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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.166「イーグルという快感」

KEYWORD 奥田靖己

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasuo Masuda

前回のお話はこちら

先日の話です。僕と初めて回るアマチュアの人なんですが、ゴルフを真剣に始めてまだ3年くらいで、持ってこられたクラブは7本、ハーフセットですわ。僕が提唱する7本、5本でのラウンドを実践してくれてるんかなと見ておると、プレーがめっちゃ早いんです。お、コレはええやないかと思っていたんですが、次第に、いやコレはあかんやろ、いうことに気付きました。

見ているとその人は、パー4の2打目は、グリーンに届くクラブは絶対に持たへんのですわ。2打目は50ヤードを残し、3オンでボギーかよくてパー狙い。それできっちり80台で回りましたけれど、ラウンド後に、ちょっと意見したんですわ。


確かに、あなたは自分なりのマネジメントをやって80台を出したけど、でもそれは自分の可能性を捨てとる回り方やで。なんぼゴルフのセオリーが「手前から攻める」いうたって、ルーティンみたいに毎ホール刻んで、ボギーかよくてパーという攻め方でいいんですか、いうことなんです。あなたはバーディやイーグルを狙う、いうことをはなから放棄しとる。「ココは怖いからスコアの関係上逃げます」いうんは、それはいいでしょう。でも基本は、2回で届くんやったらセカンドショットでグリーンを狙いなさいよ、と。

プロ仲間が20人ほど集まるとやるお遊びがあって、イーグルを取ったもんが商品をいただくいうもんです。プロが20人くらいいてもなかなかイーグルは出ません。だから、面白い。

海老原(清治)さんなんかはイーグルをけっこう出すので、この遊びで商品を持っていくことが多いんですが、一緒に回っていたときに、「この遊び、なかなか面白いでんなあ」いう話をしていた矢先、そのホールで、なんと僕が143ヤードくらいのセカンドを入れて二人でハイタッチですわ。カップインするのもしっかり見ました。

今の自分の実力でミニマムを目指す、これは基本精神です。でも、2打目でグリーンに乗らんかったらパー4のイーグルはないわけですからね。石橋を叩いて80台を出すために、あの快感を味わうことを自ら放棄するなんて、もったいない話です。

「ミニマムのゴルフも大事やけど、やっぱり2オンのゴルフは目指してほしいですね」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月20日号より