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【林家正蔵の曇りのち晴れ】Vol.271「行きつけの食堂」の巻

仕事の時間に余裕ができるといつも練習場の近くにある行きつけの食堂へ足を運ぶ。そこの生姜焼き、サバの味噌煮、そしてベーコンエッグ定食がたまらなく好きな私。緊急事態宣言下でなければビールを飲みながら、この定食屋で過ごすこともあるのですが、いまはそれもできません。早く緊急事態宣言が解除されてゆったり過ごせるようにならないかな

ILLUST/アオシマチュウジ

前回のお話はこちら

練習場でトレーニングの成果表る!?

今日も午前中にデスクワークを済ませて夜の高座まで、まだ時間があるので、ちょっと打ちっぱなしへ出かけることにした。

インドアとアウトドアの選択は天気次第。このところ雨が続いていたので、インドアの練習場ばかりであった。どうやらそこの機械とは相性がよくて、ゴルフボールを打つたびに素晴らしい放物線が目の前のスクリーンにCGで映し出され、思った以上の飛距離も出ている。7番アイアンで160Yなんて、私の年齢と筋肉量では無理。しかし、強風に乗ったり、カート道にいい感じに跳ねたりしない限り、出ないような飛距離が計測されてスクリーンに映し出されるのだ。とてもハイテクな機械だ。

スタッフの方に「本当にこの数字であっているの?」と尋ねると、ニコニコしながら「トレーニングの賜物ですよ。努力が実っているんです」と素晴らしい答えが返ってくる。

根があまのじゃくの私は、そんな手に乗るものかと思いつつも、「そうかなー。もっと頑張ろうかな」と、とてもいい気分になっていることに我ながら驚く始末。やっぱり人間、お世辞や甘い言葉には弱いものですなー。


生姜焼きもサバの味噌煮も
“たれご飯”がうまい

そこの練習場のそばに食堂がある。商店街の風景に溶け込んでいるので、地元の人や近所の工場のおじさんや、あんちゃんたちで昼どきは、いつも満席に近くなるほど混んでいる。だから、ピークの時間帯を外していつも暖簾をくぐるようにしている。

緊急事態宣言下では、アルコールの提供はされないが、昼の1時半過ぎ、100発くらいボールを打った後はお腹がぺこぺこの状態。喉も乾いているので、中瓶のビール1本。こいつを手酌で一杯飲んでから、木札が並ぶお品書きとにらめっこするのが日常だった。

ここは何でもうまい。私の定番は生姜焼き。これには玉ねぎは入っておらず、豚バラを辛めの味付けできっちり仕上げる。生姜もチューブではない。たまに、すりおろした生姜の証拠として、生姜の塊が入っていることもある。これもご愛敬。アツアツのご飯と一緒にいただく。

よく子供のころに叱られたが、白飯の上で生姜焼きをポンポンと2、3回たたく。白飯にお化粧するのがたまらない。少々たれの染み込んだ白飯の部分をハフハフと口へ運ぶ。これは生姜焼きばかりでなく、ハンバーグのデミグラスソースでも、レバニラのオイスターソースでも、たれをつけた餃子でも、ポンポンするのが私の流儀である。普段の白飯がより一層美味しくなるのだ。

しかし、人によっては、お行儀が悪いと言われることもある。そんな小言も馬の耳に念仏だー。

生姜焼きの気分でないときは、サバの味噌煮定食を好んで食べる。ここのサバは、一年中、脂がのっており、よく味が染み込んでいる。お店の人に伺うと、二日間じっくりとコトコトと煮込んでいるそうだ。味噌も、白と田舎のお店オリジナルのサバ味噌用の特注を、東京の江戸川区にある味噌問屋にブレンドしてもらっているとのこと。

甘すぎず、辛すぎず、脂がしっかりとのったサバにしっかりと味付けされた身を、白飯にポンポンとしてから、口へとかきこんでいく。あーなんて幸せなんだろうか。

目玉焼きの焼き加減
私はガパオ派

生姜焼きもサバの味噌煮もいいが、アジフライもまたいい。九州産や千葉産のアジ。季節の旬を狙って産地を変えて購入している。サクサクの衣に中はしっとり。例えるならミディアムレアくらいの揚げ加減。二尾が一人前。一尾は醤油でビールのあてにする。もう一尾は、ソースたっぷりで白飯のお供にしている。

あー! 忘れてはいけないのがベーコンエッグ定食。厚切りのベーコンが大きく一枚。焦げ目が入っていい感じに焼かれた上に、目玉焼きが二個。ここは好みに応じて、目玉焼きの焼き加減を変えてくれる。

私は、タイ料理のガパオライスが好きなので、白身はカリカリ、黄身はほぼレアな感じがいい。アツアツの白飯に目玉焼きをのせて、箸で黄身をつつく。そこで醤油をとろけた黄身にひとたらし。もう片方の目玉焼きは、ベーコンのソース用に、皿の上でつつき、カリカリの焦げ目のついたベーコンにひと回しして、白飯でいただく。

もうこの原稿を書いているだけでお腹が減ってきた。ところがこの食堂、ご主人が体調を崩してただいま休業中。おじさんとおばさんと娘さん。どうやら3人で切り盛りしていたので、常連にとっては痛手である。

さて、今日はゴルフの練習帰りでどこに寄ろうか。迷った挙句のコンビニで中華丼を買う。これもうまいからなー。食堂の再開を心から願いつつ、緊急事態宣言が解除されるのを待って、食堂へ伺うとしよう。

白飯の 上にポンポン 私の流儀

月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より