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【サントリーレディス】山下美夢有が難セッティング攻略で逆転V! 藤田さいきは11年ぶりVに1打及ばず

<宮里藍 サントリーレディスオープン/六甲国際GC(兵庫)/6527Y・パー72/6月9日〜12日>
PHOTO/Tadashi Anezaki

風速5m/sと風も吹き、厳しいピン位置が多かったため、アンダーパーがわずか17人となったサントリーレディス最終日。その中で4アンダーを出した山下美夢有が、4打差をまくって優勝。首位を走っていた藤田さいきも18番まで首位タイと粘ったが、最後に約3mのパーパットを外し、11年ぶりのVならず。ただし、この活躍で全英女子オープンの切符をつかみ、「藤田さいき健在」をアピールした。

大会アンバサダーの宮里藍から祝福を受ける山下。小学生のころに同大会を観戦しにきたことがあるとか

まるで海外ツアー並みのセッティング

サントリーレディスの会場で配られる大会のパンフレットには、各ホールのピンポジションが記載されているが、その最終日のピン位置を見てみると、“5下”の数字が並んでいることに目を見張る。短いパー4の8番はなんとエッジから3ヤードに切ってあった。まさに「リスク&リワード(報酬)」。いったい誰がピン位置を決めていたのか? 何を隠そう、大会の“冠プロ”の宮里藍だ。

パンフレットには
ピンポジションが掲載

大会のパンフレットには、各ホールのピン位置が記載されていた。数字を見ると、エッジから3Y、3.5Yなどの小さな数字が並ぶ。ギャラリーはシビアなセッティングに対しての選手の駆け引きを見て楽しんでいた

「難しくするのはできるんですよ、傾斜に切ればいいので。でもそうなると『ただ難しい』となってアンフェアになってしまう。コースマジメントしてここにつければバーディとれますよ、ここに外すとボギーが出やすいですよと、やっているつもり。選手にこんなところの傾斜活きてくるんだと感じてほしいです」(宮里)

まさに彼女の思惑通りだったか、直接ピンを攻めると寄らないホールが多く、果敢にピンを攻めてグリーンを外す選手も多かった。藤田さいきの18番のボギーも、2打目でピンを果敢に攻めた結果。思えば優勝した山下は、最終日のフィールド内で唯一のノーボギー。まさに攻めるところと守るところのジャッジが非常にうまくできていたように思う。

山下といえば、サロンパスで勝ったときもコーチである父親とピン位置を見て作戦会議をしていたが、今回はどうだったのか。

「特に父とマネジメントは話していないですが、最終日はピンが手前のホールが多かったので、『ピン手前は絶対に寄らない、奥でもいい』と決めていました。今日は本当にうまくマネジメントができていたと思います」

宮里藍の立てた“仕掛け”に見事打ち勝った山下。これで今季2勝目となり、賞金ランキングも2位に浮上、全英の切符もゲットした。賞金女王争いにも躍り出た形となった。

最終日、最終ホールのピンポジションは、手前から18Y、左から4Yと池がかかるピン位置。今年も最後にドラマを作った

プレーオフに残るパーパットを惜しくも外した藤田は、「ほっと気が抜けた」(藤田)とグリーン上で尻もち。それでも18番を囲んだギャラリーから、大きな拍手を浴びていた

惜しくも敗れた藤田をなぐさめる稲見。この優勝で山下と藤田は全英女子オープンの出場権を獲得(優勝者と2位の枠)。それ以外にも、西郷真央と高橋彩華、堀琴音が同出場権をゲット(賞金ランク上位3名の枠)。稲見は元々有資格者(前年賞金ランク1位)

<宮里藍 サントリーレディスオープン最終成績>

優勝山下美夢有-12
2位藤田さいき-11
3位T稲見萌寧-10
3位T勝みなみ-10
3位T永峰咲希-10
6位リ・ハナ-9
7位セキ・ユウティン-8

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月28日号より