男子は採用、女子は非採用。ツアーでの「グリーンブック」使用制限はプレーファストにつながるのか
男子ツアーでは今季から、グリーンブックに代表されるグリーンリーディング資料の使用を制限するローカルルールが採用される。
グリーンブックとは、グリーンを読むためのいわば“アンチョコ”。18ホールのグリーンとその周辺の距離や形状、起伏、速さなどの情報を計測、分析して詳細に記述したものだ。
制限の理由は「選手とキャディがグリーン上でラインを読むときに、目と感覚だけを使うため」や「プレーファスト化」が挙げられるが、興味深いのは、この制限は男子ツアーだけであり、女子とシニアでは以前と変わらず制限されない点。なぜ両者の判断が分かれたのか?
R&AとUSGAは、グリーンブックの制限方法を定めたものの、それをローカルルールとして採用するかどうかは各ツアーの判断に委ねている。結果的にPGAツアーは採用を決議。国内男子ツアーはPGAツアーに倣って採用、国内女子とシニアは様子見(不採用)となったわけだが、果たしてこれによってプレー時間などに変化はあるのだろうか?
「極端には変わらないと思いますよ。なぜならグリーンブックを禁止しても、慎重にルーティンを繰り返すなど、スロープレーの要因はほかにもあります。むしろグリーンブックの禁止で、グリーンまで時間をかけて見に行く選手も出てくるだろうから、多分、何も変わらないのでは……」と指摘するのは国内でグリーンブックを制作・提供してきたTYBの渡辺孝太郎さん。さらにグリーンブックの使用を制限することで、デメリットもあるという。
「練習ラウンドは選手自身が目と足裏感覚で情報収集しなければならず、極端に時間がかかるようになる。また去年の資料も使えないのですが、練習ラウンドなどに持ち込む選手が出てくるかもしれない(練習ラウンドもNG)。それを誰がどうチェックするか、選手の性善説を前提にしたルールだけに抜け穴が多く、その管理も大変と聞いています」
便利なアンチョコに頼るクセがつくと「わかっちゃいるけど……」となるのは、どの世界も同じ。すべては今季男子ツアーの結果如何となりそうだが。
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月29日号より
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