【セカンドキャリアでプロゴルファーに】<堀江靖見さん編②>「今のところ、日本一稼げないプロ、です(笑)」
週刊ゴルフダイジェスト
60歳で定年、仕事はやめて……というのはもはや昔の話。“人生100年”の時代、セカンドキャリアを考える人は多い。それが、大好きなゴルフに関われるものだったら……という夢を実現させた2人に話を聞く。1人目は高校教師からシニアプロになった堀江靖見さん後編。

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対策として「長尺パターを使うなど工夫しましたが、私の場合、クローグリップにしたのが功を奏しました。大会で『どうせ入らないし、いいや』と思って試しにやってみたら意外とスムーズに手が動くようになったんです」。この“イップス経験”は、今、ゴルフを教える立場になって生きているという。というのも「PGAのティーチングプロB級実技試験を受験して合格した後、講習会・検定を受講するのですが、そこで基本動作を徹底的に学ぶんです。その際、『基本を教わるのは初めてだな』と思いました。そして、私のようにイップスになるなど困難なことに出合ったら『基本に返ればいいんだ』とも気付いたんです」。基本に返れば直せる。その安心感にハッとしたという。
自己流で、日本シニアオープン出場まで勝ち取ったゴルファーが還暦を過ぎて気付いた基本の大事さ、レッスンの重要さ。4月から開講している「堀江の悠YOUゴルフ」は生徒に寄り添いながら、ゆっくり、悠々と“ゴルフの大事”を伝えている。「みんなに喜んでもらえるのが本当にうれしい」とやりがいを話す堀江さん。根底にあるのは「人を喜ばせてあげるような行動を取る“他喜力”」だと言う。それは高校教師時代に生徒たちにずっと伝えてきたこと。「わがままな行動は人からの信頼を失い、今まで積み重ねてきたものを失うことになる。人に不快な思いをさせない、自分のわがままのために人様の時間を無駄に使わせるような迷惑をかけない。こうしたことは社会に生きる者としての最低限のルールです」。
さらに願ったのは、生徒たちの口から「イヤだ、無理!」という言葉が出ないこと。「自分に降りかかる困難を拒絶していると自分が他者から拒絶されてしまいます。タレントのゴルゴ松本さんがおっしゃっていたのですが、『苦難・困難・災難があることはありがたい』と。本当にそうだと思います。人として成長していくために、これらがあるんですよね」。ゴルファーとして、天才に圧倒されたり、自分の実力不足を知らされたり、イップスに悩んだり。人生でも、格差に直面して失望し、受験に失敗しプレッシャーにさいなまれたり。困難はついて回ったが、立ち向かった。
PGAのホームページによれば、2026年1月1日付で登録された新入会者は72人。平均年齢は31・8歳で、50歳以上の合格者が10人。シニア世代の挑戦者も年々増えているという。そして「最年長は63歳の堀江靖見」とある。
挑戦人生は続いている。「目標はシニアツアーに出ること。今年も予選を受けましたがボロボロでした」。それでも「プロの試合はレベルが高いから楽しいです。今のところ獲得賞金はゼロ。レッスンも始めたばかりで、そもそもそれで儲けようというつもりもないんです。今のところ、日本一稼げないプロ、です(笑)」。そして付け加えるのが「こうして長くゴルフを続け、プロになれたのも妻の理解があったから」。
感謝しながら、そして大いに楽しみながら、セカンドキャリアを歩んでいる。

PGAのテキストの重要な箇所には蛍光マーカーでライン、随所に赤ペンでの書き込みも。「基本に返る大切さを学んだ」大事な一冊。
【セカンドキャリアプロからのワンポイントレッスン】
インパクトで左腕を止めるイメージを
アマチュアゴルファーにありがちなのが、飛ばそうとして手や腕に力が入ってしまうケース。練習場で歯を食いしばって鼻息荒く、ハアハア言いながら打っている人がいますが、効率よく球に力が伝えられていないのでもったいないなあと思います。
力を抜くためには、まず脱力し、直立して足の付け根から上半身を軽く前傾させ、両腕をダラリと垂らします。その位置でグリップを握り、あとは背骨を中心としたスウィング軸に沿ってその場で自分の体をクルンと回すだけ。意識するのはインパクトで左腕を止めること。すると(実際にはスウィング中に左腕が止まるという動きにはなりませんが)右手のコックが自然とほどけ、クラブヘッドが返って、うまく球をとらえられます。
そのため、インパクトで左手を意識して右手でクラブヘッドのフェースをイメージできるように、おもちゃのラケットでクッションを叩く練習器具を自作しました。材料費は330円です(笑)。これを使い、インパクトで左手が先にいってしまうと振り遅れてフェースが開くから力なく球が右に飛ぶこと、ダウンスウィングで右手に力が入るとコックが早くほどけてダフリやフェースがかぶって左へのミスが起こりやすくなることなどを理解してもらい、正しいインパクトができるよう教えています。

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週刊ゴルフダイジェスト2026年11月10日号より


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