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【笑顔のレシピ】Vol.98 子どもの“将来の夢”。無理やり決めさせていませんか?

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

みなさんの将来の夢は何でしたか? 僕は……、何だったかな(笑)。両親にたくさんのやりたいことをさせてもらったので、その都度、変わっていた気がします。

なりたいものや目標というのは、がんばれる原動力になるのであったほうがいいと思いますが、親やコーチが無理やり作るものではありません。大人が上手いことその気にさせたとしても、本人が決めたものでなければいつか必ずほころびが出てしまうものです。まずはいろんな体験をさせてあげて、そのなかから、本人が夢中になれるものに巡り合えるのがベストでしょう。

たとえばゴルフなら、一緒に練習場に行ったり、ツアーを観に行って興味を持ってもらう。でもすぐに、「将来、プロゴルファーになりたい!」となる子は稀。ゴルフの楽しさを体感して続けていくうちに、それが将来の夢になっていくという子のほうが多いのではないでしょうか。


本人が「これを続けていきたい!」と思うタイミングは千差万別なので、そのスイッチを無理やり入れるのはオススメできません。

そしてプロゴルファーを将来の夢に掲げたとき、親やコーチに必要なのはその気持ちを尊重して応援してあげることです。これが大前提。そのうえで、現実を見せるのも大事な役割です。

プロになるためには日々の努力が大事だし、他の好きなことを諦めなきゃいけない。でも、親やコーチはそれを全力で応援すると伝えれば、覚悟がより強くなるでしょう。もしそこで、「私はゴルフを楽しみたいから、プロはちょっと違う」という答えが出ても良いと思います。楽しくやっていくなかで、再び上を目指したいと思うかもしれないし、何より本人が将来を想像して決断を出せるというのが、ひとつの成長ではないでしょうか

子どもたちが判断を下せるように、まずは応援をして、次に現実的に必要なことを教えてあげる。それが親やコーチの役割だと思います。

自分で考えて決断させることも成長のひとつ(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月26日号より

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