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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.8「89ビジョン」とは何か? 今改めて考えてみる

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

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  • 飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。 ILLUST/Shinichi Hoshi >>前回のお話はこちら アプローチはウェッジでボールを上げることが多いですが、アマチュアはトップやザックリ、シャンクなどミスをすること……

“89ビジョン・シニア版”と謳うこの「たま~に80台で回りたいッ!」連載。実は企画の経緯を説明していませんでした。今回は、そもそもの始まりの話をしたいと思います。

元ネタはピア・ニールソンの「54ビジョン」です。ゴルフで毎ホール、バーディを重ねていけばパー72のコースなら、理論上54を出せるという展望&哲学です。彼女がコーチをしていたアニカ・ソレンスタムが、当時59の最少スコアを出したので、あながち夢物語ではないな、と。当時の担当編集者がピア・ニールソンに手紙を書き、私が教えを乞う企画をお願いをしたのですが、丁寧な返事をもらい、今回は見合わせる、と話は流れました。

それから時は経って、東日本大震災の翌年の2012年。私が、またゴルフ連載の企画を考えたときのこと。その「54ビジョン」が脳裏をかすめ、それをアマチュアオヤジに変換したらどうなるか? そこで生まれたのが「89ビジョン」です。


89ビジョンのテーマは「とにかく80台で回るゴルフ」。年間の平均スコアを90未満で収めれば、年間平均80台の栄誉を得ることができるというもの。当時自分の年齢は53歳、アマチュアは50代が一番ゴルフの腕前が上がり、円熟期を迎えると考えました。「やみくもにクラブを振り回さず、“戦略”と“下手の固め打ち”で80台を目指そう」という試みは、ありがたいことに読者の皆さんから多くの支持を受けました。

そして迎えた2025年。前期高齢者、正真正銘のシニア入りをした自分のゴルフはどうなのだろう。飛距離は衰え、今はドライバーで190ヤードを打つのが精いっぱい。パー4のホールでは350ヤード以下じゃないとパーオンせず、昔は400ヤードのパー4で2オンしたのにと嘆くことしきり。

ボヤいてもしょうがない。現実を受け入れて、毎ホール刻むしかないとプレーをしていたのですが、気づくとたまに80台を出すことがあったのです。

実は飛ばないぶん、アプローチでカバーし、ボギーを積み重ね、少ないパーチャンスをものにしていたのです。昨年は30回ラウンドして80台が10回、今年に及んでは7回ラウンドして80台が3回という好成績を残しています。

飛距離が衰えてもまだイケるということで「たま~に80台で回りたいッ!」という、やや謙虚なタイトルにさせてもらったわけです。

春夏秋冬に1回ずつ
80台が出ればよし!

54ビジョンは理論的には全ホールバーディを取れる。だからオールバーディと計算して、目標スコアは54という提言をしました。ならばアマチュアのシニアゴルファーとしては、飛ばないながら、すべてのホールでボギーオンできると考えて、まずはスコア90を目標にします。その上でパー3ホールはパーオン可能なのでパーをひとつ、ふたつは取れるでしょう。加えて寄せワンのパーもありと、スコアを伸ばす面もありつつ、アマチュアゆえダボもたまに出す。

結果、トータルで89を出せば万々歳。しかも3ラウンドに1回、月1ラウンドなら季節ごと春夏秋冬に1回ずつ80台を出せばよし。「たま~に80台を出そう」というのがこの企画の趣旨なのです。

ビジョンとは展望、理想像、未来像という意味です。そこには人間の強いポジティブな意思が含まれています。クレバーな戦略と日々の練習に基づいた、安定したショットこそが大事なのです。

目標はたま~に80台という緩い設定です。だから前半50を叩いてしまうこともあります。今日はダメな日だ、後半は適当に流しちゃおう、それではダメなんです。戦意を喪失し、昼休みのビールがぶ飲みは完全にアウトですよ。叩いた時は腐らず、午後から新たにハーフをラウンドする意気込みで気持ちを切り替えましょう。

午前中のダボは何がいけなかったのか? この歳になると、ショットのミスは少なく、戦略的なミスで叩くことが多いです。

林から真横に出さなかった、薄い芝で上げようとした、はたまた狭いホールを刻まなかった。叩いた理由が必ずあります。それをいちいち潰して、同じ間違いをしないようにすれば必ず結果は出ます。そして前半のハーフより1打でも縮まればよろしい、100を切ればますますオーケー。

叩いてもクサらないゴルフをしていれば、必ずや80台が出るでしょう。ゴルフは1回投げてしまうとスコアも運も逃げてしまいます。どうせやるなら、明日へつながるゴルフをしたいものです。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年5月13・20日合併号より