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【ヘッドデータは嘘つかない】驚きの大慣性モーメントでミスを減らす! ヤマハ「RMX VD40」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はヤマハの『RMX VD40』アイアンを取り上げる。

アイアンも大慣性モーメント化の流れ!?

丁寧なモノづくりで知られるヤマハのプロモデルライン『RMX』の新作は、直進安定性の分野でナンバーワンになるという思いを込めた『VD』。とくに今回紹介する『RMX VD40』は、重心位置からもっとも遠いヒール側とトウ側の両端に重量を配分することで、ヘッド左右方向の大慣性モーメントを実現。オフセンターヒットに強く、ミスがミスになりにくく、パーオン率向上に貢献する。

では、7番アイアンのクラブやヘッドを計測していこう。いつもどおり数値はすべて実測値になる。クラブ長さは37.125インチとやや長く、クラブ重量は413.4gとNSプロ 950GH neo仕様としては標準的だが、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントは270万g・㎠とやや大きくなり、この数値だとドライバーのヘッドスピードが45㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計になっている。

Point1 左右方向のヘッド慣性モーメントが4272g・㎠と非常に大きい
Point2 ネック軸周り慣性モーメントが7926g・㎠と非常に大きい
Point3 ライ角が63.0度と超アップライト

つかまったフェードが打ちやすい

ヘッドを見ていこう。非常に大きな慣性モーメントを持つヘッドだけあって、フェースは非常に長く大きく、かつネックの裏側が凸状に張り出しているのが特徴だ。FP値が2.5ミリとグースネック、かつライ角度が63度と超アップライトなので、球をつかまえようとしているのがわかる。また、ソール面のバウンス角がマイナス0.9度で、かなり平らなのも珍しい。

実際に試打したところ、まずヘッドが非常に大きいので、いかにも打ちやすそうな安心感があり、グースネックと超アップライトなライ角で球をつかまえるイメージが出ている。試打クラブは『NSプロ 950GH neo』(フレックスS)で、軽量スチールシャフトのなかでは適度なしっかり感がある。そして、ロフト角30度とストロングロフトすぎないので、フェアウェイのあるがままの状態からでも球を上げることができる。また、ソールのバウンスがないため、ターフを取らないスイープなスウィングをするゴルファーに合うだろう。

ヘッドの重心距離が43.2ミリと非常に長く、またネック軸周りの慣性モーメントも7926g・㎠と非常に大きいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが非常に緩やかで、結果、球が左につかまりすぎることはなく、フェード系弾道になりやすくなっている。また、フェース面のスイートスポットはスコアラインに対してヒール寄りなので、ややヒール側打点のイメージだと芯に当たりやすい感覚がある。ヘッド素材に硬いAM355P(マレージング鋼)を使用。インパクト音は高く打感も硬いが、球の弾きはいい感じで、アイアンの大慣性モーメントヘッドを試したいゴルファーにいいだろう。

左から5I(24度)、7I(30度)、9I(39度)。ネックの裏側に凸状の張り出しがあるが、構えるとネックで隠れるため違和感はない。フェース長が長く、重心距離が43.2ミリと非常に長いのが特徴

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

ヤマハ

RMX VD40 アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月9日号より