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【PGAツアーHOTLINE】Vol.32 今やチームに不可欠! データ分析の専門家、マーク・ホートン<前編>

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第5回はビリー・ホーシェルなどのトップ選手を陰で支えるデータ分析の専門家、マーク・ホートンを取り上げる。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos

ホーシェルの弱点を補う戦略家の存在

最近ツアーでは、データの解析だけを請け負う専門家がいます。たとえば英国出身のデータマン、マーク・ホートン。彼はビリー・ホーシェルやサム・バーンズのスタッフとしてチームに加わっています。

この試合でピンがここならどこに打つべきか? どこに打ったらボギーが出やすいかなど、細かいデータの分析を行ったり、その選手の弱点をデータから解析し強化させるなど、近頃ではどんなスポーツでも取り入れているデータの専門家がホートンなのです。


「彼は本当に素晴らしい。ホートンがチームに加わってくれた14年にフェデックスカップ(年間王者)を獲ることが
できました。彼が来る前の僕のデータはひどかった。特にショートゲームが弱点でした。でも今は逆にショートゲームが武器になった。彼の分析力が役に立ったのです」

今季、ホーシェルはメモリアルトーナメントで優勝しましたが、彼が叩き出したデータは驚異的でした。ストローク・ゲインド・ティー・トゥ・グリーン(ティーからグリーンまでの間に打つショットのスコアに対する貢献度)は彼史上最高の13.・28。それまでのキャリアベストは12年のサンダーソンファームズ選手権でマークした13.07でしたから、長年更新できなかった自己ベストを更新したのです。

もちろん13.28はフィールド内1位。加えてパーオン率でも1位になりました。主要2部門で1位の記録はタイガー・ウッズ、ジェイソン・ダフナー、パトリック・カントレーに次いで大会史上4人目。いかにショットの精度が高かったかがわかる数字です。

「ホートンは試合の前にどこに打てばバーディの確率が上がり、ここに打つとボギーになりやすい。君が狙うべきポジションはここだ、と教えてくれます。それがわかっていればマネジメントに迷いがない。ターゲットが鮮明になって悪いイメージを払拭することができます。データをもとにゴルフを組み立てるスタイルが僕は好きなんです」

日本のナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏もデータ主義を貫き、チームジャパンを世界の強豪に育て上げました。データはレベルが上がるほど必要不可欠のものなのですね。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月2日号より