【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.859「小さな活動ですが、子どもたちとゴルフの縁を創出することは続けていきたいと思っています」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
>>前回のお話はこちら
- 米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。 TEXT/M.Matsumoto >>前回のお話はこちら 今はアドレナリン効果という言葉で説明されることが多い「火事場の馬鹿力」。これを出せるのは一種の能力だと思いますが、岡本さんもここ……
ネットニュースで、4月初旬に新南愛知CCで岡本プロが主催する大会が今年で3回目の開催になると知りました。往年の選手がたくさん参加されているまでは分かりましたが、もう少し内容を知りたいと思いお便りさせていただきました。(匿名希望・61歳・愛知県在住)
女子のシニアプレーヤー(満45歳以上)たちが競い合う招待試合「美浜インビテーショナルレジェンズ岡本綾子カップ」は、長いことお世話になり縁のある新南愛知CCで開催するようになって今年で3回目を迎えました。
日本女子プロ協会公認の大会ではなく、近隣地区の発展と福祉に貢献することの色合いが濃いため、広報宣伝には特別なことはしておりませんでしたが、注目していただけるのはほんとうにうれしい限りです。
今回、出場した44選手のうち20人はJLPGAレジェンズツアーのQT上位から選ばれた選手で、その他の選手は招待で集まってもらったプロたちです。
長年の顔なじみや名古屋地区を中心としたシニアに声をかけさせてもらいました。
試合は18ホールの1ラウンドで決着、そしてトーナメント翌日はプロアマ大会を開催。
地元財界など新南愛知CCの法人・個人メンバーのお客さんが44組に分かれて、出場した女子プロ選手全員と一緒にラウンドするという和やかなイベントです。
通常のレジェンズツアーの大会は2~3日間でおおよそ100人強のプレーヤーが出場して優勝を争うのですが、1日ですからそれに比べれば規模も賞金額も小さくはなります。
ただ、この大会の趣旨は地元のゴルフ活性化と女子プロとファンの親交拡大にあるので、出場選手全員がプロアマに参加できるようにするには、この人数がほぼ限界になります。
親善ムードとはいえプロ同士の勝負には、やはり熱が入ります。
この試合がレジェンズの試合デビューとなった不動裕理さんは、第1回大会と昨年の第2回を連覇しました。
もしかしたら、選手たちの「1人だけに勝たせてはおけない」という闘志に火をつけたのかもしれません。
過去2回の大会の雰囲気とは違い、ややピリッとした緊張感がありました。
不動さんをはじめ塩谷育代さん、平瀬真由美さん、村口史子さんの歴代ツアー賞金女王も参加してくれたなかで、表純子さんが抜け出し優勝を飾りました。
大会当日は、グリーンが硬くやや速いコンディションで3アンダーで回ってきた表さんはギャラリーのみならず、選手たちをもうならせるパフォーマンスだったと思います。
表さんとわたしは広島県出身の同郷で、時にスウィングの悩みなど相談にも乗る間柄で古くから気の合う仲間でもあります。
彼女のことでいえば、何といっても2011年から17年のシーズンにかけて連続241試合出場を果たしたという鉄人記録が話題になりました。
研修生時代には毎日1000球の打ち込みをして、プロテスト合格までの約3年間実行したというエピソードもあります。
その表さんは昨年の2月に50歳を迎え、予選会を突破して全米シニア女子オープンに挑戦して7位の好成績を挙げました。
今年の8月にサンディエゴで行なわれる全米シニア女子にも照準を据えており、今回の優勝が弾みになるんじゃないかと期待しています。
わたしは久しぶりに顔を合わせる選手も少なくなく、選手たちと挨拶や会話をしたり、運営の確認などさまざまな面に目を向けるのでちょっと疲れちゃいました、ほんとクラブを振っているほうがいいですね(笑)。
ちなみにこの日、11番ホールでホールインワンを決め100万円の賞金をゲットした高又順さんと話をしていて、現在もほぼゴルフ漬けという生活を聞いて、ほんとうにゴルフっていいなぁ~と思わせてくれました。
翌日のプロアマ大会も無事に終わり、週をまたいだ4月18日には、コースのある愛知県知多郡美浜町の河和小学校でスナッグゴルフ教室を開催してきました。
同町内にある6つの小学校を回るイベントでこれが3回目。
試合に出場した選手数人に加え、地元出身の若手プロたちにも手伝ってもらいました。
この催しは町とのコラボで、ゴルフ教室はきちんと体育の授業として組み込まれています。
こういう形でゴルフと出合い、将来プロゴルファーになる子がいないとも限りませんし、ゴルフと縁を結んだ子どもたちがゴルフの社会的地位向上に寄与してくれるかもしれない。
わたしたちが3年前に始めた試みは小さなものであるかもしれませんが、まいた種が芽を伸ばしていく様が想像できる、そんな気がしてきます。
それにしても、ホールインワンした高さんが「今度オゴるから飲みに行きましょうよ!」ってまるで昭和のおやじノリ(笑)。
ま、こうでなくちゃプレーに張りがなくなるのかもしれませんね?!

「初めの気持ちを忘れずつつましく継続することが一番大切なことだと思っています」(PHOTO by Ayako Okamoto)
週刊ゴルフダイジェスト2025年5月13・20日合併号より