【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.213「調子のいい人は“早い”」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
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- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Yasuo Masuda https://my-golfdigest.jp/tournament/p174406 前回のお話はこちら 昨年、あるドラコンプロとの出会いがありまして、これがなかなか面白い展開になっ……
最近、ラウンド後にスマホをいじる人をよく見かけます。ナニやっとんのかなと思って見てると、アプリにその日のスコアやパット数なんかを入れて、出てきた平均スコアや平均パットなんかを見てなんやかんや言うとります。1月は、それを見て「今年は平均ストローク1打上げる」とかツアー選手みたいなことを言うてます。でも、そういうのを目標やバロメーターにせんほうがいいでっせ。
もちろん、スコアやスタッツがよくなっていくのは悪いことではないですけど、最初からそれを目標にするんではなしに、同じ30パットでも、前よりプレー時間が半分になった30パットを目指そうやいうことです。時間が短くなった30パットいうんは、1パット、1パットのジャッジが早くなってるとか、歩測せんでも打てるようになったとか、そういう進歩があるわけです。だから、プレーの時間が短くなるように、自分のゴルフの上達を考えていけばいいのに、それが逆になっとるんです。
あれもせなあかん、もっとチェックせなあかん、いうて自分のゴルフを分厚くしようと思ってやっとるけど、それはまったく反対で、これもあれも要らんかった、なんにも要らんかった。そのまま打ったらスムーズにプレーできた、となってほしいんです。
そしたらスロープレーも撲滅できるし、人のゴルフも見られるし、景色も見られるし、人から好かれるし、ゴルフ場に着くのが30分前でよくなるし、のいいことずくめです。海老原(清治)さんなんか、クラブハウスでコーヒー飲んで、「あ、時間だ、行くわ」って、試合の初日でもそんなんです。練習も何もしないでティーイングエリアに直行ですからね。女子の山下美夢有さんや竹田麗央さんもプレーが早いよね。調子のよい人は早いんです。
まだ今年の目標を立ててない人は、今年は打つ前に素振りを1回もしないとか、ワッグル1回だけにするとか、そういうことに決めてみるんはどうでしょう。ムダをなくすんです。めちゃめちゃ腹が減っておるときに、なんぼ美味しい料理屋に行ったかて、2時間も待たされたらどうですか。早い、美味いの牛丼をかっ込んだほうが幸福感を得られまっせ。

「これもあれも要らん、のまま打ったらスムーズにプレーできる。これが一番です」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2025年2月11日号より