「子どもたちの記憶に残る大会に」中西直人がクラウドファンディングでトーナメントを開催する理由とは?
プロゴルファーの中西直人が、ワンデートーナメント「THE TOURNAMENT for the FUTURE ~子どもたちへの贈り物~」を今年3月に開催すると発表。運営資金の一部をクラウドファンディングで募るという初の試みに注目が集まっている。開催の経緯や狙いについて、本人を直撃した。
3月13日(日)に岐阜県の瑞陵ゴルフ倶楽部で開催される「THE TOURNAMENT for the FUTURE ~子どもへの贈り物~」。木下稜介や浅地洋佑、比嘉一貴など、優勝経験のある実力者を含めた男子プロが参戦予定で、賞金総額は500万円。プロ2人とジュニア2人が同組で回り、ストロークプレーで争われる。画期的なのは、インターネット経由で資金を募る「クラウドファンディング」を利用していること。発起人である、プロゴルファー・中西直人に話を聞いた。
GD 大会の構想はいつからあったんですか?
中西 初めて思いついたのは2年前。「フューチャーGOLFツアー」(大相撲の地方巡業をモデルにした石川遼発案のミニツアー)に参加したときに、選手もジュニアもみんなが楽しんでいて、すごくいい試合だと思ったのがきっかけです。
GD そこから実際にやろう、となったのはいつごろですか?
中西 去年の8月、KBCオーガスタのときに、キャディの対馬さんに「こういうトーナメントがしたい」と相談したら、二つ返事で「じゃあ、やりましょうよ!」って。
GD けっこう軽いノリで決まったんですね。
中西 軽いノリというわけではないんですが……。ただ「思う」ことは誰でもできますが、実際に「やる」のは簡単ではないですよね。対馬さんがそうやって言ってくれたから、よし、やろう! って思えたんです。
GD 今回、クラウドファンディングを使おうと思ったのはなぜですか?
中西 僕は「みんなで作り上げる」のが好きなんです。トーナメントは通常、メインスポンサーがあって、そこがすべてを負担する形になる。そういう大会もとてもありがたいのですが、プロ、ジュニア、ゴルフ場……全員でひとつのトーナメントを作り上げる、ということにトライしてみたかったんです。
GD ゴルフ場に関しては、岐阜の瑞陵(ずいりょう)GCでの開催ということですが、これはどのような経緯で?
中西 昨年12月の段階で、(中部~関西で8コースを運営する)信和ゴルフさんに相談したところ、すぐに動いてくれて。日程が3月13日の日曜ということもあり、どこもすでにクラブ競技で枠が埋まっていたのですが、無茶を言ってお願いして、なんとか瑞陵GCで枠を空けてもらうことができたんです。男子のポテンシャルを発揮できる戦略性の高いコースでもありますし、選手にも見る側にも楽しんでもらえると思います。
GD ギャラリーは入れるんですか?
中西 入れたいのですが、一般営業日なので今のところ難しそうです。中継はインターネットでのライブ配信を予定しています。
GD 出場選手にはどのように声を掛けたんですか?(2月6日現在の参戦予定者は浅地洋佑、池村寛世、出水田大二郎、片岡尚之、亀代順哉、木下稜介、香妻陣一朗、比嘉一貴)
中西 シンプルに「出て」って(笑)。賞金のこととか、具体的な中身のことをまったく言わず、熱い思いでやっていること、ゴルフ界を盛り上げてほしい、ということだけを伝えて。そうしたらみんな二つ返事でOKしてくれました。
子どもたちの記憶に残る大会にしたい
GD ちなみに賞金はどれぐらい出るんですか?
中西 優勝賞金が200万円。その他ドラコン賞やイーグル賞なども含めて、総額500万円の予定です。
GD 1日競技、10人のフィールドで優勝賞金200万円というのは選手にとっても大きいですよね。
中西 選手のモチベーションになることももちろんですが、一緒に参加した子どもたちに対しても、「プロって1日でこんなにもらえるんだ!」と感じてもらいたいなと。
GD 大会名に「子どもたちへの贈り物」とありますが、これにはどういう思いが込められているんですか?
中西 僕が小学6年の頃、父に連れられて観にいった男子ゴルフの試合で、見飽きて寝転がっていたら、通りがかったプロからボールをもらったことがあったんです。名前を見ると「丸山茂樹」と書いてありました。ボールをくれたときの一瞬のやさしさと、プレーに入ったときに切り替わる真剣な表情がとてもカッコよかった。そこから僕はゴルフに没頭するようになったんです。子どもの頃のそういう記憶って、今でも強烈に残っている。一緒に回る子どもたちにも、プロとして憧れられるような姿を見せたいと思います。
GD 女子ツアーは盛況ですが、男子ツアーには厳しい声も寄せられています。今回の活動も含め、今後さらに男子ツアーを盛り上げていくためには、どんなことが必要だと思いますか?
中西 厳しい声が寄せられていることに関しては、僕はむしろありがたいことだと思っています。だって、ゴルフが好きじゃないとそんなこと言わないじゃないですか。それだけゴルフを好きな人が多いんだ、と。人間はどうしても比較したくなる生き物。でも、男子ツアーと女子ツアーの良さって違うと思う。違う土俵にあると思うんです。よく男子ツアーは凄すぎて(自分のゴルフの)参考にならない、と言われますが、僕からしたら、参考になられたら困る。参考にならないようなことをするのが僕たちの仕事。ものすごい飛距離とか、こんなところから狙うの? というような男子プロにしかできない技を楽しんでほしいと思います。
* * *
オンラインでのインタビューを終え……
「今日は練習ですか?」
「いえ、梱包してました」
なんと、自身のオリジナルブランド「SANRISE」の商品を自ら梱包し、発送しているという。
「このほうが、買ってくれる人も嬉しいじゃないですか」
中西プロがファンから、選手から、愛される理由が分かった気がした。
「THE TOURNAMENT for the FUTURE ~子どもたちへの贈り物~」
開催日:2022年3月13日(日)本大会、3月14日(月)プロアマ大会
会場:瑞陵ゴルフ倶楽部(岐阜)
賞金総額:500万円
>>クラウドファンディング募集ページはこちら
https://readyfor.jp/projects/for_the_FUTURE_GOLF
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