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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.840「ボールの性能を感じ取れると上達すると思います」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


グローブは穴が開いたりボロボロになったら取り替えますが、ボールはどうなったら交換するべきでしょうか?(匿名希望・42歳・HC18・歴15年)


昨今の物価上昇が止まらないご時世のなか、ゴルファーにとってプレー費や練習場使用料、ボール代の出費など大変かと思います。

高価なものだと1個800円もするゴルフボール。下ろしたての新品をティーショットで、池や林の中へ打ち込むようなことのないよう願いたいですよね。

ゴルフは正直言ってクラブなど道具をそろえるのに費用がかかり、ボールもしかりです。

林や池に入ってしまうとなかなか回収が難しく、ともすれば1ラウンドで半ダース近く失うことだってあり、笑って済ませられる痛手ではないですよね。

ですが、なくさないからといっていつまでも同じボールを使い続けるかといえばそうではないですよね。

ボールはゴムでできているので劣化は免れず、いずれ本来の性能を発揮できなくなります。

そこで使用期限の判断ですが、わかりやすいのはカート道などに当たったりして、表面に一目でわかるような大きなキズがついた場合です。


あとは、痛いボギーを叩いてしまった時など、気分と一緒にボールを替える場合ですかね。

プロはミスしたボールはあまり使い続けることはないかも!?

実際の使用期限は、調べたことはないので確かなことは言えませんが、製造され出荷されてから2〜3年は新品として問題ないのではないかしら。

4〜5年たったボールは、わたしは使用したことがないのでわかりませんがどうなのでしょうかね。

ちなみにわたしは現役時代、試合でも練習でも0.5ヤード飛ばなくなったと感じたらボールを替えていました。

プロにとってボールとの関係はとても繊細でシビアなものです。

わたしたちの場合、ボールはスコアに直結するとても重要な役割を担うものであり、さらにメーカーにとっても宣伝にもなりますので結果を求められます。

契約プロは、メーカーから定期的に支給される数種類のボールを試打します。

打感や飛距離、スピン性能などをチェックして使用球を決めます。

ボールの特性は、大きく言うと球離れが早く飛距離を追求したもの、軟らかい打感でスピンコントロールを可能にするもの、両者の性格を少しずつ複合したものというおおよそ3つに分類できるでしょうか。

各メーカーはその開発にしのぎを削っています。

このごろゴルフボールは多種多様になり選択肢が増えましたが、だからといって上手く選べるとは限りません。

ボール選びは深く難しいものなのです。

わたしの場合はプロ入り以来、人とのご縁、関係を大切に浮気はしませんでしたから、そこまで悩みはありませんでしたが、糸巻きボールからツーピースボール、そして多層構造ボールへの変化に少し苦労させられたこともありました。

ボールの素材や構造、さらにクラブの進化も伴い、球離れが劇的に早くなったことへの対応を迫られました。

振り返って考えるとボール性能の進歩によってプレーヤーの技術の変化にも影響を与えたと思います。

そういえば昔、糸巻きバラタを使っているとき、トップして表面にカットが入ると、それを笑っているようなスマイルボールと呼んでいたことを思い出しました(笑)。

ボールも進化を遂げ、あんな小さな球体に、わたしたちゴルファーへとても影響を与える技術が詰め込まれているなんて、よく考えたらスゴイことですよね。

ボールがないとゴルフはできないですから、もし3パットしてイライラしても、くれぐれも池なんかに放り込んだりしないでくださいね!

「ボールを雑に扱ってると痛い目に合っちゃうかもしれませんよ!」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2024年12月3日号より

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