Myゴルフダイジェスト

【世界基準を追いかけろ!】Vol.95「試合で実力を発揮できるのは“頭のいい選手”」

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は、上達が早い選手と遅い選手との違いについて語ってもらった。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD コーチから見てゴルフが上手くなる人、ならない人の違いって何かありますか。

黒宮 今の時代は、スキルとかフィジカルで差をつけることって難しくなってきていると思うんですよ。コーチやフィジカルトレーナーも多くいて、情報にアクセスすることも簡単にできますし、練習器具もいろいろある。練習でスキルアップをすることは、やろうと思えばできるわけです。でもそうやって身に付けたスキルを試合で使えなかったら意味がなくて、伸びる選手と伸びない選手の差は、その「試合でできるかできないかの差」と思うんです。

GD 試合でスキルを出せる人と出せない人の違いって、どこにあるのでしょう。


黒宮 「頭の良さの違い」ではないでしょうかね。自分が思っていることや感じていることを的確に分かりやすく表現して言葉にできる能力に優れているというか、そういう頭の良さを持った選手は試合でも練習と変わらずに高いスキルを出すことができることが多いです。

GD どうしてですか。

黒宮 今はリモートレッスンが増えて、電話やLINEでのやりとりも多くなっていますが、例えば、僕が見ているトッププロの場合、トラックマンやGCクワッドのデータとともに、スウィングにおける自分が感じるフィーリングやトレーナーさんに言われたフィジカルの部分のことなど、ポイントを的確に文章化して送ってきてくれます。そのデータとポイントを見ることで、選手が今不安を感じていることや問題点、体の調子などが、しっかりと把握できるので、1回のLINEのやり取りで解決することも多いんですよ。

目澤 いま教えている中学生の子も、ちょっと前まで調子が悪くて、3週間後に試合があるので見てほしいと言われたんです。その時に彼は、「今、自分にはこういう問題が起きていて、スウィングがこういう状態になっている」ということを的確に伝えてきました。僕からは、それだったら試合結果より、自分が今できることを優先して、それに対してこういう練習をしたほうがいいよねと伝えたら、その後調子が良くなり、その試合でも2位になれたと言っていました。

X 言語化というのは頭の中で情報の整理を行う作業ですから、選手たちは、その段階で自分の現状分析ができているわけですよね。

GD 確かに、普段の試合で、成績上位選手の記者会見でのコメントは、的確でよく整理されているなと感じますよね。

黒宮
 石川遼はその能力が凄く高いんですよ。彼は今まで特定のコーチに付くことなく、10年以上日本でトップ選手としてやってきた稀有な選手ですよね。

X 確かに石川選手のコメントを聞いていると、自分に対する気付きといった自己分析能力に長けていて、それを言葉で伝える能力の高さを感じますね。

黒宮 上達のスピード感は、その選手の頭の容量で決まります。

X 僕も今日から、ゴルフ日記をつけるとします。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022レッスン・オブ・ザ・イヤー

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月19日号より