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【世界基準を追いかけろ!】Vol.103 ジュニアのレベルが10年前と比べて格段に上がっている。その理由は?

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は、先日行われた全国高等学校ゴルフ選手権大会を受け、最近のジュニアゴルファーの実力伸長の背景について話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 今夏の全国高等学校ゴルフ選手権大会を観戦されて、いかがでしたか。

X 久しぶりに行きましたけど、レベルが10年前と比べて10打は違う感じはしましたね。女子の団体戦の優勝スコアが28アンダー(※1)でしたが、3人の2日間の合計スコアですから、一人の一日平均スコアにすると67を出していることになりますからね。

目澤 男子の団体戦の優勝スコアは23アンダーでしたけど、10年前はもっと少なかったと思います。学生ゴルフは全体的にレベルは上がっていますよ。

GD 特に女子は全米女子アマでは馬場咲希さんが勝ちましたが、世界レベルでも通用する選手が育っている感じがしますね。


目澤 そういう子たちがプロになり、ツアーに参加してすぐに優勝し、そのうえ賞金女王争いをしているというのが今の女子プロ界の現状ですよね。以前は一人の天才的なプレーヤーがやっていたようなことを、今は各年代に2〜3人くらいはそういった選手がいる。黄金世代なんて20代前半ですでに12人優勝していますからね。

GD ここ数年の、そういった若年層ゴルファーの著しい成長の要因はなんですか。

黒宮 インスタグラムやユーチューブなどから情報が容易に入るようになったことが大きいと思いますね。ちょっと前までの学生は、テレビや連続写真で見たプロの物まねでスウィングを作ったりしていましたからね。それが今は、スウィングだけじゃなくゴルフ技術のすべてのハウツーをユーチューブとかから入手できるわけですからね。

目澤 目標に向けて遠回りをしなくなったということだと思いますよね。例えば、トラックマン(※2)が保有する世界のトッププレーヤーのデータなんかも手に入るわけですから、それを利用すれば、自分の現在地とかが分かります。そうなると、雲をつかむような無駄な練習をしなくても、目標に向かって有効な練習をすることができますからね。それに若い子たちは最初からアプリなどの使い方に慣れているからスコア管理なんかもできているので、課題の設定や取り組みも自発的にできることもあるかもしれないですね。

GD 10数年前は憧れて物まねをする対象だったトッププロたちが、データの可視化によって今は具体的な目標になっているわけですね。

黒宮 でも今の子は、アプローチは苦手だと思いますよ。

GD それはなんでですか?

X ショットでグリーンを外さないからですか。

黒宮 ゴルフ競技の内容が変わったと思います。

目澤 確かに、僕らの時代の上位に来る選手たちってアプローチが上手かったですよね。昔は球がふけることが多いから、飛ばなくてもユーティリティやアプローチが上手い人が技術の高さで好成績を出していたと思います。でも今は球が飛んでふけないので、その技術も出しづらくなっていますし、女子などは曲がらない子も多いので、アプローチの機会も少なくなっていると思いますね。

(※1)2022年度 全国高等学校ゴルフ選手権大会(通称・緑の甲子園)。サンヒルズカントリークラブ イーストコース。団体の部女子優勝は日章学園で28アンダー。団体の部男子優勝は日章学園で23アンダー。個人の部女子優勝は上田澪空(共立第二女子)で12アンダー。個人の部男子優勝は林田直也(沖学園)で12アンダー。10年前の2012年の団体の部女子優勝は埼玉栄で9アンダー。団体の部男子優勝は沖学園で2オーバー。(※2)トラックマンライブラリの中には世界のトッププレーヤーのスウィング動画やデータが収録されており、それらのデータを利用してスウィングやデータを比較することも可能

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より