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【笑顔のレシピ】Vol.113「子どものスイッチが入ったときにすべきこと」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

前回のお話はこちら

僕は本人がヤル気を見せるまで練習を強制するようなことはなく、基本的にはヤル気スイッチが入るのを待つというスタンス。だから本人が「競技で勝つよりは、ゴルフを楽しみたい」と言うなら、そのレベルに合わせてコーチングをしていきます。

ところがこれまでエンジョイ派を地で行っていたような子が、突然涙を流しながら「どうしたらもっと上手くなりますか?」と聞いてきたこともありました。もう、絵に描いたようにバチッとスイッチが入った瞬間ですね。

ただ、僕はここでいきなり練習メニューを変える提案をしたり、直したほうがいい部分を伝えるようなことはしません。まず、自分には何が足りないと思うかを聞くのです。


ヤル気みなぎる本人を前に「ガンガン教えちゃうぞ」という気持ちになるのも理解できますが、そこはグッと我慢をしてください。ここでコーチや親が何から何まで教えてしまっては、自分で課題を見つけて解決する癖が身につかなくなってしまいます。

もう1つ気に留めておいてほしいのが、そのヤル気は長続きしないということです。人にもよりますが、おそらくそのスイッチは数日で切れ、また元のテンションに戻ります。そんなときは強引に取り組みを続けさせるのではなく、「あれ、もうやらないの?」くらいに軽~く突っついてみてください。それで戻る子もいるし、やっぱりスイッチが切れたままの子もいます。

後者は当然、結果が出ずに近いうちに失敗を味わうでしょうが、そこがチャンスです。できなかった理由を振り返るときに、しっかり取り組んでいなかったことが原因と分かれば、またスイッチが入るようになります。

このように、子どものヤル気はついたり消えたりの繰り返し。だから、ヤル気がしぼんでいたとしても無理やり行動を促すのではなく、スイッチが切れていることを気付かせる程度のフォローにとどめると、本人もモチベーションを上手くコントロールできるようになるでしょう。

自分で「気づく」ことが大事です(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より

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