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河本結は“瞑想”で復活!<前編>瞑想は最高のメンタルトレーニングだった

「瞑想」と聞くと、スピリチュアルなものをイメージする人も多いかもしれないが実はエビデンスもある科学的なもので、河本結が長いスランプを乗り越えて復活優勝する原動力にもなったという。その正体と効能を調査した。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Getty images  

河本結……かわもと・ゆい。1998年生まれの黄金世代。2018年にステップ・アップツアー賞金女王となり翌年はレギュラーで初優勝。米ツアーにも挑戦したが、近年不調に悩んでいた。昨年「NEC軽井沢72」で復活の2勝目を挙げた

兼下真由子

かねした・まゆこ。女優、ヨガインストラクターなどを経て「WINメディテーション」のメソッドを確立。多くのアスリートを指導する

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“いま”に集中できるようになった

昨年の「NEC軽井沢72」で5年半ぶりのツアー優勝を果たした河本結。2019年にツアー初優勝、翌20年には米ツアーに挑戦するなど黄金世代の代表格として活躍したものの、帰国後に調子を落とし、近年は本来の力を発揮できずにいた。そんな河本が復活を遂げられたのは「瞑想」のおかげだという。

「何をやっても上手くいかない時期が続いていたのですが、瞑想に取り組むようになって、ウソみたいに何もかもが好転しました。試合への入り方、集中力、マネジメント、そして何よりメンタル。いまはミスをしても落ち込まなくなり冷静にプレーできるんです」(河本)

「瞑想」というとスピリチュアル的なうさんくささを感じるかもしれないが、河本が取り組んでいるのは「WINメディテーション」というメンタルトレーニング。集中法や呼吸法、イメージトレーニングなどによって脳を鍛えるメソッドで、いまは週に1回、提唱者の兼下真由子氏の指導を受けているという。

河本は、兼下氏とのセッションで心身の状態をリセットするとともに、瞑想の効果によっていつも目の前の“いま”に集中できるようになったと話す。この「WINメディテーション」とは何か? 兼下氏に話を聞いた。

「簡単に言うと脳を鍛えるトレーニングだと考えていただけるといいかもしれません。情動や意思力をつかさどる脳の前頭前野を活性化させるとともに、感情をつかさどる大脳辺縁系の暴走を抑制。さらに記憶などをつかさどる海馬の密度も高まるなど自己実現、自己解決につながる変化をもたらします。科学的にエビデンスのある手法だけを採用しており、ごく短時間でできるのもポイントなんです」(兼下)

瞑想は基本的に5分3セット。セッションでは、相手の状態や目的に応じていくつか組み合わせて行うが、身に付ければ歩きながら、話しながら自分でできるものなので、河本は試合中にも実践しているという。また、イメージトレーニングによって「全ホールバーディ」のいいイメージが頭の中で具体化し、ミスしても悪いイメージを引きずらなくなったことも大きいという。これは昨年のバウンスバック率(※)1位というデータが証明している。

プレー中の様子を見ても笑顔が増え、楽しそうになった河本。瞑想の効果は、想像以上のようだ。

※バウンスバック率とはボギー以上やそれ以上悪いスコアでホールアウトした直後のホールでバーディ、もしくはそれ以上のスコアを出すこと

「WINメディテーション」とは…
瞑想を主体としたメンタルトレーニング

集中法や瞑想、イメージトレーニングなどを用いた脳神経トレーニングによってWIN=勝利だけでなく悩みの解決と自己実現を目指すメソッド。ストレスや悩みを解消できると、アスリートだけでなく幅広い層から支持されている

瞑想を取り入れた河本の変化

①マネジメントが明確化できた
②プレーのことにだけ集中できる
③ミスしてもすぐに切り替えられる

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月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より