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【ゴルフ初物語】Vol.97 かつてKBCオーガスタ前週に行われていた日本国土計画サマーズ。第1回は中嶋常幸が青木功を抑えて逆転優勝

今週、福岡県の芥屋GCで開催されているKBCオーガスタ。1973年にスタートし福岡の晩夏を彩る風物詩として長年親しまれてきたが、一時期、その直前に開かれていた後援競技があった。

第1回日本国土計画サマーズで優勝した中嶋常幸

翌月には自身初のメジャー優勝

73年日本アマなど、アマタイトルを総ナメにしてプロ入りした中嶋常幸。デビュー年の76年にはゴルフダイジェスト・トーナメントのほか、美津濃プロ新人なども制し3勝を挙げ、翌77年にもヤングライオンズで勝ち、迎えた8月の新規大会が栃木県の白鷺CC(現・ニューセントラルGC)で開催された日本国土計画サマーズだった。

梅雨がぶり返したかと思うような雨が続き、大会は1日中止となり3日間に短縮。2日目を終え首位にはプロ7年目にして初めてトップに立つ上原宏一と青木功のふたり。それを2打差で追いかける中嶋常幸。最終日は17番までに中嶋がスコアを3つ伸ばし、青木を1打リード。勝負は18番パー5に持ち込まれた。だが、中嶋のティーショットは右のバンカーにつかまる。左サイドはOB、誰もがアイアンで刻むだろうと思っていたが、中嶋は迷わずバフィーを抜き、バンカーから2オンを狙う。

「まったく迷わなかった。あそこで安全に出して、悪くてもプレーオフでと考えたら、その時点で負けなんです」と試合後の中嶋。しかし球はバンカーの土手に当たり40〜50メートルしか転がらない。だが5番アイアンでの第3打はピン横7メートルに。これを沈めて勝負を決めると、ギャラリーからは大歓声が湧き起こった。優勝インタビューで今後の目標を聞かれると「次の週の試合」と答えたが、翌月の日本プロで自身初のメジャー優勝を挙げることになる。

この大会は79年までの3年間、白鷺CCで開催されたのち、80年は日本国土計画の別コース、長野のニュー蓼科CC(現・センレンGR長野コース)、81、82年は千葉の武道CC(現・ベルセルバCC市原コース)で開催されたが、83年に日本国土計画が倒産したことで姿を消した。

78年山本善隆、79年三上法夫、80年船渡川育宏、そして81年には倉本昌弘が優勝。82年には杉原輝雄が制したが、翌83年に日本国土計画が倒産し大会は消滅した

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より