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コンペルームをワークスペースに。軽井沢のコース付帯コンドミニアムに熱視線

コース改修事業に定評のある(株)稲治造園工務所グループが軽井沢のゴルフ場を取得。新たな形態のゴルフ場造りに着手している。

従来の隨縁軽井沢ナインハンドレッドCを買収し、名称もオーソルヴェール軽井沢C(北佐久郡軽井沢町)と変更した稲治造園工務所グループ。

同グループはゴルフ業界ではコースの改造・改修工事の大手で知られる。最近では米国の設計家、リース・ジョーンズを起用して太平洋クラブ御殿場C、グレッグ・ノーマン監修で今年の日本オープン開催の琵琶湖CCなどの改修を手がけた。

同グループのゴルフ場取得は初めてだが、その動機を同所、剣持岳氏は次のように語る。「コロナ禍にあってワーケーションが注目されるなか、都心から1時間で来られるというアクセスの良さと軽井沢というブランド力。そして、いちばん魅力だったのは宿泊施設が付帯していることでした」

今、軽井沢はマンションやコンドミニアムの不動産が軒並み値上がりしていて、軽井沢駅近くの70㎡の3DKでも1億円の値がついているという。

同所では現在ある宿泊施設の16部屋を14室に改修、ホテルコンドミニアムとして販売予定だが、14室のうちスイートルームはすでに売れたという。クラブハウスは外壁塗装などリニューアルし、従来のコンペルームはワークステーションに改修していく。パーティションで区切って半個室化し、壁面には27インチのモニターを設置、専用ネット回線も整備。さらに、レストランを改修して都内からシェフを招き、セレクトショップも充実させるという。

女性客誘致のため、レディスティーなども設置し、コース内のメンテナンスにも力を入れる。また従来の電磁誘導乗用カートからGPSナビ搭載の2人用カートに変更し、フェアウェイ乗り入れ可にする予定という。

「軽井沢の南地区はこれまで“陸の孤島”と言う人もおり、近隣のゴルフ場と安売り競争を続けてきた面があるのが現実。そこに、ゴルフ場を核としたリゾート“箱”でこれを変えたいんです」(同)

だが懸念する声も。軽井沢ゴルフ事情に詳しいゴルフ場運営コンサルタントの石井米二郎氏だ。「近くの発地(ほっち)地区にお洒落なイメージが醸成されつつあるのはプラス材料。ただ、谷間にあるコースなので、風が抜けにくく、夏は暑いところという印象があります。進入道路も狭いです。お手並み拝見というところですね」

新ゴルフ場の名称、オーソルヴェールは、ゴルフ場に大切な要素の水(eau)、大地(sol)、緑(vert)のフランス語だという。

以前、ゴルフ場1カ月滞在プランを紹介したが、ニューノーマルを機にコースの“ありかた”が変わっていきそうだ。

今後、ゴルフ場の多様化がますます進みそうだ(PHOTO/Hiroaki Yokoyama)

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週刊ゴルフダイジェスト2021年6月8日号より