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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.138 「プロの力みとアマの力み」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa

前回のお話はこちら

60歳を超えると、それまでできていたパフォーマンスができんようになってきます。

顕著なのが飛距離で、単純に言うたら今までMAXで100出ていたスピードが70くらいしか出せなくなってくるわけで、そうすると「要らん力み」が出てきます。

なんや、ゆるゆる派の奥田でも力むんかいな、と言われるけど、そら僕かて力みます。

実際、240ヤードの池越えを前にして自分の飛距離が240~245ヤードだとしたら、振ればなんとか越えると思うから力みます。


だから場合に応じて力むいうことも必要ということです。ただ、アマチュアの人の力みと、僕なんかが言う力みは、ちょっと違うんですわ。

たとえば、食べ物をフォークで刺すときに、幼児期の子どもにやらせるとフォークを逆手に持って食べ物が硬くても軟らかくてもガチガチと突き刺します。これが成長するに連れて、ものを刺すのに最適な力加減を覚えフォークをスッと刺して使えるようになる。要するに無意識にムダな力が取れるわけです。

アマチュアの人の悩む力みはこの幼年期の子どもと同じ“ムダな力”で、それに対して僕なんかのはMAXで振れば池を越えられるという“必要な力”です。

じゃあ何でアマチュアの人がムダな力を抜け切れないかというと、7番アイアンのMAXの距離の150ヤードを打つような練習ばかりしているからで、要するに子どもがフォークをガチガチ刺すようなことをずっとやっとるんです。だからフォークをスッと刺すような「最適の力加減」を覚えるには、7番アイアンで100ヤード打つ練習をしてみてください。

1つのクラブで5割、7割、10割の力加減で緩急つけて打つ練習をすれば、5割の力加減で打っても7~8割の飛距離が出るし、8割で打ってもMAXに近い距離が出る力の出し方ができるようになってきます。

普段は8割の力で振っていれば、ギリギリの池越えでMAXで力んで打つようなときでも、ムダな力は入らんショットが打てる思います。

ただ、最近の僕の場合はスピード不足からくる「要らん力み」ですから、そこは解消のために試行錯誤しとります

「ムダな力が入らんようにすることが、一番の練習ですよ」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年7月25日号より