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「ノーマンの勝利数を上回りたかった」マキロイの“価値ある”21勝目

LIVゴルフ初戦と同じ週、PGAツアーの「RBCカナディアンオープン」で、ローリー・マキロイが優勝。「今日のことは一生忘れない」と特別な1勝であることを強調した。

絶好調だった3年前に優勝した大会は、ここ2年コロナの影響で中止。マキロイにとって3年越しの連覇となった。

「世界の裏で起きていることを意識していた」という彼は、PGAツアーに忠誠を誓うJ・トーマスと最終組で優勝争いを演じ、10バーディ、2ボギーの「62」をマーク。ツアー21勝目を挙げた。

「誰かさんが20勝しているので、それを1つでも上回ることが今週のモチベーションだった」。“誰かさん”とは、もちろんLIVゴルフを率いるホール・オブ・フェーマー(殿堂入り)、G・ノーマンのこと。

「新リーグの長が20勝しているので、それを超えたいと思った。目的を達成できたのはとてもクールなこと」

最終日の中盤で6連続バーディを奪う追い上げを見せたトーマス。そして「64」をマークして優勝に届かなかったT・フィナウは揃って「自分もいいプレーをしたけれど、週末のマキロイはそれ以上のゴルフをした」と勝者を称賛。するとマキロイは「PGAツアーで勝つことはますます難しくなっていると感じた。最終日をトップでスタートしアドバンテージを持っていたけれど、それでも8アンダーを出さなければ勝てなかった。このツアーの層の厚さを改めて実感した」。

暗にピークを過ぎたベテランが多い新リーグは真のチャンピオンを生み出す場ではないと言わんばかり。そんなマキロイについて、ノーマンはワシントンポストのインタビューで「マキロイはPGAツアーに洗脳されている」と語っており、PGA派とLIV派の溝は深まるばかり。今後も舌戦は続く?

節目の20勝目よりも価値ある1勝だった?(写真は2022年アーノルド・パーマー招待。PHOTO/KJR)

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より

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  • プロの14本のクラブセッティングと、それらのクラブを選んだプロのこだわりを紹介する連載「プロスペック」。今回は、先日PGAツアー21勝目を挙げたローリー・マキロイのセッティングに注目。 PHOTO/KJR、Blue Sky Photos ローリー・マキロイ 1989年5月生まれ。北アイルランド出身。2007年プロ転向。2012、14、19年PGAツアー最優秀選手。メジャー4勝(2012・14全米プロ、2011全米OP、2014全英OP)、PGAツアー21勝 アイアンの「RORSプロト」は2017年から使っているモデル。一時期、「P730」や「P7MB」を試合で使うこともあったが、昨年5月のウェルズファーゴ選手権から戻して、全米オープン前週のRBCカナディアンオープン優勝時もこの「RORSプロト」。見た目は「P730」そっくりだが、ブレード長がやや短く、トップラインは薄め、オフセット小さめという操作性能を極めたカスタムヘッド。PWを抜いて48度のMGウェッジを入れることもあるが、現在は3番からPWまで入れる。ドライバーは「ステルスプラス」。ロフト9度のヘッドをネック調整で7.5度に立て、フェースアングルも3度オープンに変えて使っている。現在のドライビングディスタンスは平均319.1ヤードでツアー3位。昨年もほぼ同じ飛距離(319.3ヤード)だが、フェアウェイキープ率が約3%上昇しているのは、直進性が高いステルス効果か。「ステルスプラス」の試打段階からサポートしているレップのエイドリアン氏は、「一番の効果は、フェースセンターでとらえたときとセンターを少し外したときの差が出ないこと。ローリーのボール初速はどちらも84.5㎧前後、スピン量は2000~2400回転の適正範囲に収まり、実際の弾道もベストショットと変わらない飛びが続きました。それを確認したローリー自身が驚いていましたから」。シャフトも、「SIM2」時代の「クロカゲ」から「ベンタス ブラック」に替わり、フェアウェイウッドまで「ベンタス ブラック」に統一。全米オープンの練習ラウンドでは「SIM」の3Wも試していた。2本のウェッジは「MG3」。54度がハイバウンスの13度、60度はローバウンスの7度を使用している。 オフセンターヒットに強いステルスプラスと、オフセンターヒット時にヘッドのねじれを抑制する性能を持つベンタスブラック。この組み合わせによる直進性能の高さに、マキロイ自身も驚いたという 3Wはロフト15度を14.25度に、フェースアングル1.5度オープン。5Wは19度を17.5度に、フェースアングル3度オープンに調整して使用する。シャフトはベンタスブラック プロジェクトXは、多くのエネルギーがボールへ伝わるように番手ごとのテーパー角が変わっている。コントール重視の元調子で、マキロイ以外に、S・バーンズや女子のL・トンプソンが挿している 54度と58度のハイバウンスウェッジを入れることが多いマキロイだが、全米オープンでは60度のローバウンス(写真)を選択。シャフトはプロジェクトXの6.5 昨年の東京五輪はスコッティ・キャメロンのアンサー型パターでプレーしたが、その後、8月のBMW選手権から使い慣れた「スパイダーX」に戻した。今シーズンのザ・CJカップとカナディアンオープンの2勝はこのパター。グリップはスーパーストローク ローリー・マキロイのクラブセッティング 週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より 「プロスペック」バックナンバー
  • 全米オープン開催中も人々の関心を集めた「LIVゴルフ招待シリーズ」の話題。PGAツアーとライバルリーグの間に存在する問題と現状をおさらいしよう。 開幕戦が行われた週に開催されたPGAツアーの「カナディアンオープン」最終日にテレビ出演したジェイ・モナハンコミッショナーは、LIVゴルフに参戦した選手に出場停止処分を下したことについて、「私は一貫して処分について説明してきました。選手はどちらか一方のツアーは選択できるが、両方を選択することはできない」と語った。P・ミケルソン、D・ジョンソン(DJ)含め、17名が出場停止となったが、うち10名は初戦が始まる前にメンバー資格を辞退。しかしミケルソンは「自分は永久シードを持っている。これまで30年間、ツアーとゴルフ界の発展に貢献してきた。いつどの試合に出るかは自分が決められるはず」と処分を不服とし、メンバー資格を維持する意向を示している。今後さらに厳しい処分(永久追放など)があるかについて、モナハン氏は言及していない。したがって自主返上した選手たちは、すでにフェデックスランクから除外されており、HPのプレーヤーリストからも削除されているが、返上していない選手たちはランクからもリストからも削除されていない。「不幸な決断をしたプレーヤーは、我々が再三訴えてきたルールを強行突破しました。彼らは一連の“エキシビションマッチ”を行うのをよしとして、複数年の(財政的に)有利な契約に署名したのです」(モナハン氏)一方、これまでに類を見ない高額大会を主催するLIVサイドは「我々がゴルファーたちにプレーする機会を作ることに専念している一方で、それを阻止しようとする勢力がある。フリーエージェントの時代は今に始まったことではない」と反発している。なお、PGAツアーは4大メジャーを主催しておらず、全米オープンはUSGAの管轄。こちらは除外も検討したが、事前に決まっている今年の出場資格を後になって変更するのはフェアではないと判断した結果、受け入れたのでは。結果、LIVゴルフ組を受け入れている(来年以降は未定)。全英オープンを主催するR&Aから最終的な発表はないが、USGA同様の方針をとると見られている。また、マスターズは招待試合なので、委員会の決断に委ねられる。全米プロ主催のPGAオブアメリカも現時点での発表はなし。では他ツアーの対応はどうか? 現時点でDPワールドツアーは出場停止処分を発動しておらず、LIVゴルフ組のS・ガルシアやG・マクダウェルらは「ヨーロッパで継続的にプレーしたい」意向を示している。JGTOは現時点で出場を認めている。制裁なし、高額賞金と日本人選手にとっては良いことづくめかと思いきや、実際ロンドンでの第一戦に出場した香妻陣一朗の感想は、「思ったよりギャラリーが少なく、盛り上がりは微妙。観客数は日本ツアーの最終日くらいの感じでした」と捗々(はかばか)しくない。サウジアラビアの“スポーツウォッシング”(スポーツで自国の人権問題をカモフラージュする方策)だけでなく、今後アメリカで開催する大会が、各団体がドナルド・トランプ前大統領の差別的発言を受け、使用を避けている同氏所有のコースで行われることにも批判が集まっている。ただ、こんな状況にもかかわらず、モナハン氏の言葉を借りれば「財政的に有利な決断」を下す選手は出てきている。B・デシャンボーは7月に行われる2戦目に出場を表明。マスターズチャンピオンのP・リードやベテランのP・ペレスも移籍を決めており、R・ファウラーも移籍が噂されるプレーヤーのひとり。その一方でPGAツアーに忠誠を誓う選手も多い。まだまだこの話題は続きそうだ。 2億ドルといわれる契約金に目がくらんだだけではないと主張したミケルソンだが……(写真は2019年シュライナーズホスピタル。PHOTO/Tadashi Anezaki) 週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より こちらもチェック!
  • さまざまな物議をかもしながらついに開幕したLIVゴルフ。ロンドン郊外で開催された初戦では、マスターズチャピオンのシャール・シュワーツェルが優勝を飾った。 栄えある初代チャンピオンに輝いたシュワーツェルが獲得した賞金は、個人戦優勝の400万ドル(約5億4000万円)に加え、4人1組の団体戦優勝分75万ドル(1億円超)。ゴルフ史上最高の6億4000万円に達した。日当に換算すると2億1000万円、1ホールあたり1200万円というから驚異的。最下位の選手にも日本国内ツアーの優勝賞金並みの1600万円強が支給された。日本勢は13位タイに入った木下稜介が36万ドル(4860万円)を獲得。これは国内最高峰である日本オープンの優勝賞金を上回る。メジャー2勝のM・カイマーとともに15位タイに入った香妻陣一朗が25万ドル(3375万円)、谷原秀人は38位タイに終わったが14万ドル(1890万円)を獲得した。つい最近まで、1試合で1億円稼ぐのが破格と思われてきたが、新ゴルフリーグ時代の幕開けとともに5億、6億という数字が平気で並ぶようになった。プロが賞金を稼ぐためにプレーするのは至極当たり前なことだし、名誉やレガシーよりお金を取る選手がいておかしくない。しかし今回問題になっているのは、高額賞金の出どころだ。LIVゴルフは、サウジアラビアの公的ファンドの投資によって運営されている。同国は、反政府寄りのジャーナリスト殺害に関わっており、国内では女性や同性愛者への差別や虐待などが横行しているとされている。西側諸国から批判される人権問題から目をそらすためスポーツ団体やイベントに投資する“スポーツウォッシング”の手段にゴルフが使われているという見方もある。政治とスポーツは別だが、考えさせられる問題であることは確かだ。 13位タイで5000万円近い賞金を獲得した木下(写真は2021年ZOZOチャンピオンシップ。PHOTO/Tadashi Anezaki) 週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より こちらもチェック!