「打ち方は教えない」「2時間は他のスポーツを」全米女子アマV・馬場咲希を育てたコーチの意外な指導方針とは?
6月の全米女子オープンで予選通過を果たし、2か月後の全米女子アマで優勝という快挙を達成した馬場咲希。コーチを務める坂詰和久氏にどんな指導をしているのかを聞くと、意外な答えが返ってきた。
古くは尾崎将司、新しくは石川遼や渋野日向子の出現は劇的だったが、馬場もその勝ちっぷりが規格外だった。決勝戦では相手のモネ・チャンに11&9という大差で圧勝。36ホールのマッチプレーで、なんと9ホールを残して決着したのだ。
05年生まれの17歳。ゴルフに触れたのは5歳で、父親・哲也氏に練習場に連れていかれたのがきっかけだった。腕前はメキメキ上がり、アマ競技で5勝を挙げたのち、いきなり“女子アマ世界一”へとたどり着いたのだ。この快挙は85年の服部道子以来、37年ぶりのこと。
コーチは馬場が中1の頃から指導している坂詰和久氏だ。氏は片山晋呉、佐伯三貴のキャディを務めた経験を持つ。全米女子オープンでも馬場のバッグを担ぎ、49位タイと健闘している。氏の指導方針にしばし耳を傾けよう。
「打ち方は教えないし、直しもしません。教えるのは胸や骨盤の回し方など、ボールを打つ際の体の仕組み、運動効率のいい打ち方を追求させること。ジュニアは体も年々変わっていくので、型にはめた打ち方を教えるのは“害”だと思っています。たとえば8時間あったとしたら、球を打つのは2時間だけ。2時間は筋トレ、2時間は他のスポーツを楽しみ、残りの2時間はリフレッシュのために使いなさいと言います」
馬場のよさは“鈍感力”にあると坂詰氏。一緒に回る選手など気にしないし、見えるのは「ピンとカップだけ」という超攻撃型。「打つ時は何も考えない。曲がった時に考えればいい」。馬場とコーチが作り出した境地だろう。
規格外といえば「電車の吊り革が邪魔」という175.3センチの身長から打ち出される270ヤードの飛距離。坂詰氏の助言によって14キロ増やした体重で、まだまだ飛距離は伸びるというから末恐ろしい。
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より
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