AWだと届かないけどPWだと大きい…“微妙な距離”のコントロール法by宮本勝昌
AWだと届かないけど、PWだと大きい。こんなとき、PWで距離を抑えるにはどうすればいいのか。名手・宮本勝昌が微妙な距離のコントロール方法を教えてくれた。
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/東京よみうりCC
解説/宮本勝昌
通算12勝。49歳になっても賞金シードを保持する“ベテランの星”。ハートンホテル所属
PWのロフトが立ってきたことで
よりコントロールが必要になった
時代の流れとともにドライバーは飛んで曲がらないように、アイアンは球が楽に上がって飛ぶように進化してきた。その影響でアイアンのロフトはどんどん立っていき、昔はPWの平均は48度だったのが、今では42~43度も珍しくない。久しぶりにアイアンを買い替えたらPWとAWのロフト差が10度も開いてしまうということが実際に起こっているのだ。
ロフト差が開けば当然その間の距離の打ち分けが難しくなる。「僕も昔は4度刻みだったウェッジのロフトが6度刻みになっているし(46、52、58度)、プロはドライバーの飛距離が伸びているぶん下のクラブの飛距離幅が広がってしまって、コントロールショットの重要性が高くなっています」と宮本プロ。
距離を調整するには振り幅を変えるのがセオリーだと言われているが?
「振り幅を変えてしっかりと距離を打ち分けられる人はかなり上級者です。アマチュアの人は振り幅を変えているつもりでもあまり変わってなかったり、力んだりタイミングが狂ったりするからコントロールショットが苦手なんですよね」
ギャップウェッジを入れる方法もある
近年はPWとAWの間を埋めるクラブとして48度などのウェッジが売られるようになった。これを導入する方法もあるが、当然ほかのクラブを1本抜かないといけなくなる
「PWでマイナス10Y」
やり方は2つ
コントロールショットが苦手な人向けの、簡単なマイナス10ヤードの方法があると言う宮本プロ。
「トップもフィニッシュも両方小さくしようとするから難しくなるので、どちらか片方だけ小さくしてみてください。まずはフィニッシュだけを小さくする方法ですが、これはフィニッシュを低い位置で抑えようとすることでインパクトでロフトが立って当たるので、球が低くなって球が飛ばなくなるんです。球が低くなっても、PWくらいロフトがあれば、ランが多く出てすぎることもありません」
確かにフィニッシュだけに集中するならミスなく打てそうだ。「もうひとつは反対にトップだけを小さくする方法。これは芹澤(信雄)さんが得意なのですがヘッドスピードが自然に落ちるのでそのぶん飛ばなくなるんです。2つ試して合うほうを使ってみてください」
距離を落とす方法1
フィニッシュを肩までで止める
【Point】
胸の前で止めるくらいの意識でOK
フィニッシュを止める位置で距離が調整できるが、アマチュアは胸の位置で止めるくらいの気持ちでないと、肩の高さでは止められないので注意
距離を落とす方法2
トップを肩までで止める
【Point】
切り返しは必ず下半身からスタート
せっかくトップを小さくしても力んで上体から切り返してしまうとミスになる。必ず下半身リードで切り返すこと
ミスの原因はほぼ打ち急ぎ
たとえどちらかの振り幅を小さくしたとしてもダフリやトップのミスが出ることがあるが、それはスウィングリズムが変わってしまうからだと宮本プロ。
「例えばトップを小さくしたらそのぶん少し時間が余りますよね。トップで1拍待って切り返すことができれば同じリズムで打てていいけどそれも難い。そこでオススメなのが歩くように足でリズムを取って打つことです」
足踏みをするように打つということだろうか?
「かかとだけ上げる足踏みですね。トップで左かかとを上げてフォローでは右かかとを上げながらリズムを刻めば、振り幅を小さくしても同じように打てます。あとは“腕振り”だけにならないように下半身をしっかり回すことも大切です。そしてそのときに右腰が下がると回らなくなるので、腰のラインを水平に保つことも大切です」
コントロールショットの注意点1
歩くように足でリズムを取る
コントロールショットの注意点2
“おへそ”をしっかり回して打つ
下半身の回転が止まって腕だけ振るとコントロールショットは打てない。おへそが目標を向くまでしっかり腰を回して打っていくことが重要
コントロールショットの注意点3
右腰を下げず水平に回す
「AWでプラス5Y」は
卓球のドライブのイメージ
アマチュアは普段から100%の飛距離を打とうとしているから、そこからのプラス5ヤードが難しい。本来はプロみたいにフルショットの8〜9割で飛距離に“ノビシロ”を持たせておくべきなのだが……。
「実はいつも100%で打っている人がさらに飛ばす方法もあります。まずフェースをかぶせて左に向けます。すると、ロフトが立ちますよね? そのままだと左に飛んでしまうので右を向いて構える。この状態から卓球のドライブショットのイメージで、右手で球を包み込むように打つんです」
フェースをしっかり返して球をつかまえるということ?
「アドレスでフェースをかぶせているので、返してしまうと左に飛びます。そのため、返すというよりは、右手を下から上にタテ使いながら振り抜くんです。例えば同じ100ヤードでもPWで距離を落とす方法よりもキャリーをしっかり出せるから、ピンが手前のときやバンカー越えの状況ではこっちがオススメです」
【STEP 1】
フェースをかぶせてロフトを立てる
フェースを目標よりも左に向けてロフトを立てて、物理的に飛距離が出るようにしておく
【STEP 2】
このままだと左に飛ぶから右を向く
左に向けたフェースが目標を向くように、体を左にズラしながらスタンスを右に向ける
【STEP 3】
右手でボールを包み込むように振る
月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より
こちらもチェック!
- 女子プロのなかでも切れ味鋭いと評判なのが、大里桃子のライン出しショット。風が吹いているときなどに、ちょっと低めの弾道でピンの根元をズドン! と射抜くあのショットはいったいどうやって打っているのか。本人を直撃した。 PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/サザンヤードCC 大里桃子おおさとももこ。1998年生まれ。熊本県出身。171センチの長身を生かしたアイアンの切……
- 18年、19年と2年連続で賞金王に輝いた今平周吾。今回は、抜群のショット力を誇る今平の、スコアメイクの要ともいえるPWでのコントロールショットについて掘り下げていく。 TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara 今平周吾 92年生まれ、埼玉県出身。18年、19年と2年連続で賞金王を獲得。今シーズンは「フジサンケ……