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【ギア選びのウソホント】Vol.40「接着・溶接技術の発達がクラブを進化させた」

KEYWORD

「キング・オブ・試打」としてお馴染みの堀越良和プロが、長年の知見から、ギア選びの際に重視すべきポイントや注意点をわかりやすく解説!

前回のお話はこちら

前回まで、タングステンやチタンといった異素材を内蔵することでウェッジの重心位置(距離や深度)を変えることが可能になったというお話をしてきました。

しかし、その異素材をゴルフクラブに使うこと自体は決して新しい手法ではなく、ドライバーでいえばパーシモン時代からありました。たとえば、比重の異なる真鍮(5円玉の素材といえばイメージしやすいと思います)をバックフェース側に配置したり、フェースのインサートに樹脂でコーティングした紙を何層にも重ねた「ペーパーファイバー」を使用したりして深重心化し、球を上げやすく、飛ばせるようにしていました。それこそ、ソールやインサートに異素材を留めるためのビス1本に至るまで計算して作っていたのです。

パーシモン時代、異素材はビスで留めていました

そのように異素材を使用するクラブはメタルやチタン時代になって、影を潜めます。異素材の結合には、ビスで留める以外には接着・溶接が必要で、その技術が不足していたためと言われています。カーボンクラウンなどができたのは接着・溶接技術が発達したためなのです。接着・溶接技術の発達はアイアンの異素材結合も可能にし、現在当たり前になっている「フェースはマレージング鋼、ボディは軟鉄」といった成形が可能になりました。

堀越良和
ほりこしよしかず。週刊ゴルフダイジェストで試打レビューを続けて約四半世紀の「キング・オブ・試打」

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月8日号より