【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.24 アイアンは良くなったけどドライバーが…原因は?

前回、青木からアイアンショットのとき、クラブを上げる際に左肩を下げるイメージを持つようにアドバイスされた谷繁。自ら動画をチェックし、左肩を意識することで頭の位置が動かなくなっていることを確認。しかも、手元でクラブを操作する必要がなくなったことで体がスムーズに動くようになった。
PHOTO/Tadashi Anezaki

青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- 前回、フジクラゴルフクラブ相談室でリシャフトし、ドライバーのシャフトを見栄込みの(?)6Xから、6Sにチェンジした谷繁。アイアン、ウェッジのシャフトもすべて替え、それらのクラブを携えゴルフ合宿を敢行。その後、宮崎でゴルフダイジェストスクランブルゴルフの決勝に臨むというプロゴルファーも真っ青のスケジュールでオフ期間を過ごしている。 PHOTO/Tadashi Anezaki 谷……
アイアン好調からの
ドライバー不調にメス!
谷繁 アイアン、左肩の意識で変わったね。音が違うし、球質がもう……。生きている球だもん。
青木 球質ですか。
谷繁 野球で例えると、初速と終速が近い松坂大輔や藤川球児のストレートや、佐々木主浩さんと、僕は受けたことがないけれど、野茂英雄さんのフォークは球質が似ていたと言われますね。いずれの選手も決め球としてきたボールです。
青木 往年の野球ファンが喜ぶ例えですが、なんとなくわかります。
谷繁 自分の理想の球質に、今、ちょっとずつ近づいている気がする。まだ、アイアンだけだけど。
青木 意識を変えたところは左肩だけなのに。
谷繁 そう、他人から見たらちょっとの差だと思うんだけど、やっているほうは大違い。
青木 「左肩を下げる意識で」と言うとすごく些細なことのように思えますが、スウィングは連続した動き。一つ変えるとほかのところにも影響が出るので、大きな差となって球質に表れたんですね。
谷繁 それにしてもさ、毎回、アドバイスを小出しにしてくるよね(笑)。
青木 レッスンを引き延ばそうとする作戦ではありませんよ(笑)。実際、スウィングを見ていて言いたいことは山ほどあるんですが、あえて小出しにしています。前回も言いましたが、このアイアンレッスンでは左肩の意識に集中することで、トップの位置がどうとかタメがどうとか考えず、自然と体に負担のないスウィングや生きた球につながった。欲張らず、意識は一点でOK。
谷繁 これを一瞬の「いい感じ」で済ませてはいけない。体に染み込ませるために、しっかり練習しなくては。
青木 反復練習で定着させましょう。
谷繁 はいっ!
青木 高校球児のようないい返事(笑)。
谷繁 次はドライバーレッスン、お願いしますっ!
青木 (笑)。いきましょう。
谷繁 フジクラさんでドライバーもリシャフトしてもらって、フレックスをXからSに変更。暖かい南国でプレーしてみたら、しなりをすごく感じられて「これはいい」と思っていたんだけど、極寒の日本に戻ってきたらアイアン同様違和感が。これはシャフトのせいではなくて自分のせいだけど……。
青木 で、実際にドライバーで何球か打ってもらいました。
谷繁 スウィングを見ながら、青木さんが「まあ、そうなりますよね」って言うから、逆にワクワクしちゃったよ。
青木 アイアンが得意な人にありがちな現象が起きていましたね。
谷繁 なんとなく想像がつくけど、その現象とは……?
青木 谷繁さんはドライバーもアイアンのようにダウンブローに打ちにいっていて、上体が突っ込んでアウトサイドインの軌道になっていた。しかも器用だから最後、何とかフェースを返して真っすぐ飛ぶように手元でコントロールしていたんですね。うまくいくことはあるんですが、安定しません。そこで、打つボールとは別のボールを1個、両足の間、真ん中よりやや左耳の下寄りに置いて、意識をここに置いて打ってくださいと言いました。
谷繁 何球か打つうち、いい球が出だして。
青木 ドライバーショットの際のボール位置は左足のかかと延長線上で、谷繁さんはそのボールに向けクラブを振り下ろしていました。それで、ボールをもうひとつ置いたんです。
谷繁 あれ、クラブの最下点辺りなんだよね。
青木 そうです。スウィングは円運動で、クラブの最下点は左耳の下の延長線上。左かかとの延長線上ではなく、そこに向けてクラブを下ろす感じにしてほしかったんです。
谷繁 左耳の下の延長線を意識すると自然とアッパー軌道になる。ただ、これはさすがにパッとはできなくて、何度も打ってみてできるようになったこと。この感覚が消えないよう体に染み込ませないとね。今、プロ野球はキャンプシーズンで選手はしごかれている最中。きついと思うけど、上手くなるにはこの過程は欠かせない。今日は鬼コーチのしごきに、久々に悲鳴が上がってしまったよ。
青木 次回はドリルですので、また悲鳴が上がること請け合いです。
谷繁 そういうの嫌いじゃないんで楽しみです(笑)。

「ドライバーの打ち方は変えずにボールの手前に振り下ろす感じ。それならできる!」(谷繁)
週刊ゴルフダイジェスト2025年3月11日号より
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