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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.110 「空中戦でも結果を出せる日本女子たち」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tadashi Anezaki

前回のお話はこちら

現在、米女子ツアー最終予選会の真っ最中で、勝みなみ選手やら西村優菜選手が参戦に向けてがんばっております(12月8日現在)。

国におけるゴルフのスタイルの違いを簡単に表現するとしたら、イギリスは地上戦、アメリカは空中戦です。

今年のスコットランド女子オープンで優勝した古江選手は背丈が低く、球筋はドローボールなので、飛ばないながらもウッド系で手前からクッション入れてグリーンを狙うんが得意です。

日本人が通用するいうか、合っているんは地上戦やと思うていますけど、最近は空中戦のアメリカでも結果を出す日本人女子がおります。


アメリカで勝っている畑岡奈紗選手も笹生優花選手も飛びますから、池越えのグリーンに長いクラブを使ってキャリーボールで止める球を打つのも苦にならんのです。

勝選手も飛距離は出るので、米ツアーは、合っているかもしれません。勝選手は、今年の7月の試合(楽天スーパーレディース)で、4日間ノーボギーいう史上初の記録で優勝しました。

やっぱり、パッティングがよかったんでしょう、それは間違いないです。ゴルフはどんなにやさしいコースでプレーをしても、パッティングが入らなければスコアになりません。いくらショットがよいいうても、18ホールで9アンダーが出た場合でも、9回ともOKにつくいうことはまずあり得んですから。

17番のパー3ではティーショットをオーバーし、返しのアプローチもショートして4メートルが残った。最大のピンチです。このときに、彼女はどういう気持ちで4メートルのパットを打ったかです。

もちろん記録のことは意識しておるし、プレッシャーは感じておりますよ。でも、ボギーはどっかでは出る、ダメでもしょうがないと腹決めて打ったかもしれんですね。

人間って間違ったらダメいうときに間違うんです。「間違ってもイイよ」と言われるとほとんど間違わない。楽器の演奏でも、「ここは間違わんように」と思うてると、そこで間違います。逆に、「もし間違ってもそのまま続けて演奏していいよ」言われたら間違わんもんです。

日本人選手たちの来季の米ツアーでのプレーが楽しみです。

「勝みなみプロのように、最近の女子プロは地上戦だけやのうて空中戦でも戦えます」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号より