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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.905「肉体的な変化に伴って理想のリズムとイメージに合わせることがクラブ選びです」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


よくクラブを買い替える人がいますが、これはスウィングの再現性を高めるには矛盾する行為のような気がします。パターの変更も同じストロークをするには不利かと思うのですがどうでしょうか。(匿名希望・50歳・HC8)


4月に入りマスターズも終わり本格的にシーズンイン。

そして各メーカーの最新クラブが発売される時期でもありますね。

アマチュアの方だけでなくプロも現状を打開するため、クラブを取り替えることはあります。

ドライバーがどうにも右へ行ってしまう場合は、スライスしないことを謳う新作ドライバーを買い、フックに悩んでいれば逆の効能を謳うクラブを試したくなる。

多くのゴルファーはスコアアップを目指してプレーしているわけで、そうやってクラブを選ぶことは当然のことだとは思います。

もちろん、スコアアップを実現するにはそれに見合う練習が必要だということも頭ではわかっているとは思いますが……⁉


ですが、手っ取り早くいいスコアが出せる道はないかと探したい気持ちもわからなくもありません。

そんな魔法のクラブを各メーカーが必死になってゴルファーのニーズに応えるために開発をしています。

いつもスライスするゴルファーがクラブを替えたところ真っすぐ飛ばすことができたら、スウィングを矯正することなく満足するボールが打てたのですから、需要と供給の関係が成立します。

ただ、こうした対症療法的クラブ選びでスライスの悩みは消えたように見えますが、元のスウィングが安定しなければ、しばらくするとまた別の問題が浮上してくることも避けられないと思います。

ミスショットが出るのはクラブが悪いとクラブのせいにするのはプロでもあります。 全部自分の責任にすると悩みが深くなり精神的に参ってしまうこともありますからね。

現在ほどクラブ市場が整っていなかった80年代以前のゴルファーたちには、自分に合ったクラブを探すことは事実上不可能でした。

そのころには、道具に合わせて打ち方を変えるということは当たり前でしたし、そういう職人的な技術を持ったゴルファーが多くいらっしゃいました。

だからこそクラブ選びは難しかったし、永遠のテーマでもあり面白かったとも言えます。

スウィングの再現性向上とクラブの取り替えは矛盾するのでは? という疑問についてですが、確かにクラブが替わればクラブに適したスウィングが求められることになるでしょう。

ということはスウィングを変えざるを得なくなる……ですが、同じスウィングをしたいからこそ、今とは違うクラブに替えたくなるということなのです。

わたしの言う同じスウィングというのは、自分が抱く理想とするイメージ通りのフィーリングでクラブを振ることであり、そのスウィングで打ったボールが飛んでいくイメージのことです。

このイメージには、自分の頭の中に思い描いている体の動かし方、スウィングのフォームと弾道や球筋といったボールの飛び方の両方が含まれています。

ところが、スウィングと球筋の両方イメージ通りに打つには、年齢や筋力や柔軟性、それに伴うタイミングなどが少しずつ変調をきたしてきて、いま使用するクラブでは打てなくなってくるということです。

クラブはゴルフという競技と同じく、長い時間の流れとともに進化してきました。

ゴルファーの技術や考え方もそれに伴って少しずつ進歩してきたのでしょう。

しかし、メーカーはどんなに研究を重ねたとしても全ゴルファーに最適なクラブを作ることはできないのではないでしょうか。

自分にピッタリ寄り添うクラブと出合うためにプレーし続ける――ゴルフとは、そんなロマンチックな見果てぬ夢を追う旅のようなものなのかもしれませんね。

「お気に入りのクラブと出合ったときのあのワクワク感はいまでも覚えています」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2026年4月28日号より