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【競技アマの朝イチ練習】<後編>ショット練習の目的は“いい球を打つ”ことではない

ラウンド前、上級者たちはコースに着いてからどのように過ごしているのか。日経カップで調査してみると、上手い人たちに共通する点が見えてきた。

PHOTO/Takanori Miki THANKS/筑波CC

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  • ラウンド前、上級者たちはコースに着いてからどのように過ごしているのか。日経カップで調査してみると、上手い人たちに共通する点が見えてきた。 PHOTO/Takanori Miki THANKS/筑波CC >>後編はこちら 上級者はスタート1時間前から動き出す うまい人はスタート前の時間をどのように過ごすのだろう。そ……

球打ち前にロングパットを20分

競技アマたちに共通する“だいたいの時間割”はわかった。ではそれぞれのシーンで選手たちは何をしているのだろう。

「クラブハウスを出たら、まずは練習グリーンへ行きます。これは主に、この日のグリーンのスピードや切れ具合を確認し、自分の感覚と合っているか、どの程度ズレがあるかをチェックする作業なので、ロングパットが主。時間は到着時刻にもよりますが、だいたい40分前に練習場へ行けるようにしています」

とは連載「企業ゴルフ選士」にも登場経験のある柴山俊博さん。「先輩の受け売りです」と笑うが、今やこのルーティンは欠かせないものだという。

ほかの選手たちも、示し合わせたかのように1回目の練習グリーンではロングパットを中心に20分前後という回答が多かったが、その理由は「練習場で球を打つ時間を基準にしている」から。球数を限定されることが多い公式戦では、だいたい練習場で球を打つ時間は20分ほど。朝一番にロングパットをする理
由は、スタート10分前に集合するための時間を合わせつつ、この日のグリーンの状態を確かめるという意図があるのだ。


株式会社明治 柴山俊博さん(50歳・HC5.6)の場合
「その日の転がりを確認するため球打ち前に20分」

「私の場合、練習場へ行く時間から逆算して朝の練習グリーンでロングパットをやります。今日は8時半スタートなので7時50分くらいから練習するとなると、その前に済ませておきたいですね」

プレデンシャル生命保険 金井篤司さん(60歳・HC 1.5)の場合
「必ず10歩を2往復。感覚とのズレを確認する欠かせない作業です」

「私はエイムポイントをやっているので、自分が測ったスピードや曲がりと実際の転がりが合っているかを確認します」。やり方は10歩の距離から3球を使って2往復するだけ。上りと下り、フックとスライスを打ち分けられるので効率的

多くの選手がスタート60分前から
20分間パットを行っていた

ショット練習は
いい球を打つことが目的ではない

多くの選手たちが「朝イチの練習グリーンは球打ちの時間に合わせて行う」と口を揃える理由は、いたってシンプル。「ラウンド直前に行う練習場での球打ちは、スウィングチェックや弾道を良くすることが目的ではなく、体をほぐしつつ、この日のショットの傾向を把握するためのものなのです」

とはHC0の渡辺圭介さん。スタート直前にスウィングで悩むなんてもってのほか。たとえショットの調子が今ひとつだとしても、ミスの傾向をわかっておくことでスコアをまとめることができる。なおかつ重要なことは“動ける体”に仕上げることであり、ほかの選手も「やる時間が重要」と口を揃える理由は、温めた体を再び冷やさないため。

ではショット練習では、限られた24球をどのように使っているのか。

「私の場合、練習場へ持っていくクラブは4本です。必ず持つのがSWと8番アイアン、ドライバー。もう1本はこの日に多用するであろう番手ですね」

と渡辺さん。仕事が多忙でラウンド数が少ないことから、半分をアプローチに費やし距離感を合わせ、残りの球で動作や弾道をチェックするという。

多くの場合、試合時は24球。限られた球数で効果的に仕上げるため、使用クラブも絞っている

みずほ銀行 渡辺圭介さん(39歳・HC0)の場合
「弾道より体の動きを主にチェックします」

ラウンド回数が少ない渡辺さんは、まず12球を使って距離感を調整し、8番アイアンをゆっくり振って6球。「最後に1、2球ドライバーで打ちますが、良い球を打とうとは考えません」

クラブは4~5本が大半

練習場へ持っていくクラブは4~5本の選手が大半。ウェッジから番手を上げていき、最後はドライバーというのがほとんどだったが、多くの選手は打球の行方をあまり気にしていないように見えた

スタート直前のショートパットは
最後のリハーサル

練習を終え、スタート直前に再び練習グリーンで1~2メートルのショートパットをしている選手が多かったことについて、この日応援に訪れていたプロコーチの小暮博則氏は言う。

「朝一番の練習グリーンは、感覚を確かめるために長い距離をノープレッシャーで行います。一方で球打ち後、体が冷える前にショートパットするのにも理由があります。直前のパット練習は言ってみれば0番ホール。本番さながらの緊張感を持った状態でリハーサルを行うことで、出だしでミスしたとしても落ち着いて対処できるわけです」

GDO 細谷祐生さん(48歳・HC1.4)の場合

練習場から戻り、1.5mほどを2球ずつ打つ細谷さん。「朝イチのパット練習は到着時間による」というが、このスタート直前のショートパットだけは欠かさない

週刊ゴルフダイジェスト2024年11月5日号より