【キミこそ王子だ】Vol.345 独学ながら理にかなったスウィングで驚異の飛距離を出す中3男子

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。 今回の王子候補は兵庫県出身、滝川第二中学校3年の道上嵩琉くんだ。小学校の頃から全国大会の常連として注目を集めている彼の武器は、抜群の飛距離。武市はその効率の良い打ち方に関心を寄せた。

今回の王子候補
道上 嵩琉さん
みちうえ・たける ●主な戦歴/2024 全国中学校ゴルフ選手権 3位 ●ベストスコア/ 62 (アローウッドGC) ●練習/毎日300球3時間+α ●トレーニング/毎日ランニング 2~3キロ
小2からゴルフを始めた道上嵩琉くん。父親が本格的なスキーヤーだったこともあり、当時はゴルフだけでなくスキーにも真剣に取り組んでいた。ただ、だんだんと雪山へ移動するのが大変だと感じるようになり、現在は完全にゴルフにシフトしている。
「いい太ももしているね~」
「ありがとうございます。スキーをやっていたおかげだと思います」
下半身の筋肉量の多さに注目した武市であったが、それは見せかけだけではなかった。 キレキレのスウィングから放つボールは、低スピンのドローボールで当たれば300ヤード近く飛ぶ。
「迷いなく思い切り振っているのがいいね。フィニッシュもビタッと止まっていて、全然バランスが崩れていない。見ていて胸がスカッとするわ」と笑顔の武市。
専属コーチはおらず、スウィングは独学とのこと。ただ体育会系の父親から「今のうちは思い切り振れ!」とだけアドバイスされているそう。
「彼のスウィングは飛ばしに有利な2つの要素を併せ持っている。ひとつは、フックグリップ。もうひとつはハンドファースト。どちらも、なぜ飛ばしに有利か超簡単に説明すると、フックグリップはボールを強く叩きやすいから。ハンドファーストは、インパクトでロフトを立てて当てられ力強い球が打てるから。でも飛ばしの要素って、単純に何個も重ねればいいってものでもない。その組み合わせも重要なんだけど、ボク的にはフックグリップとハンドファーストの組み合わせは最強だと思う。フックグリップはフェースが返り過ぎると左に行くという側面があるけど、嵩琉くんは右手が返り過ぎることなく、右手首が背屈(甲側に折れている)している状態をキープできているのがいい。
さらに、体の回転スピードとハンドファースト具合がマッチしているので、ロフトが極端に立ちすぎない絶妙なタイミングでインパクトできている。形がすごくいい! 理にかなった形って美しいから、そこだけ見ても、いかに効率よくインパクトできているかが分かる。もちろん、形だけ真似しようとしてもダメで、彼が持ち合わせている強靭な下半身がもたらす回転力ありきの形だからね」
と武市は褒めた。
「ありがとうございます。でも、もっと飛距離を出すにはどうしたらいいですか? 少しフックグリップすぎますか?」
意欲的に質問をする嵩琉くんに
「今は問題なし! これからもっともっと飛ばしたいなら、下半身の使い方を工夫すればいい」
とアドバイスを送る武市。
近い目標は「日本アマチュアゴルフ選手権」で優勝とナショナルチーム入り。そして、将来的にはPGAツアーで活躍するプロを目指している。
「4月からは高校生。きっとスゴイ成績を残してくれるはず」
秘めたポテンシャルに期待する武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日号より