ると、非常にゆるやかな入射角で軌道でインパクトを迎えていることが分かる。果たしてプロはなぜゆるやか軌道で打っているのか。そのメリットとは? アイアン上手になるための正しいインパクトの作り方を教えてもらおう!

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Taku Miyamoto、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Takanori Miki THANKS/浅見GC、新武蔵丘GC、樫山ゴルフランド、ヒルトップ横浜クラブ 
ILLUST/Takeshi Shoji

解説/黒宮幹仁
くろみやみきひと。松田鈴英などを教えるプロコーチ。アメリカの最先端スウィングを学んだ知識を生かしレッスンを行う

ゆるやか軌道はなぜいいの?

ヘッドがインから下りて
つかまった強い球になる!

「アイアンはとにかく打ち込め」と言われていた時代は、ボールのバックスピン量で高さを出していた。だが、現代のボールは低スピンなので、ロフトを立てて(上から打ち込んで)当てると高さが出ないことも。「ゆるやか軌道」で、クラブなりのロフトで当てるほうが、止まる球が打てるというワケだ。加えて、「アウト-イン軌道は入射角がきつくなり、イン-アウトだとゆるやかになります。つまり、『ゆるやか軌道』で打つということは、インから、つかまる軌道で打てるということでもあるんです」と、黒宮幹仁コーチ。イン-アウト軌道でつかまえられれば、長めの番手でも苦にならない。現代のクラブ、ボールを使いこなす最大のコツが、「ゆるやか軌道」なのだ。

ゆるやか軌道のメリット1
インから下りるから球がつかまる

ゆるやか軌道のメリット2
インパクトゾーンが長くなり再現性が上がる

ゆるやか軌道のメリット3
トウダウンが少ないからロフト通りに打てる

●プロの入射角は3度前後
アマチュアのアイアンの入射角を計測すると、7度程度のダウンブローになっていることが多く、中には10度ものダウンブローの人も。一方、プロのアイアンの入射角は3度前後。アマチュアの入射角がきつくなる最大の原因はアウト-イン軌道。さらに、アイアンは上から「打ち込むもの」という思い込みの影響も大きい

ゆるやか軌道を作る準備

アドレスの体重配分は
左つま先5右かかと5


「ゆるやか軌道」で下ろそうと思ったら、誰でも切り返しでヘッドを背中側に倒そうとする。だが、「それだけでは足りない」と、黒宮コーチ。

「切り返しのもっと前、アドレスの段階で準備をしておくことが大事です。具体的には、『左つま先』と『右かかと』に体重をかけて立つ。足裏の体重ポイントを結ぶと、この時点でイン-アウトになっているので、このラインに沿って体を回転させながらテークバックすることで、切り返しでもスムーズにイン-アウト軌道でクラブを下ろせるんです。このアドレスの体重配分は松山英樹選手も取り入れています」

ダウンスウィングの中盤からは、圧力ポイントが「左かかと+右つま先」にシフトする。これにより、

「左腰をしっかり回すことで、インパクトからフォローにかけて、クラブ(手)の通り道が確保されるので、手元が浮く(トウダウンが強くなる)ことなく、振り抜くことができます」

正しい体重の動きを覚えよう!

(1)アドレス=左つま先+右かかと  (2)トップ=左つま先+右かかと (3)切り返し=左足中央+右足中央 (4)インパクト=左かかと+右つま先

<アドレスのポイント>

左右の配分は5対5
アドレスの時点で、どちらかの足に多く体重がかかっていると、スウェイやスウェイ後に左に体が流れやすく、それによって上から打ち込む軌道になりやすい

ひざ・腰・肩の向きをそろえる
打つ前からターゲットに意識が行きすぎると、体の右サイドが前に出て、「左かかと+右つま先」の体重配分になってしまう。正しい体重配分で構えるには、体の左サイドが前に出るくらいの意識でいい

<テークバックのポイント>

その場でタテに体を回す
テークバックで右足に「乗ろう」とすると、足幅を超えて重心が移動してしまう(写真左)。体はタテに回し、体重移動は「足幅の内側」で完結させるイメージを持つ

右のお尻を後ろに引く
テークバックでは右のお尻の動きを意識する。右のお尻を後ろに引くことで、足裏の体重がかかと側に移り、そこを軸に体をスムーズに回転させることができる

正しい体重配分を動画でチェック!

●アマチュア50人に調査

なんと8割が正しい
体重配分を勘違いしていた

アドレスの体重配分は「左つま先+右かかと」ということだが、黒宮コーチからある提案が。「勘違いしている方はすごく多いと思います。意識調査したら面白いんじゃないですか」

というわけで、実際に調査を行ったところ、黒宮コーチの予想通り、8割以上の人が勘違いをしている結果に。

「例えば、いちばん回答の多かった『両足つま先体重』のアドレスだと、そのままクラブを上げるとトップではよりつま先に体重がかかってしまいます。するとボールとの距離が近くなり、切り返し以降伸び上がってミスをするんです。これは一例ですが、『両足かかと体重』と『左かかと+右つま先』体重も同じでミスを生むアドレスなんです。だからこそ、アドレスの時点で『左つま先+右かかと』という正しい体重配分で構えることが大事なんです」

アドレス体重配分アンケート
左つま先+右つま先」派が最多

左かかと+右かかと10人
左つま先+右つま先18人
左かかと+右つま先14人
左つま先+右かかと8人
「ボールに“当てる”という意識が強いと、ボールに近づこうとするため、つま先体重になりやすいんです」(黒宮)

左かかと×右かかと
上体が突っ込みやすい

アドレスで両足のかかとに乗っていると、切り返し以降つま先に体重がかかりやすいため、体が前に突っ込みやすい。

体の上下動が多くなる
かかと体重の人は後ろにのけぞりながら上げる傾向にあるため、オーバースウィングになりやすい。切り返し以降は反動で体が突っ込むため上から打ち込みやすい

打ちにいって引っかける
テークバックでボールから体が離れやすいデメリットも。ボールが遠く感じるため、切り返しから打ちにいき、右肩が前に出ることで、クラブが上から下りて引っかけやすい

左つま先×右つま先」は
インパクトで伸び上がる

両つま先に体重が乗っているとトップでよりつま先体重になりボールとの距離が近くなるため、切り返し以降は体が伸び上がりやすい。

体が伸び上がりフェースが開く
アドレスでつま先体重だと、トップではよりつま先に体重がかかる。するとボールと体の距離が近くなるため、伸び上がって打つしかない。結果、フェースが開く

手元が浮いてフェースを返す
体とボールの距離が近くなった状態でそのまま打とうとするとダフリのミスが起きる。これを嫌がり手先でフェースを返してボールをつかまえにいく傾向がある

左かかと×右つま先」は
アウトサイドイン軌道になる

もっとも上から入りやすい体重配分。体全体が左を向きやすく、アウトサイドイン軌道で打つ準備をしてしまっている。

体が左を向きやすい
右つま先に体重があると右半身が前に出て体が左に向きやすい。切り返しから右サイドが窮屈になり、外からクラブを下ろすしかなくなる

右足体重であおり打ちに
クラブを外から下ろすのを嫌がると、右足に体重が残りあおり打ちになってしまう。するとダフリのミスやロフトが寝てタテの距離感が合いにくくなる

中編へつづく

月刊ゴルフダイジェスト2021年7月号より