【ゴルフせんとや生まれけむ】有森裕子<前編>「スコアよりも他愛のない会話が楽しい」
ゴルフせんとや生まれけむ
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、元陸上選手の有森裕子氏。
ゴルフを始めたのは「カンボジアでスポーツや教育を通じて人材育成に取り組む」ことを目指して私が郷里の岡山で立ち上げ、代表理事を務めている認定NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」のチャリティ活動がきっかけでした。
もう10年ほど前になりますが、岡山のスポーツ界の大先輩である星野仙一さんと木原光知子さんがやっていらっしゃったチャリティゴルフを、同じ岡山つながりということで森末慎二さんと歌手の岸田敏志さんが引き継ぐことになって、そのチャリティ先に「ハート・オブ・ゴールド」を選んでくださったんです。
となると立場上、私も参加者の皆さんと一緒にプレーしないわけにはいかなくなりました。しかし、その頃の私はゴルフとはまったくの無縁。ゴルフシューズもウェアも持っていませんでしたから、とりあえずランニングシューズとウェアだけ持参して会場に入り、あとは当日全部借りることにしました。スタート前に手袋を片方だけ渡されたので「すみません、左手しかないんですけれど……」と当たり前のように言ってしまいました(笑)。そしたら「いいんですよ、片手で」というお返事で。「ゴルフってそうなんだ」とスタート直前に初めて知りました。そんな初歩的なことすらわかっていなかった私に森末さんも岸田さんもあきれたんじゃないですかね(笑)。
でも、それから10年以上、クラブを握ることはありませんでした。私がゴルフを始めたらしいというのを耳にしたのか、当時契約していたメーカーさんからゴルフクラブ一式をいただいたものの、それから2、3年も申し訳ないことにビニールすらはがさず、家の片隅に置きっ放しにしてしまったんです。ゴメンナサイ。
そんな私に再びプレーをする機会がやってきました。そのきっかけを作ってくれたのもやはり「ハート・オブ・ゴールド」です。あるチャリティイベントでオークションを開催した際、とある著名な方が、ご自身と「一緒にラウンドできる権利」を出してくださって。前回同様、立場上、私も回らないわけにはいかなくなったんです。
でも、10数年前と大きく違ったのは、皆さんと他愛のないおしゃべりをしながらのゴルフが実はとっても楽しいものだということに気付けたこと。それからは、たまに練習に行くようになりましたし、お誘いいただいた時は、時間が許す限りお付き合いさせていただくようになりました。ただ、今は「ハート・オブ・ゴールド」以外にも陸上関係のお仕事もあって、いろいろと忙しくしていて、年に数回行くのがやっとという感じですかね。
「ゴルフをやっている」と言うと「ベストスコアはおいくつですか?」とよく聞かれますが、実は私はスコアに関してはまったくこだわりがないんです。そもそも毎回130前後叩いている私が、ベストスコアがどうのこうのだなんておこがましくてとても言えないです(笑)。それより皆さんと楽しく1日回れればそれでいいと思っているのが、今の私のゴルフです。

有森 裕子
1966年岡山市生まれ。高校時代から陸上競技を始め、リクルート時代の90年の大阪国際女子マラソンで当時の初マラソン日本女子最高記録をマークし一躍注目を集める。92年バルセロナ五輪で銀、96年アトランタ五輪で銅メダルを獲得
週刊ゴルフダイジェスト2026年8月18日・25日合併号より


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