【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.25「野球経験者に多い“体の開き”を抑えるとっておきドリル」

ドライバーを振る際、ボール位置よりやや手前に向けて振り下ろすイメージを持てたことで、自然とアッパー軌道になり、が然“生き球”が出だした谷繁。すると、いい動きを体に染み込ませるために青木がドリルを伝授するという。“頑張ることのプロ”谷繁の反応は……。
PHOTO/Tadashi Anezaki

青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- 前回、青木からアイアンショットのとき、クラブを上げる際に左肩を下げるイメージを持つようにアドバイスされた谷繁。自ら動画をチェックし、左肩を意識することで頭の位置が動かなくなっていることを確認。しかも、手元でクラブを操作する必要がなくなったことで体がスムーズに動くようになった。 PHOTO/Tadashi Anezaki 谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横……
左の壁を作るドリルで
お尻の筋肉痛必至!?
谷繁 ドライバーがいい感じになってきた。
青木 ここでさらにステップアップするためのドリルです。
谷繁 お願いします!
青木 野球選手、特にバッターの人に出やすい、良くないクセがあります。本来、ゴルフではダウンスウィング時に左サイドに壁を作り、インパクトで体重をぶつけるイメージで上体をねじりたい。それを野球選手は体を開いてパワーを逃がしちゃうんです。そして、カット軌道が入っちゃう。
谷繁 すごくわかります。
青木 そこで、左の壁を作る下半身のもうひと粘りのために。まず、普通にアドレスして右足を20センチほど引いてクローズスタンスにします。そのとき、右足のかかとは上げます。そして、クラブを両手で持ちます。右手はグリップエンド付近を押さえ、左手はヘッドのソール部分を押さえる感じです。で、そのままフォロースルーの形を取る。左足のひざは曲げずに伸ばしてくださいね。ちょっと慣れたらこの持ち方、このスタンスでトップからダウンスウィング、フォロースルーまでやってみてください。でも、この動きだと左足を引いてパワーを逃すことは不可能。その感覚を体に染み込ませましょう。

谷繁 この動き、きつい!
青木 いいですね、いいですね。谷繁さんはアイアンではうまく左の壁を作って上からボールを叩くイメージで打てていたので良かったのですが、ドライバーでは上体が突っ込んでいた。このドリルで、左の壁を作って上体をひねる動きができるようになり、カット打ちの防止にもなります。
谷繁 左の壁が作れない人、野手出身のゴルファーにおすすめのドリル(笑)。
青木 何回かドリルをやった後のドライバーショットは格段に良くなりました。左でしっかり耐えられているのがわかりました。
谷繁 練習場でこのドリルをやっていたら、周囲から「なんだ、アイツ?」って思われるかな。
青木 僕が指導している選手はみんな同じようなことをしていますよ。谷繁さんにはプロと同じことをやってもらいます!
谷繁 実際に効果抜群だった。
青木 それまでのスウィングでは上体が浮き上がって、クラブをカットに入れるフォロースルーだったので、イメージが随分変わったでしょう。フォローが縦に出るイメージ。
谷繁 低スピンのいいフェードが出だした。あー、この感じを覚えてくれ、俺の体!(ドリルを繰り返す)。
青木 きつそうに見えないけど実はハードな動きですよね。お尻が筋肉痛になるかも。
谷繁 あー、思い出した。去年かな、青木さんが「下半身の動きに関しては時間がかかるのでまた改めて」と言っていたやつだ。
青木 そうです、そうです。それが今。
谷繁 下半身の粘りって野球の投球でもすごく大事なんですよ。ピッチャーにも個性があって、投球フォームもみんな違いがありますが、それでも“正しい投球フォーム”というのはあるんです。下半身で粘って、球離れが見えづらく、球離れが遅い投げ方の投手が打ちづらい。
青木 よく言う“球持ちがいい”というやつですね。
谷繁 そうそう。例えば松坂大輔。2006年のWBCでは、ブルペンで球を受けました。捕手目線で言うと、腕を振って少したってから球が出るような感じ。松坂本人は「理想の自分の球というのは、初速と終速の差が5キロしかない160キロ」と語っていたそうですが、それこそ球離れが遅いスピードボールのイメージ。
青木 下半身の粘りがあってこそでしょうね。
谷繁 本当に。そして、ゴルフでの松坂大輔の飛ばしっぷりといったら……。
青木 松坂&谷繁の飛距離の違い。今後の検討課題に入れましょう。
谷繁 年の差は10しかないのに、飛距離差が……みたいな。みんな興味ある?
青木 これはありますよ!
谷繁 野球とゴルフにおける松坂の下半身の粘りについて、ね。OK、考えよう(笑)。
週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日号より
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