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【渋野日向子のスウィング改造 #2】上げる軌道と下ろす軌道がピッタリ一致! ムダを省いた超シンプル打法

大胆なスウィング改造に踏み切り、見事結果を出した渋野日向子。では具体的にどこが変わったのか。引き続きプロコーチの阿河徹に解説してもらおう

PHOTO/Kazuo Iwamura、Shinji Osawa THANKS/川崎ゴルフ練習場

解説/阿河 徹

あがとおる。大学在学中にアメリカへ留学、米国理論を学ぶ。帰国後、金田久美子や塩見好輝など、多くのツアープロを指導

●CONTENTS●
>>#1 渋野日向子のスウィング改造変遷史

>>#2 超シンプル軌道で再現性アップ
>>#3 ダウンで「引く」からヘッドが走る

引っ張るスウィングにシフトした

渋野は身長167センチで、日本人選手としては背が高いほうの部類に入る。一般的に、高身長になるほど上体が揺れやすいので、たとえばA・スコットのように、その場できれいな軸回転をして打つほうがいいとされる。ただし、軸を揺らさずに打つには、体幹部の強さが必要。では渋野はというと、ソフトボールで鍛え上げた強靭な体幹と下半身がある。つまり、渋野なら、男子プロのような体の強さを使うスウィングを目指しても、やり切れる可能性は高いということだ。

「渋野選手のように、高身長で体幹部がしっかりしている人の場合、『引く』パワーを出しやすいということが言えます。クラブの軌道が波打たないように、シンプルに整えたことによって、この『引く』パワーをより強く使えるスウィングになったのではないでしょうか」と阿河は分析。


トップがコンパクトになったことについては、「女子選手ではパワー不足に陥る」と批判されることも多かったが、平均飛距離を見ると、現在のほうが改造前より飛んでいる。

「改造直後に飛距離が落ちたのは、単純に新しいスウィングに『慣れていなかった』からでしょう。今はスウィングが固まっているので、かなり思い切って振れるはずです。しかもクラブ軌道がシンプルで、振っても曲がりづらいから、余計に強く振れるという好循環が生まれています」(阿河)

<2019年 改造前のスウィング>

<2021年 最新スウィング>

一度落ちた飛距離がすっかり戻った

FWキープ率平均飛距離
2019年67.95%248.2Y
2021年3月78.57%236.8Y
2021年10月83.33%252.4Y
スウィング改造で「飛距離が落ちた」と言われた渋野だが、結果的には改造前より飛距離は伸びている。しかも、正確性がアップしていて、「飛んで曲がらない」ようになったことがわかる

ループ軌道から一筆書き

切り返しでヘッドがループするような動きがなくなり、上げた軌道をそのままなぞって下ろしてくるような、シンプルなクラブ軌道になった

渋野がどんなスウィングをしたかったのかは、飛球線後方から見るとよくわかる。

「19年のスウィングは、一旦、クラブをタテに上げて、切り返しで寝かせてから、再度立てて下ろすという感じで、クラブの動きが複雑です。(飛ばし屋の)C・チャンプなんかもそうやって振っているし、当時の彼女はそれで結果も出しているので、特に直す必要がないとも言えるのですが、たまに大きくフェアウェイを外すこともありましたし、本人の感覚として『気持ち悪い』部分があったんだと思います。新スウィングは、以前あった切り返しで寝かせる動作を省き、上げたクラブを下ろすだけのイメージで、クラブの動きが『一筆書き』に近くなりました。最初からシャフトを寝かせトップまでそのまま行き、それを立てながら下ろすだけなので、再現性は高いと思います」(阿河)

新スウィングは動作がシンプル

トップがフラットになり、最初からシャフトが寝た状態になっているので、ただ引き下ろすだけで勝手にクラブが立ち、フェースが閉じる。引く力を生かしやすいスウィング

改造前は「立てる-寝る-立てる」動きだった

クラブが立った状態で上げて、切り返しでいわゆる「シャローイング」動作を行ってからダウンスウィングに入っている。比較的簡単にパワーを出せるが、軌道は不安定になる

アマチュアがこの動きを採り入れるポイントは?
>>#3 ダウンで「引く」からヘッドが走る

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号より