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優勝逃すも王者の風格! タイの“シム”驚愕の400Yドライブ【アジアパシフィック女子アマ】

速報
2022.11.07

タイのサイアムCCウォーターサイドコースで開催されたアジアパシフィック女子アマ、最終日の模様をレポート!

タイガー・ウッズのようなオーラを醸し出すタイの新星に注目だ

アジアパシフィック女子アマ最終日は、8アンダーの首位に4人が並ぶ大混戦のスタートとなった。なかでも注目は、タイのナタキッター・ウォンタウィラー、通称“シム”(タイ人は名前が長いので、あだ名で呼ばれることが多い)。

世界アマチュアランクは38位ながら、10月のタイアマ(日本でいう日本アマ)を制した逸材。近い将来、間違いなく米女子ツアーを席巻すると思われるポテンシャルを秘めている。

魅力はなんといっても飛距離。日本の女子プロのドライビングディスタンス1位は穴井詩の256.94Yだが、シムの飛距離は”平均”で300Yは飛んでいる。これは米女子ツアーの1位、マリア・ファッシの279.15Yを20Yも上回る数字だ。

それも、ただ飛ぶだけでなく、曲がらない。PGAツアー選手のような高い球で、300Y先のフェアウェイを射止めてくる。19歳にして堂々とした風格も漂わせ、ついそのプレーに惹き込まれてしまう。

>>シムの300Yスウィングを見る

最終日も、2番パー3でバーディを奪うと、3番パー4では2打目を直接放り込み、出だし3ホールで3つスコアを伸ばす。この時点で勝負あり、と思われたが、同じ最終組の伏兵、台湾のファン・ティンシュアンがするするとスコアを伸ばし、15番のバーディでついにシムに追いつく。

3番パー4の2打目を直接カップインさせたシム

この15番は354Yのパー4だが、シムは珍しくドライバーを右に押し出す。右サイドは広いためOBの心配はないが、シムのボールが見当たらない。するとどうやらカート道で跳ねたらしく、ボールはグリーンの60Y奥まで転がっていた。”高速道路”を使ったとはいえ、パー4のティーショットでグリーンをはるかにオーバーする400Y超えのショットは、男子ツアーでもなかなか見られるものではない。

このホール、シムは巧みなウェッジワークでパーをセーブするも、続く16番、17番を連続ボギーとしてしまい、ファンに逆転を許す。

最終18番、524Yのパー5は、飛ばし屋のシムに分があると思われたが、シムがティーショットを打つ直前、4日間の晴天が嘘のような突然の豪雨。さすがのシムも2オンは狙えず、一方のファンは豪雨に動じることなく3打目をピンにからめるスーパーショット。バーディフィニッシュでトータル11アンダー、シムに2打差をつけ、世界アマランク83位の伏兵がビッグタイトルを獲得した。

最終18番のスコールにも動じることなく2mのバーディパットを沈めたファン

日本勢の最高位は荒木優奈(日章学園高2年)の7アンダー3位タイ。馬場咲希(代々木高2年)は最終日に6つスコアを伸ばし6アンダー6位タイ。連覇を狙った橋本美月(東北福祉大2年)と日本勢最年少の新地真美夏(相模中3年)が5アンダー9位タイと健闘している。

予期せぬ豪雨の影響か、筆者のカメラのメモリーカードからデータが取り出せなくなるハプニングがありつつも、なんとか怪しいソフトを使って無事復旧でき、取材が水泡に帰すことを免れたということを一筆添えておく。

<アジアパシフィック女子アマ・最終成績>
1位 ファン・ティンシュアン(台湾) -11
2位 N・ウォンタウィラー(タイ) -9
3位T リー・ヒョソン(韓国) -7
3位T 荒木優奈(日本) -7
3位T R・M・マリクシー(フィリピン) -7
6位T 馬場咲希(日本) -6
6位T ルー・シンユー(台湾) -6
6位T リム・ジユ(韓国) -6
9位T 橋本美月(日本) -5
9位T 新地真美夏(日本)ほか -5
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21位T 手塚彩馨(日本) -1
53位 上田澪空(日本) +15