【ゴルフの急所】Vol.50 風が強い日こそ上達のチャンスです

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部
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- 30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。 PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部 >>前回のお話はこちら ……
「私は、風が吹くとスコアを大きく崩してしまいます。風が強いときの考え方や、攻め方など、強風下で覚えておいたほうがいい技術などがあったら教えてください」(椎名哲也さん・48歳・HC11)
風の強い日は
基本のマネジメントを徹底
ボクはアマチュア時代、よく風の吹く日を選んでプレーをしていました。なぜならゴルフで一番難しいのは風の日だからです。
風が吹けば、曲がりは大きくなるし、距離感も合わせにくい。アプローチは思ったところに止めにくいし、パットのラインも変わる。その結果、同じコースであっても、難易度は圧倒的に高くなります。だからこそ、それに対応できるよう、多くの経験を積んでおく必要があったのです。
では、そのとき何が大切になるかといえば、まずはマネジメントでしょう。グリーンオンさせる理想はピンの手前。それがダメならグリーンセンターか花道。ピンをオーバーするショットは絶対打たない。そういう基本のマネジメントを、いつも以上に意識し、徹底するのです。
また、いつにも増して慎重なプレーを心がけることも大切です。たとえば、狭いホールのティーショットなど、少しでも危ないと感じたら絶対にフェアウェイに運べるクラブを選択する。FWやUTでも怖いならアイアン、5Iでも怖いなら7Iを選択し、絶対にOBを打たないようにするのです。
アイアンで言えば、アゲンストのときに番手を上げるのはもちろんですが、ボクはドローとスリークオーターショットを使う機会を増やします。これは、フェードよりもドロー、フルショットよりもスリークオーターのほうが風の影響が少ないからです。
同じ理由で、高い球より低い球を使い、アプローチもなるべく転がすようにしています。また、風はグリーン上の球の転がりへ大きく影響することも知っておきたいものです。ただ、これは経験を積まないと、それがどの程度かイメージしにくいと思います。ですから、どのくらいの風が吹いたら、どのくらい曲がるのか、タッチが変わるのか。そういうものを、普段から意識してプレーし、自分の中にインプットするようにしてください。
さて、基本的な風の日の対応策を紹介してきましたが、何より大事なのは自分が絶対的に信頼できる持ち球を作り、自分を知ることだと、ボクは考えています。
まずは、どんなにプレッシャーのかかった場面でも自信を持って打てる持ち球を作る。そのうえで、その球がどの風にどのくらい影響されるかを知る。それが風対策の第一歩ではないでしょうか。
風を完全に制することは、プロでも難しいと思います。予想外の出来事が起こることも多いでしょう。だからこそ、それに対応するための準備を怠らず、いい経験を積み、くじけない心を持って慎重にプレーする。それが大切だと、ボクは思います。
風対策①
絶対にOBにならない番手を持つ

風の強い日には、いつも以上に慎重なプレーを心がけ、絶対にOBを打たないクラブで打つ。「狭い」「怖い」と感じたときに、イチかバチかドライバーを持ってミスをしているうちは、絶対にゴルフは上手くならない
風対策②
スリークォーターで高さとスピンを抑える
強く打つほど球は高くなり、スピンが増えて風の影響を受けやすくなるため、寺西はスリークオーターショットを多用するのだと言う。とくに「フォローの風のときに、分厚い当たりが出ると、飛びすぎて大きなミスになりやすいので注意している」のだとか

風対策③
アプロ―チは徹底的に転がす

短い距離のアプローチでも、風の影響を受けやすいと寺西。「少しでも影響を少なくするために、高い球で寄せるのではなく、低い球の転がしを多用しています」
風向きはラウンド前にチェック
風に強くなるためには、プレー前の準備も大切。スタート前に、天気予報をチェックし、どの方角から、どのくらいの風が吹くのか、何時から風が強くなるのか、弱まるのか、などを調べておこう

月刊ゴルフダイジェスト2025年5月号より