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【笑顔のレシピ】Vol.91 勝ち切れる選手とそうでない選手の違いとは? 令和的“根性論”のススメ

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

前回のお話はこちら

「世界のレベルが上がっている」

オリンピックを観ていると、さまざまな競技で、そんなコメントをよく聞きました。

戦術やトレーニング、コーチングなどの進化で、以前と比べ選手たちが効率的に成長していることが主な要因だと思います。ゴルフも例に漏れず、ドライバーの平均飛距離が伸びているように、ビデオにとどまらない動作解析やトレーニングの体系化で、ジュニアもプロも選手レベルは確実に上がっています。

これまでは感覚や気合い、根性といった数字では推し量れないものに重きが置かれていましたが、理論や効率が重視されるようになった結果、トップレベルに到達できる選手が増えたのでしょう。そんな現代では、根性論なんて言葉は久しく聞きません。もはや死語なのかも。でも、理論や効率だけでは強い選手は育たないと思っています。

多くの選手が効率よく成長し、高いレベルで均衡したとき、勝敗を分けるのは何か。それが、気合いや根性です。

現に僕のアカデミーでも、レベルはほとんど差がなく試合でも同じくらいのスコアで上がってくるのに、優勝できる子と勝ちきれない子がいます。勝てる子というのは優勝がかかった状況で、絶対に勝つんだという強い気持ちを持てる。なぜなら、普段からそういう気持ちを持って準備をしているからです。

もちろん、すべてが根性を鍛える練習ではないし、今の子たちは、練習の意図を理屈で説明してあげる必要があります。そのうえで、「いろいろやるけど、最後は気合いと根性じゃ!」というコーチの言葉を受け止められるか。

こちらも最初から根性論のみで教えることはないし、技術レベルが上がってきたときでも、「気合いと根性」を強いることはありません。それが、われわれの育った昭和的根性論との違いでしょうか。理にかなったトレーニングでベースは作りつつ、勝つために気合いや根性の重要性に気づいてもらう。これが令和的根性論だと思います。

理屈だけでも根性論だけでもダメ。バランスのよい指導が大切(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月24・31日合併号より

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